はだの間伐材活用デザインコンテスト 第一次審査
はだの間伐材活用デザインコンテストの第一次審査が行われました。
このコンテストは、森と木と里地里山との新たな関係の構築に資するため、
平成22年全国植樹祭の開催地の一つとなっている秦野を舞台に開催しました。応募要綱はこちらhadanoDC.pdf - 2.3
MB
今回の第一次審査はデザイン審査で、図案・コンセプト・作品の説明を募集しました。
全国各地(北は北海道、南は福岡)から、里山部門約110点、記念品部門約120点、また小中学生から約380点(里山部門約300点、
記念品部門約90点)が集まり、急遽子ども部門を設けました。
寄せられた作品は、身近に利用できるものから芸術的な作品まで、また光や音を取り入れた作品、コンセプトがよく練られた作品、
大勢で一緒に作ることも可能な作品など、斬新で魅力的なものが多数寄せられました。審査員がコメントしながら吟味し、記念品部門3点、
里山部門5点、佳作4点、子ども部門4点を選考しました。
今後、試作品制作、第二次審査を経て、来年の植樹祭で本制作となります。募集から制作までのプロセスも、 間伐材活用と里地里山活性化の一手法として記録していくとよいとの講評もありました。
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審査員
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宮林茂幸 東京農業大学・美しい森林づくり全国推進会議
南雲勝志 ナグモデザイン事務所、全国スギダラケ倶楽部代表
若杉浩一 (株)内田洋行 テクニカルデザインセンター
環境省 里地里山保全専門官鬼塚委員(紙面参加)、同専門員板垣委員
神奈川県 全国植樹祭推進室下元室長
秦野市 高橋副市長
はだの里山保全活動団体等連絡協議会 古谷会長、関野副会長
*欠席:林野庁
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入賞作品
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<記念品部門>
■ジャムベラ(佐野正明・智子(愛知県名古屋市))
使い勝手がよく樹種を様々にすることで木の香も楽しめ る品物になりそう、との評価がありました。また
「JAはだの産ジャムとセットにする」「パッケージに愛川の海底和紙を使う」等、
こちらの地元のことが調べてありコンセプトに盛り込まれていたことも好評を得ました。
■My箸&竹製箸ケース笛(鈴木栄史(音楽家 民族楽器演奏・作曲)(千葉県一宮町))
音楽家からの応募作品。複数応募がみられた「マイ箸」の提案の中で、ケースに楽器の機能をもたせて組み合わせたユニークさが評価されました。
■animal prop(石井聖己(京都府精華町))
シンプルな作りでありながらデザインが施され、身近なところでの実用性もあり、
樹種を様々にすることで木への親しみがわくという点が評価されました。
<里山部門>
■竹取物語(CUT(Chiba University Team)代表者 和田彦丸 千葉県我孫子市)
チーム員 牛島隆敬、渡辺剛士、生出健太、奥村真倫子、郡司圭
明かりにはLEDを使用する提案。危険がなく幻想的な雰囲気が演出でき、ナイトイベント等に活用できる、竹林は伐採整理の必要性があるので、
このような利用をしてから伐採するとよい、といった評価がありました。
■街を見下ろす丘で(CUT(Chiba University Team)代表者 和田彦丸 千葉県我孫子市)
チーム員 牛島隆敬、渡辺剛士、生出健太、奥村真倫子、郡司圭
間伐材をたくさん使うことができる、比較的容易な作業でベンチが作れる点が評価され、
特に主催者であり里山保全活動の実践者でもある連絡協議会の審査員から好評が得られました。
■竹ちぐら(高橋慎一郎(土の空間工房Sobato) 東京都杉並区)
土を使った建築物のプロからの作品。簡素な竹の骨組み、屋根を土で磨きあげる構築物の提案は他に無く、
里山の景観にもとても合いそうであること、里山での実用性があること、皆で作るイベントも検討できる等の点で評価されました。
■Bamboo Wind Cage(鈴木栄史(音楽家 民族楽器演奏・作曲) 千葉県一宮町)
音楽家からの作品。伐採した竹を使うことで、空間全体が楽器のように音色を奏でるユニークさ、斬新さなどが評価されました。
■するー(through)(小山和則 千葉県我孫子市)
里山の中のアート作品としての芸術的な感覚や、形を変えるなど表現に工夫を加えることができ、
実際に秦野で作る際に創造の余地がある点等が評価されました。
<子ども部門>
■マルタンじいさん(長嶋海斗 秦野市立鶴巻小学校)
子どもらしい斬新で大胆な発想、木を横向きに擬人化した印象的な絵、ネーミングのうまさ、
説明欄に書かれた森林整備についての理解と思いやり等が評価されました。
■木ー君 木ーちゃん(栗原利奈 秦野市立末広小学校)
木に親しむという意味で、シンプルで分かりやすいキャラクターとネーミングが評価されました。
■木のはちかざり(石井瑞稀 秦野市立東中学校)
余白一杯に書かれたコンセプトがしっかりしていて、森林のことを丁寧に考えている、心がこもっている、という点が評価されました。
■輪ゴムじゅうのまと当てゲーム(柳川雄貴 秦野市立末広小学校)
実際に子ども達の遊び道具として利用することで間伐材に触れる機会がふえ、楽しむことから森や木の理解にも繋がるという点が評価されました。
<佳作>
■開いたり閉じたりするツリーハウス
(浅野泰弘、阿部未希子、古橋花奈(株式会社浅野デザイン研究所)東京都品川区)
安全性の観点で佳作となりましたが、複数あったツリーハウスの中でも他にはない機能が付加され、
木の実の形をツリーハウスに応用したデザイン力が大変高く評価されました。
■SUGI FLYER-杉車-
(庄司光宏、尾花隆 神奈川県藤沢市)
台車として使えば市内の施設でも実用性が十分あり、ぬくもりのある身近な道具になる点が評価されたました。
■マ ルタフェンス
(北野和男 神奈川県藤沢市)
板でなく丸太を並べた、ありそうでなかったフェンス。丸太の輪切りは人気があるので植樹祭での掲示ボードとして使用できる、
との評価がありましたが
強度や移動時の利便性などから佳作とさせていただきました。
■「自然素材でつくるツリーハウス」「間伐材によるジャングルジム」「竹と泥でできた家」
など女子大生と共につくる楽しい制作
榎本文夫((駒沢女子大学人文学部空間造形学科 榎本ゼミ) 東京都稲城市)
参加者:伊藤結、上田彩香、内海実季子、大澤明日香、齋藤恵里子、中野彩子、樋口祐麻
榎本研究室からは学生各人からも作品を応募いただき様々なアイディアをよせていただきました。
2009年05月20日 [レポート]
鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備(北地区羽根、菩提)-ヤマビル生息調査-
日 時 平成19年9月5日(水)9:00~12:00
参加者 羽根、横野、戸川三屋、菩提の各地区、清水久保里山づくりの会、秦野市
指導・協力 (株)ヤマビル研究会
目的
秦野の里山はかつてタバコ生産のための苗場や堆肥に使うため落ち葉かきを行っていたが、タバコ生産の終了、
担い手の高齢化や人手不足により里山が荒廃している。その結果暗く湿った里山となり、北地区、
東地区ではヤマビルが増加して畑や山の仕事に支障が出ているため、もう一度明るい里山として整備し、
人と自然が共生できる里山の再生を目指す。
内容
秦野ではヤマビルの環境的防除方法として、平成17年より、里山あふれあいセンター周辺3.4haの里山で下刈、枝打ち、間伐、
落ち葉かき等の手法で整備を行っている。整備前後にヤマビル生態調査(指導・協力:(株)ヤマビル研究会)を行ったところ、
ヤマビル減少に効果があるとの検証結果が出た。
平成18年度は、焚き火の熱及び炭の散布による効果の検証も試行し、あわせて集めた落ち葉による堆肥作りも実施した。
本年度については、新たに菩提地区に1.2haのヤマビル生息調査区域を設け、羽根地区と同時に里山整備事業を実施し、
ヤマビルの生息数減少を図る。
今回は、ヤマビル生息調査として、平成17年9月、18年6月、18年9月に続く、第4回目の調査を行った。
○羽根地区ヤマビル調査
・昨年と同じ調査ポイントの調査
・今年1月の整備時に焚き火と炭をまいたところの調査
・新たに調査ポイントを追加
○菩提地区ヤマビル調査
・新たに区域を設け、整備前の生息数調査
この日は、前日に雨が降り当日は蒸し暑い日となったため、ヤマビルには絶好の天気であり、沢山捕獲されることが予想された。参加者は、 当初より参加してきた地元の方々が殆ど。調査は慣れたもので、途中から雨天となったが、順調に進められた。
調査方法は、いつもの通り、ポイントの周辺約3㎡で約3分間、呼気や振動でヤマビルを誘引して捕獲する方法で行った。
<調査結果>
箇所により増えたところもあるが、ヤマビルが出現しやすい気候条件だったこと等も考えれば、横ばい~やや減少という結果であった。
捕獲数の概要は下記の通り。
■羽根地区 3.4ha | |||||
落ち葉かき区 51ポイント | |||||
場所 | 調査ポイント | H17.9 | H18.6 | H18.9 | H19.9 |
合計 | 444 | 65 | 160 | 177 | |
平均誘引捕獲数(頭/3㎡) | 8.7 | 1.2 | 3.1 | 3.5 | |
対照区 16ポイント | |||||
場所 | 調査ポイント | H17.9 | H18.6 | H18.9 | H19.9 |
合計 | 161 | 79 | 59 | 24 | |
平均誘引捕獲数(頭/3㎡) | 10 | 4.9 | 3.6 | 1.5 | |
シカ柵区 15ポイント | |||||
場所 | 調査ポイント | H17.9 | H18.6 | H18.9 | H19.9 |
合計 | 44 | 2 | 41 | 18 | |
平均誘引捕獲数(頭/3㎡) | 2.9 | 0.1 | 2.7 | 1.2 | |
H19新規調査区 16ポイント | |||||
場所 | 調査ポイント | H19 | |||
合計 | 46 | ||||
平均誘引捕獲数(頭/3㎡) | 2.9 | ||||
焚き火炭散布調査区 4箇所 | |||||
場所 | 調査ポイント | 焚き火 | 炭散布 | ||
H18 | H19 | H18 | H19.9 | ||
合計 | 10 | 22 | |||
■菩提地区 1.2ha | |||||
菩提地区 新規13ポイント | |||||
場所 | 調査ポイント | H19.9 | |||
合計 | 106 | ||||
平均誘引捕獲数(頭/3㎡) | 8.1 |
*捕獲数の詳細はこちら。
実際に捕獲した印象として、やはり里山整備の効果が実感された。適度な間伐と下刈り・落ち葉かきがきれいにしてある所は、
地面が比較的乾燥していてヤマビルは少なかった。一方、落ち葉や枝などを積んでおいた周辺や、
笹など刈ってもすぐに生長し草薮になってしまう所ではヤマビルが多く見受けられた。
焚き火・炭試験区では、合計捕獲数から見ると焚き火のほうが効果があった。炭試験区は、炭に効果がないというよりも、 冬の散布後一夏を過ぎて再び草が生え初めていたので、ヤマビルの生息できる環境に戻っているようだった。焚き火・炭散布は、 ヤマビルが集中して見つかる場所への処置として活用できる可能性がある。
2年にわたる整備作業の効果が出て林内はとても明るくなっていた。地元の人によると、嘗ては落ち葉を集めて苗床・ 堆肥として使っただけでなく、タバコの乾燥のために薪が大量に必要だったから、落ちている枝などは皆きれいに拾い、 株立ちの木は細いものを伐採して薪に利用していたためもっと明るかったという。その頃ほどではないかもしれないが、平成16年当初は、 この時期と言えば腰~胸の高さほどもある草薮で林床は覆われていた。今では本当にすっきりと明るい林になった。
今回始めて調査を行った菩提地区では整備前の調査として行った。平均誘引頭数は8.1で、羽根の整備前の調査8.7と近い数字だった。 今後羽根と同様の整備を進め、ヤマビルの減少と親しみやすい里山づくりを図る。
<ヤマビル研究会 谷先生講評>
予想外に増えている印象があるが、何もせずにいると、もっと増えた結果になっていただろう。こういったメンテナンスが大切だ。
秦野での取り組みを先例として、登山道のヤマビル対策として落ち葉かき等の環境的防除を取り入れた地域があり、効果も現れ、
この手法が広まりつつある。
今回の結果でもシカ柵を設置したところのヤマビルの数が半分になっていたこともあり、現在では、
落ち葉かきとシカ柵の設置の併用が一番効果的ではないかと思う。
ただ、実際には、フィールドにはいろいろな要素があり、様々なことを考慮しなければならない。例えば今年の冬は雪が少なかったが、
これもヤマビルが増える要因の一つである。
今年も整備を行って、来年も調査を継続するので、ご協力いただき、これからも経過を見守りたい。
2007年09月07日 [レポート]
第2回里山ボランティア養成研修
日時 平成19年8月4日(土) 午前9時~午後3時
場所 里山ふれあいセンター、 表丹沢野外活動センター
参加者 講師3名、受講者26名 市職員2名 合計 31名
内容
第2回目は、「道具の手入れと使い方」をテーマとして、 湘南地域県政総合センターの協力を受け、県林業普及指導員として活動している2人の講師を招いて実施された。
はじめに里山ふれあいセンターで道具の使い方などについて簡単な講義を行い、表丹沢野外活動センターへ移動。 間伐された樹木がある裏山で、のこぎりによる玉切りの実習を行った。
昼食後、使用したナタ、カマの手入れの実習。 砥石を使用して丁寧に研いでいくのだが、危険と隣り合わせでもある道具をいかに固定し、安全かつ正確に行うかが大事である。 参加者は2人の講師の見本に感嘆しながら研いでいた。
酷暑ともいえる日差しが参加者の体力を奪っていく中、 最後は午前中に行った玉切りした間伐材をチップ化する作業を行った。 表丹沢野外活動センターではチップ材をボイラー機に投入して熱使用の素材にしているため、 間伐された樹木の処理は施設運営に欠かさない作業になっている。説明を受けた参加者は秦野の里山保全の一端を理解されたようだった。
暑さの中でも体調不良者などが出ず、 参加者の体力と意欲の高さが窺いしれた。
2007年08月31日 [レポート]
北地区 表丹沢の棚田でもち米・古代米づくり – 草取り –
日 時 平成1 9 年7 月1 4 日( 土) 午前9 時~ 1 0 時半
場 所 秦野市北地区菩提
参加者 2 4 名( 一般参加者1 6、北小学校1、地元5、市職員2)
目 的
( 1 ) もち米・古代米水田の草取り 3 枚 2 2 a
( 2 ) サツマイモ畑の草取り 1 枚 1 0 a
内 容
当日はあいにくの荒天となったが、1 6人もの一般参加者が集まり予定通り
実施。順調に稲は生長を見せているが、雑草や青藻も生い茂り、それを除去
するのは稲の生育に欠かせない作業である。
まずは水田の草取りから開始。二手に分かれ、周辺を中心に草と青藻を取
っていった。
後半は少し歩いたサツマイモ畑に移動して、伸びきっている草を手分けし
てむしっていった。
台風到来の前日だったため大雨ともいえる悪天候の中にも多くの参加者が
あったため、予定より早く終了。雨が降りしきる中、最後は笑顔で集合写真
を撮影した。
2007年07月15日 [レポート]
秦野市表丹沢野外活動センターがオープンしました。
神奈川県秦野市に、新たな里地里山保全活動拠点ができました。
これまで使われていた「くずは青少年野外活動センター」が老朽化したため、取り壊した跡地に神奈川県産材、
秦野市産材のスギやヒノキなどを使って新たに建設された施設です。
オープンは、2007年7月1日です。
この表丹沢野外活動センターは、
●青少年団体・学校・部活動等の野外活動、体験学習の場
●多くの人のふれあいや環境教育、森林ボランティアの活動拠点
を目的にしており、研修棟と活動棟では、宿泊、ホール、学習室、調理室などがあり、屋外ではキャンプ場、多目的広場などがあります。
研修棟に140人、キャンプ場に100人が宿泊可能になっています。
表丹沢野外活動センターのある菩提地区をはじめ、秦野市で行われる里地里山の保全活動拠点や、研修拠点、交流拠点として 今後、
環境プログラムの構築などを含めて取り組みが行われることになります。
もちろん、これまでの青少年の合宿や野外活動、体験も行っています。
■竣工式が行われました
6月30日、古谷市長をはじめ、関係した市議会、県議会、神奈川県、秦野市の財産区の役員の方々など160人が集まって竣工式が行われました。
秦野の観光和太鼓の演奏や、秦野産材で作ったアルプスホルンの演奏とともに、テープカットが行われ、その後関係者が施設を見学しました。
研修室、宿泊室がある研修棟は、秦野市産の材木で、活動室(ホール)や調理室のある活動棟は神奈川県産材で作られており、
どちらも入ると木の香りがして穏やかな雰囲気に包まれています。研修棟は二階建てで、バリアフリーのためのエレベーターも用意されていました。
冬場の暖房やお湯には、里地里山保全活動で出てくる間伐材をチップにして燃料にする大型の木質ボイラーが準備されています。
研修棟には、薪ストーブも用意されています。
このように、材木の地産地消や地球温暖化対策のための循環型エネルギーを学ぶことができるのもこの施設の特徴です。
宿泊者には、調理室で自炊したり、調理研修をできるようにもなっており、秦野の豊かな農産物を味わうことができます。
菩提地区の女性グループに頼むと、地場産の食材で料理を出していただけるそうです(要予約、有償)。
様々な目的で使える秦野市表丹沢野外活動センターを中心に、今後ますます秦野の里地里山保全活動が盛り上がることでしょう。
ぜひ一度いらしてください。
秦野市表丹沢野外活動センターについての詳細は、
http://navi.city.hadano.kanagawa.jp/kodomo/y-center/index.htm
2007年07月03日 [レポート]
第1 回里山ボランティア養成研修
日 時 平成1 9 年7 月1 日( 日) 午前9時~午後3 時半
場 所 表丹沢野外活動センター
参加者 名古木里山を守る会関野会長、湘南地域県政総合センター福間氏、
里地ネットワーク竹田事務局長、森林づくり課長、特定主幹、井上、
横山 受講者2 8 名 合計 3 5 名
内 容
前日に竣工式を迎えた表丹沢野外活動センターの第1 回目の施設利用とし
て実施された。開講式では事務局より8 回にわたる事業説明のほか、受講者
から自己紹介をしてもらい、研修を受ける動機や今後の抱負について話して
もらった。
1 回目の講義は「秦野の里地里山」という主題で森林づくり課長による講
義を行った。秦野の里山の現状や環境省里地里山保全再生モデル事業の紹介、
ヤマビル対策などについて講義した。
休憩後は、里地ネットワーク竹田事務局長より、「里地里山保全の必要性」
をテーマに里山のすばらしさやそれを維持する大切さなどについて語ってい
ただいた。)
昼食をとり、各自施設見学をしてもらった後は大型バスで名古木の活動地
を見学。名古木里山を守る会関野会長より活動地の説明をしてもらった。そ
の後は炭焼き・石釜施設見学し、ピザ焼き体験もあり、炭焼きの味に舌鼓を
打った。
6 時間以上にわたり体力的な厳しさも予想された行程だったが、参加者は
疲れも見せず、名古木の活動地の動植物を見て里山のすばらしさを実感した
ようだった。
2007年07月02日 [レポート]
東地区竹林の活用と米づくり
日 時 平成19年6月16日(土) 9時~12時
場 所 秦野市東区寺山
参加者 約30人(東中学校、市民ボランティア、)
指 導 東地区農家の皆さん
昨年行った寺山地区の竹林整備の継続として、復田した田んぼでの田植え、サツマイモの苗植え、竹食器づくりを行い、 ここで収穫した筍の料理を味わいました。
○谷戸復元
現地は、昭和30年頃まで東小学校の水道水源だった湧水の周辺の谷戸で、水源付近の竹林が密生・
拡大して下の休耕地まで覆ってしまっていました。これを昨年間伐したのですが、今回現地にいくと、休耕田に侵入していた竹は全て切り払われ、
奥まで見 通せる谷戸が復元していました。昨年は、水源の水神様の所へ行くには真っ暗な竹やぶが続いていたのに、
見違える状況になって昨年参加のボランティアの人々も本当に驚いていました。竹林ではメジロやオオルリのさえずりも聞 こえたそうです。
整備された田んぼのうち一枚の水田は、水を湛えて地元の方々によって代掻きまで済んでおり、隣には小さな畑も耕されていました。
田んぼの水はこの谷戸に染み出す湧水で、湿地の水を集めるように水路が作られ、田んぼに引かれていました。
○田植え
裸足で田んぼに入り、地元の農家の方々に教えてもらいながら、苗の泥を洗い落として2~3本づつ丁寧に餅米の苗を植えました。途中、
シマヘビが田んぼの中を泳いでいって大騒ぎ。中学生の手元にはイモリも現れました。他 にも、シュレーゲルアオガエルとその卵塊、
オタマジャクシ、ホトケドジョウ、小さいゲンゴロウ類などもいました。湧水のある谷戸で水田環境を復元すると、
すぐに生き物たちが戻ってくることが実感できました。
○サツマイモ苗植え
田んぼの脇の小さな畑に、100本のサツマイモ苗を植えました。マルチの穴から差し込んで、ギュッと抑えて。植えたあとは鹿策を張りました。
秋には芋にお米に、収穫が今から楽しみです。
○竹食器づくりと筍料理
里山は利用してこそ整備が進みます。竹の恵みを充分に活用し味わう ため、昼ご飯の前に、竹を切り出して食器を作りました。
地元で竹細工をなさる高橋さんに最初にやり方を教わり、地元の農家の方々にも聞きながら、取っ手の加工にも挑戦。ナタでパンと割れると、
初めての体験に、歓声もあがりました。お椀と皿と箸を作ったら、いよいよ筍料理。この場所でとれた筍を使って、
地元の婦人会の方々が前日から準備してくださった料理です。味がしみた筍の煮物、吸い物、ごはん…。本っ当に美味しかったです!
ご馳走さまでした。
最後に、 参加したボランティア、中学生、校長先生、婦人会、 竹細工の高橋さん、竹林の地権者、町づくり委員会の加藤会長から一言づつ感想がありました。地権者の理解、地元集落の協力、 ボランティアや学校の参加…、互いへの感謝の言葉がたくさん聞かれました。里山保全活動は、 特に始めるときは大きな原動力が必要ですが、色々な立場の人が自分のできるやり方で少しづつ関わることで、 大きなエネルギーが生まれてくるのではないかと思います。
2007年06月20日 [レポート]
表丹沢の棚田で餅米・古代米づくり
日 時 平成19年5月26日 9時~13時
場 所 秦野市北区菩提字辻の水田20a
参加者 約50人(北小5年生30人 市民・都市住民20人)
指 導 菩提地区農家の皆さん
表丹沢活動センター活用事業として、遊休水田を復元し耕作することで地下水の涵養率を上げ豊かな里地里山をつくることを目的に、 今回は田植え作業を実施しました。
山のふもとの棚田で、数十年休んでいたという小さな2枚の田んぼと、川沿いの1反強の田んぼで行いました。天気もよく、 水をはった田んぼに丹沢の山々が映る中、子どもたちは裸足で田植えを行いました。 事前の準備や指導には菩提地区の農家のみなさんがあたってくれました。
田植えは初めてという子、慣れているという子、いろいろ。泥んこになったけど楽しかった!と子どもたち。
「キャッチ苗」で田んぼ作業も遊びに。
準備や指導にあたってくれた菩提地区の農家の方々
「ちゃんと見て!教えたとおりにやるんだぞ!」とち ょっと恐かったけど、おじいさんを持たない子どもたちには良い刺激。
●田んぼの再生
山麓や山間の谷戸にある田んぼは、盆地地形の秦野においては地下水の涵養を高めるのに重要な機能を持っています。
しかし小さく不定形なものが多く、遊休地も多く見られます。そこで今年、表丹沢の麓にある菩提地区で遊休水田の復田に取組んでいます。
既にこれまでに、地元の方々を中心に、草刈り・耕耘などの復田作業、畦づくり(4/28)、種まき(5/2)、荒代(5/12)、
植え代(5/24、北小参加)などの作業が行われ、本日が田植えの日。植えるのは餅米と黒米で、秋には皆で収穫を楽しむ予定です。
それまでに草取りや稲刈り、脱穀作業が予定されています。
活動には北小学校の児童が参加しているほか市内外からの一般参加もあり、一般参加に関しては一連の活動への参加費が2000円で、
収穫物の一部がもらえます。市外からは鎌倉や横浜からご家族で参加されている方もありました。
●野外活動センターの活用と里地里山保全
秦野では今夏、菩提地区に「表丹沢野外活動センター」がオープンします。青少年の野外活動と里山保全活動の拠点となる、県産材
(一部秦野産材)使用の心地よい木造施設で、ここを拠点に活動をさらに広げていくことが期待されます。
今回はこのセンター活用事業の一貫として、センターから徒歩10分程度の表丹沢のふもとで、
遊休水田を復元し耕作することで地下水の涵養率を上げ豊かな里地里山をつくることを目的に活動が行われました。
センターの活用については教育委員会などが中心となり検討がすすめられていますが、里地里山保全活動の拠点として考えた場合、
地域との連携が重要になります。センターの敷地内だけでなく、周辺の山林や農地を活かした活動を展開すること、その際、
地権者を含む地域の農林家や集落との連携を図ることなどが、活動を充実させるために重要です。そこで今年の野外活動センター活用事業では、
子どもたちや市民の参加を得て行う様々な里地里山保全活動を通じて、参加者の人材育成に加え、地元農林家が子どもたちの環境学習・
体験学習の指導を行うこと(指導者の人材育成)、それにより世代間交流を推進すること等も目的としています。
このような主旨に立ち活動を展開していくことで、林や田んぼの保全再生だけでなく、環境学習や地域の活性化など、地域全体に益があり、
地域に根付く、本来の里地里山保全活動が推進されるものと思います。
2007年06月05日 [レポート]
北地区 表丹沢の棚田でもち米・古代米づくり – 田植え –
日 時 平成1 9 年5 月2 6 日( 土) 午前9 時~ 午後1 時半
場 所 秦野市北地区菩提
参加者 6 6 名( 一般参加者2 5、北小学校5 年生3 0、地元5、市職員4、
環境省1、里地ネットワーク1)
目 的
3 0 年来使用していない水田を復元し、もち米、古代米を苗から育
苗することにより、里地意識の高揚を図るもの。今回は、広報で募集
した参加者と北小学校の5 年4 組の生徒も加え6 6 名の参加で田植え
を行う。
内 容
今回はもち米と古代米を植える。もち米は「喜寿」といい県内で最
も多く作付されている品種で、古代米は「黒米」と呼び、生命力が強
く、干ばつや冷水にも強い種である。北小学校の生徒は2 日前に「植
え代」を体験して今回が2 回目。
はじめに北地区の農家・古谷角造氏より田植えの方法について説明
があった後、それぞれの持ち場で田植えを開始。晴天に恵まれ、水を
張った水田に参加者たちは裸足で入る。苗は等間隔で平行に置かなけ
ればならない。人それぞれ丁寧に3 本1 単位で植えていく。手持ちの
苗がなくなると横から飛んでくる苗をキャッチする。これが子どもた
ちにとっては楽しかったようで表情も生き生きとしている。2 日前の
植えしろを体験している分、今回は田んぼの感触や要領が分かってい
るので表情も落ち着いている。一方、一般参加者の方も田植えのベテ
ランから家族で来ている方、田植えは初めての方などさまざま。総勢
6 6 人が一斉に田植えをしている姿には迫力が感じられた。
参加した子どもたちからは、「田植えは初めてだったので田んぼに足
を踏み入れた感触が気持ちいい」「泥んこになったけど楽しかった」と
感想を述べていた。
この事業は、今夏オープンの表丹沢野外活動センターの活用事業と
して実施している。1 2 月1 日に予定されている収穫祭では、表丹沢
野外活動センターの宿泊行事として、世代間交流の推進も図っていく。
2007年05月27日 [レポート]
北地区 表丹沢の棚田でもち米・古代米づくり – 植えしろ –
日 時 平成1 9 年5 月2 6 日( 土) 午前9 時~ 正午
場 所 秦野市北地区菩提
参加者 3 6 名( 北小学校5 年生3 0、地元5、北小学校教諭1、市職員1)
目 的
今回は、田植えの直前に行うものとして、荒しろでならした土をさ
らにほぐし良質なものにするため「植えしろ」を行う。北小学校の5
年4 組の生徒が参加したいとの申し出で地元を含めた3 6 名で実施し
た。
内 容
今回も地元農家の古谷角造氏を中心に行った。荒しろのときと同じ
ように耕運機を使用。子どもたちは木製のトンボで地面をよく掻きな
らした。小学生でも農作業をしたことのある人、初めて田んぼの中に
入った人などさまざま。しかし、学校の先生でなく、地域住民の方で
とりわけ農家のプロから直接指導を受け、いい田んぼを作るにはどの
ようにするかを教わるのは机で教わることのできない生きた体験にな
る。初めは戸惑いの顔も多かったが、「この作業がおいしい米を作る」
の指導とともにていねいに作業する姿が印象的だった。子供たちの顔
は2 日後の田植えで花開く。
2007年05月27日 [レポート]
渋沢地区 渋沢丘陵須賀神社前散策路整備
日 時 平成1 9 年5 月2 4 日( 木) 午前9 時~ 午後3 時
場 所 秦野市渋沢地区須賀神社前散策路
参加者 1 2 名( 一般参加5、渋沢丘陵里地里山を楽しむ会3、まほろ
ば里山林を育む会1、千村共有林組合1、市職員2)
目 的
昨年度須賀神社前から敷設し、多くの自然愛好家から利用を得てい
る散策路のさらなる整備のため、散策路の急な箇所( 2 箇所) 及び地
盤がゆるいと思われる箇所に砂利を敷き詰め、安全な散策路の確保を
図るもの。
内 容
はじめに、渋沢丘陵里地里山を楽しむ会の石井会長より進行説明。
軽トラック4 台で松田町にあるリサイクルプラント工場より砂利を調
達し、ピストン輸送で運ぶ。そこで、軽トラックの運転部隊と散策路
に残り砕石を敷設する部隊の二手に分かれて進行。合計6 ? の石が敷
設され、地盤が固く滑りにくい散策路になった。平日にもかかわらず
一般からも5 名の参加があり、「適温での作業だったのでいい汗をかい
た」との感想や、「軽トラックで石を運ぶとまったくスピートが出ない」
との声もあった。
また、倒木の危険があった樹木の伐採もあわせて行われた。
2007年05月25日 [レポート]
渋沢地区 渋沢丘陵頭高山散策路整備
日 時 平成1 9 年5 月1 3 日( 日) 午前9 時~ 午後3 時
場 所 秦野市渋沢地区頭高山
参加者 3 1 名( 一般参加1 8、千村共有林組合3、まほろば里山林を育
む会3、渋沢丘陵里地里山を楽しむ会3、環境省1、市
職員3)
目 的
頭高山入口の散策路において、整備で間伐や枝打ちした樹木をチッ
プ化したものを散策路に撒き、資源の再利用化と安全な散策路の提供
を図るもの。
内 容
はじめに、事務局から今年度の里地里山保全モデル事業について、
参加者に概要説明した後、渋沢丘陵里地里山を楽しむ会の石井会長よ
り進行説明。今回は、表丹沢野外活動センターで所有しているチップ
機を使用して、以前間伐した頭高山の樹木を粉砕し、散策路に撒くこ
とで環境にやさしくすべりにくい散策路にしたいと抱負を述べた。
クレーン車でチップ機を下ろした後、間伐された樹木がある箇所ま
で慎重に運ぶ。
チップ機が所定の場所に配置された後は樹木を機械に投入するのみ。
しかし直径が1 5 c m 以上のものは入れることができず、仮に1 5 c m 以下
でも枝が太かったり樹木が曲がっているとなかなか入らない。参加者
は要領を得ない当初は戸惑っていたものの次第にすばやく詰めること
ができた。軽トラックに積まれたチップは頭高山の散策路のほか、「ま
ほろば里山林を育む会」のエリアにも運ばれ、4 0 メートルの道は樹木
の香り豊かな散策路に生まれ変わった。
参加者からは「とにかく暑かったが連携よくできた」「変化が目に見
えて分かるので充実感がある」との感想が述べられた。
2007年05月14日 [レポート]
北地区 表丹沢の棚田でもち米・古代米づくり – 荒しろ –
日 時 平成1 9 年5 月1 2 日( 土) 午前9 時~ 午後1 2 時半
場 所 秦野市北地区菩提
参加者 1 2 名( ボランティア5、地元5、市職員2)
目的
3 0 年来使用していない水田を復元し、もち米、古代米を苗から育
苗することにより、里地意識の高揚を図るもの。その第2 弾として、
水田に水を入れ耕運機で掻く「荒しろ」の作業を行う。
内容
今回はボランティアとして「秦野ホイールクラブ」の5 人が強力な
助っ人として登場。まず、耕運機の操作について古谷角造氏から指導
を受ける。その後二手に分かれ、耕運機で入念に何度も何度も掻くこ
とで、土に水を染み込ませる。単純な作業だが、この連続が良質な土
を生むことになる。参加者は体力の消耗を口にしながらも姿を変えた
水田に満足げだった。
2007年05月13日 [レポート]
北地区 表丹沢の棚田でもち米・古代米づくり – 種まき –
日 時 平成1 9 年5 月1 日( 月) 午前9 時~ 正午
場 所 秦野市鶴巻南
参加者 4 名( 市職員)
目 的
3 0 年来使用していない水田を復元し、もち米、古代米を苗から育
苗することにより、里地意識の高揚を図るもの。今回は、苗も民間か
ら購入せず、すべて手作りで行う。古代米は地元農家の方に依頼し、
今回はもち米「喜寿」の種まきを行う。
内 容
まずは、食害防止と丈夫な苗にするために、用土の量の約3 % の農
薬を入れ、よくかきまぜる。その後サンプラーに用土を入れて水を撒
き水分を染み込ませ、種まき機で種をまんべんなく入れる。種の上に
もう一度用土をかぶせれば1 箱が完成。これを3 5 箱作り、ビニール
シートで密封し保管した。1 週間程度で少し芽の出た頃に箱を広げ、
毎日3 回の水かけを行い、田植えに備えた。
2007年05月02日 [レポート]
北地区 表丹沢の棚田でもち米・古代米づくり – 畦作り –
日 時 平成1 9 年4 月2 8 日( 土) 午前9 時~ 午後2 時半
場 所 秦野市北地区菩提
参加者 2 3 名( ボランティア1 7、地元3、市職員3)
目 的
3 0 年来使用していない水田を復元し、もち米、古代米を苗から育
苗することにより、里地意識の高揚を図るもの。
内 容
はじめに、森林づくり課長から今年度の里地里山保全再生モデル事
業について、参加者に概要説明した。その後相原特定主幹より進行説
明。今回は、手付かずになって入る土地を水田化するための第一歩と
して、四方に畦( 土) を盛ることにする。
地元の古谷角造氏より具体的な土の起こし方、固め方について指導
があり、参加者はそれぞれの持ち場に散らばり鍬を片手に作業した。
当日は晴天に恵まれ、気温も徐々に上昇。体力的にも厳しいと思わ
れたが、参加者は元気に鍬を振り、土を盛っていた。
2007年04月29日 [レポート]
里山整備とシイタケのホダ木づくり(第5回ボランティア養成研修)
日 時 平成19年2月24日(土)9:30~14:00
場 所 上地区ハ沢
参加者 46名(上地区、ボランティア養成研修生、市民・高校生ボランティア)
指 導 湘南地域県政総合センター、林業普及指導員小宮さん(上地区)
上地区里地里山保全再生モデル事業推進協議会の里山・竹林部会の活動とし て、 上地区ハ沢で広葉樹の伐採とホダ木づくりを実施しました。このホダ木は3月25日実施予定の「里山の日」 のイベントで植菌する予定です。ボランティア養成研修第5回を兼ね、植菌体験と道具の手入れも行いました。
はじめに上地区の里山・竹林部会長、湘南地域県政総合センターの方から挨拶と作業説明があり、
ホダ木の伐採と植菌について大変詳しい資料が配布されました。また上地区に在住小宮さんが、林業普及指導員をしておられるとのことで、
指導にあたってくださいました。参加者は5班に別れ、それぞれに上地区の方々が入り市民に指導しながら作業を行いました。
現場は斜面の広葉樹林で、既に3週間ほど前に20本ほど倒してありました。これは、ホダ木にするには適する水分含量があり、
そのために「葉枯らし」といって伐採して葉をつけたまましばらく放置し、適度に乾燥させるためということでした。当日の作業は、
この伐採してある木を枝払いし、90cm(太いところは45cm)に玉切りするほか、新たに各班数本の立木の伐採~玉切り、
鎌での下草刈りなどの林内整備作業を行いました。最終的には、20~25年生のコナラ・クヌギで30本程度を伐採し、ホダ木にしました。
今回はボランティア養成研修生のほか、高校生が授業の一環として2校より男女5名が参加しました(曽屋高校3名と校長先生、南ケ丘高校2名)
。秦野市が高校にも宣伝を行なったとのことでしたが、大変嬉しいことです。中高生が、
授業を介して全員一度は地元の里山保全活動に参加するようにいなると良いと思います。
高校生たちは慣れない手つきでしたが、上地区の方々や林業指導員の小宮さんから道具の使い方など丁寧に教わり、
交代しながらノコギリを入れて立木の伐採などを行ないました。
この作業で出来た ホダ木は、大部分が3月25日里山ふれあいセンターで行われる「里山の日」のイベントで植菌されます。
本日の参加者は、当日2本を駒打ちして引き取ることができ、その引き換え券が配られました。
午後には、体験として若干の 駒打ち 作業と、道具の手入れを行いました。一般の市民らは、
山林羽物を研いだことのある人は少ないものです。上地区の方々や指導員の方の手本を見、鎌の構造や構え方、砥石の種類などから教わって、
それぞれに鎌研ぎを行いました。
最後に、ボランティア養成研修生は、今回が最終回のため、最後に今後の活動について打ち合わせを行いました。
おまけ 現場周辺・道中で発見したもの
道祖神
上地区の道祖神は、他のもこのように杉の葉で屋根葺きされています。こんなに大事にされてる道祖神は珍しいのでは。
後ろに咲くのはシダレウメのようです。
ツチグリ
図鑑でよく見るキノコ発見!
中央の丸い袋に胞子が入っていて、周りの星型は外皮が開いたもの。乾湿で閉開し、乾燥しているときに外皮が閉じ、
その先端で袋を突き破って胞子を飛散させるそうです。さらに、乾燥してると球状になって転がって移動するそうです。面白いキノコ・・。
意外と小さく、袋が直径2cm程度でした。さわるとフクっとして潰れそうです。
カルガモ
水路にカルガモ夫婦が…。
羽根の後ろの方に青い色が入っているほうが雄です。
苗床
バス停からあがる坂道の途中で見つけました。
多分、タバコの苗を仕立てるのに落ち葉で作ったという苗床は、このようなものだったのかなと思います。
2007年03月16日 [レポート]
鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備(落ち葉かき)平成19年1月20日
日 時 平成18年1月20日(土)9:00~13:00 * 午後雨天のため続き作業26日
場 所 神奈川県秦野市北地区羽根 約3.4ha
参加者 166名
北地区まちづくり委員会、羽根・菩提・ 戸川三屋生産森林組合、菩提滝の沢保存会、
横野造林組合、北財産区、森林組合、 農業生産組合、地元森林農家、ボランティア養成研修受講者、ふるさとカレッジ受講者、里山保全ボランティア、 清水久保里山づくりの会、神奈川育林隊、秦野市
今年も、昨年に続き落ち葉かきを実施しました。
秦野の里山はかつてタバコ生産のための苗場や堆肥に使うため、落ち葉かきをしていました。 しかし担い手の高齢化や人手不足のため里山が荒廃化し、多くが暗く湿った里山となり、北、東地区ではヤマビルが大量に発生し、 畑や山の仕事に支障がでておりました。
そこで、平成17年度から試行事業として、 里山ふれあいセンター周辺3.4haの里山で環境的防除の下刈り、枝打ち、間伐、落ち葉かき等の手法で、 里山を昔の美しい里山に蘇らせたところ、ヤマビルの減少に効果があるとの検証結果がでました(詳しくはヤマビル生態調査報告会を参照) 。特に冬の間に、木の葉も落ち葉もない状況で直射日光にさらされる地表は、温度が30℃以上、高いと35度くらいまえ上がり、 ヤマビルの生育に大きな影響があることが分かりました。しかし、 やはり夏にはヤマビルも鹿も活動が活発になり若干増えてしまうこと、人や獣が歩く道沿いで日当たりの悪いところなど、 ヤマビルが集中して生息する箇所があり、そこは減りにくいことなども分かりました。
本年度については、新たに、 熱及び炭による効果の検証を取り入れ、継続してヤマビルが住めない里山にするための試行事業を実施し、 併せて地域戦略に基づき落ち葉による堆肥づくりも実施します。
20日は、久々に冬らしい寒い日で、 朝は少し雪もちらつきました。
集ったのは約170名。地元と市民ボランティアと約半々です。
始めに秦野市と北地区まちづくり委員会和田会長より主旨説明があり、4班に分かれて作業を行いました。
作業手順は次の通り。
①地区内のすべての落ち葉かきを行い搬出
・ 枝や落ち葉以外のものが混じらないよう区分けして袋に詰める。
②地区内のヤマビルが多いと思われるところ3㎡で焚火
・ 熱によるヤマビルに対する影響を見るため周辺の焚き木を集め燃やす。
・火災にならないよう十分注意をし、 消火はスコップで砂をかけ行う。
・3㎡の範囲の四隅に木グイを打ち込む。
③炭の粉を5㎡に散布
・ 炭の粉を地面にまいてヤマビルへの影響を検証区とする。
・5㎡の四隅に木グイを打ち込む。
④腐葉土・ 堆肥づくり
・落ち葉を堆肥置場に集め腐葉土・ 堆肥づくりを行います。
・堆肥の中のヤマビルの発生状況を検証する。
各持ち場につき、早速作業開始。 斜面の上の方から横に並んで掻きながら降り、たまったところで2~3名づつ協力して袋(ネット袋と大容量フレコン) 詰めを行います。少し掻いただけでも山のように落ち葉がたまり、結構快感です。
袋詰めは、手や箕である程度詰めたところで、 1人が上に乗って踏み締め、さらに落ち葉を詰めて満杯にし、転がして道添いに集積します。
地元の人はさすがに慣れています。 袋に入れるとき、手に抱える落ち葉の量がハンパじゃありません。ふわふわと落ち葉詰めなんかしてたら日が暮れます。 がっつり集めてがっつり詰める。それにはコツがあるのです。教えてもらってやってみるけれど、イマイチ。 でも慣れないボランティアの参加者も、実に一生懸命に体を動かしていました。
くずかき前線
作業前↑
作業後↑
昨年、 ヤマビル生態調査の対照区として整備しなかった部分も、今年は12月の草刈り、今回の落ち葉かきと整備を行ないました。
面積が広くなったためか、 予想以上に落ち葉はたくさん集まったようです。
集った落ち葉は軽トラに載せて搬出し、 地元の皆さんが作られた堆肥場に運びました。
また今年の新たなヤマビル対策方法の検証として、上記②③を実施。 ②は林内所々に集積していた枯れ枝で焚き火を行い、消火後に試験区が分かるよう木杭を打ちました。③は粉炭(今回は、 約1300度の高温で炭化したという商品を利用)を5㎡に約20リットル散布し、木杭を打ちたました。
昼には豚汁がふるまわれ、 冷たい小雨の降る中で体を温めました 。午後には雨が振り出してしまったため、残りの搬出作業その他は、 日を改めて26日に地元のみなさんが行ない、ようやく終了しました。
尚、調査・ 指導いただいているヤマビル研究会が、調査データ補填のため温湿計を3箇所に設置しました。
2007年02月02日 [レポート]
鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備-腐葉土・堆肥置き場づくり
秦野の丹沢山系側の里山ではシカやイノシシがヤマビルを持ち込み、広がっています。山を明るくすることで、
ヤマビルが住めない里山にするための試行を、今年度も1月20日(日)に落ち葉かきに実施します。今年は、かいた落ち葉を利用して「腐葉土・
堆肥づくり」を計画しております。そのための置場への進入路の整備を実施しました。
平成18年12月4日~10日 腐葉土・堆肥置き場の侵入路整備
平成19年1月7日~8日 腐葉土・堆肥置場の柵用の竹伐採
平成19年1月13日~14日 腐葉土・堆肥置場の竹柵枠の設置
◆12月4~10日 腐葉土・堆肥置き場の侵入路整備 参加者 7名
秦野市羽根地内 全長約75m 幅員2.5m
堆肥場へ集めた落ち葉を軽トラで搬入するため、その道を舗装しました。業者まかせではありません。地元の方が汗を流しています。 直営施行です。
◆1月7~8日 腐葉土・堆肥置場の柵用の竹伐採 参加者 9名
堆肥場に使う竹を伐採しました。材料はいくらでも山にある。少数精鋭のメンバーでの作業。ご苦労さまです。
◆1月13~14日 腐葉土・堆肥置場の竹柵枠の設置 参加者 10名
上で伐った竹で堆肥場を作りました。堆肥場にはもったいないほどです。あるものを利用して、あっというまに作ってしまわれました。 年明け早々にたいへんご苦労さまでした。
2007年02月02日 [レポート]
ヤマビル生態調査報告会・報告書
日 時 平成18年12月22日(金) 13:30~16:30
場 所 秦野市・羽根地区 里山ふれあいセンター
参加者 北地区まちづくり委員会、 滝の沢保存会、羽根・戸川三屋・菩提生産森林組合、横野造林組合、農業生産組合、アイウエオサークル、かながわ山里会、 まほろば里山を育む会、里地ネットワーク、 環境文化創造研究所、農産課、茶業部、森林づくり課、
総計約50名程度
講 師 環境文化創造研究所 ヤマビル研究会 医学博士 谷 重和氏
目 的 報告内容を2部に分け、 平成17年9月6日から平成18年12月2日にかけて行われた羽根地区ヤマビル生息調査及び、 里山環境整備作業のヤマビルへの影響調査結果の報告会、 今後の秦野茶生産に向けてのヤマビル対策報告会が開催されました。
1部:ヤマビル生態調査の報告会 13:30~15:00
2部:お茶づくりとヤマビル対策 15:15~16:30
内 容(1部: ヤマビル生態調査の報告会)
平成17年9月6日から平成18年12月2日にかけ、 3.4ha.の土地を調査地試験区として3つに分け、 それぞれを落ち葉かき区・対象区(落ち葉かきを実施しない区)・シカ侵入防止柵. (ヤマビル撲滅試験圃場)として、 調査区の杭を全82箇所設置しその周囲3㎡のヤマビル生息調査を行った結果の報告会が行われました。
① 秦野市里山における気温の季節的変化と里山整備・ 落ち葉かきがヤマビルに与える影響と効果
シカ柵区内・対象区内にそれぞれ1箇所計2箇所サーモリーフを設置し、 地中と地表の温度を2005年11月から2006年9月まで、1日に8回計測(0・3・6・9・12・15・18・21時) しました。
その結果、冬季においてはシカ柵区で地表部の温度差が1日に40℃近く現れました(対照区では15℃前後)。地表の落ち葉がない事により、 太陽光が直にあたるため温度の急上昇、同理由で放射熱をためておけない為に温度の急降下、 また湿度が保たれないという理由により、生物にとって住みにくい環境となる事が判明しました。また、低温期・ 高温期における地表温度の比較では、温度が0℃を下回る回数はシカ柵区97回・対象区44回、 温度が30℃を超える回数は落ち葉かき区24回・対象区0回と、一定の温度以上では、双方の差が著しくなる結果となりました。 夏季においては、シカ柵区・対象区共に温度差異はほぼ見られなかった為、夏季の落ち葉かきは成果がでないことが判明しました。
② ヤマビルはどの程度の高温・低温に耐えられるか
40℃、35℃、30℃、4℃、0℃、-2℃、-5℃の環境において、 それぞれ5匹ずつヤマビルの耐熱耐冷試験を行いました。
その結果、5匹全てが死亡したのは40℃で3時間、35℃で24時間、-5℃で8時間でした。 他の温度では、1匹も死亡することはありませんでした。このことから、比較的高温に弱く、低温に強いことが判明しました。
③ ヤマビルの大きさから見た秦野市里山のヤマビル生態解析
シカ柵区、落ち葉かき区、 対象区でのヤマビル個体比率は以下の通りでした。
(小:30mg以下 中:30~100mg 大:100mg以上)
エリア |
年月 |
小 |
中 |
大 |
総数 |
シカ柵区 |
H17/9 |
81% |
14% |
5% |
44 |
H18/6 |
50% |
50% |
0% |
2% |
|
H18/9 |
17% |
34% |
49% |
41% |
|
落ち葉かき区 |
H17/9 |
65% |
17% |
18% |
444 |
H18/6 |
26% |
38% |
36% |
65 |
|
H18/9 |
63% |
21% |
16% |
160 |
|
対象区 |
H17/9 |
22% |
38% |
40% |
161 |
H18/6 |
8% |
49% |
43% |
79 |
|
H18/9 |
54% |
33% |
13% |
59 |
冬の落ち葉かきにより、落ち葉かき区、 シカ柵区では小個体が著しく減っていることが分かります(孵化個体の減少。落ち葉かき区39%減、シカ柵区31%減、対象区14%減)。さらに、平成17年9月と18年9月では、 小型個体の割合が落ち葉かき区では2%減少し、対照区では32%増加しています。 小型個体の割合が平成18年9月に落ち葉かき区と対照区で増加したのは、落ち葉かきによる影響がなくなる4月頃から、 動物やヤマビルの活動が活発になることにより、ヤマビルの吸血・産卵・孵化が行われて小型個体数が増加、 またにシカの採食期が重なったためと考えられます。この事から、夏場は落ち葉かき意外の防除対策が必要とです。また、 生息数が多い場所では少ない場所と比べて、ヤマビル防除対策を実施した後でも、個体数増加傾向が見られました。
また、ヤマビル20個体に対し血液によるDNA診断法を用い、吸血元の動物の同定を行った結果、 ヤマビルはニホンジカ(25%)・イノシシ(20%)を主に吸血元としている事が判明しました。
質 問
Q: ヤマビルが吸血している血は、ニホンジカの25%とイノシシの20%以外に何を吸っていますか。
A:吸っていません。
Q: ヤマビルがニホンジカに付着して移動する以外に、広範囲の移動をするのですか。
A:土砂で流されたり、落ち葉にくっついて風に飛ばされたり、動物にくっついたりという以外は大幅な移動はありません。逆に、数が多い・ 大型がいるといった場所は常に何らかの移動手段があるということなので注意が必要です。
Q: ヤマビルの大きさが大きくなる程、産卵期が早くなるのですか。また、産卵数が増えますか。
A:産卵期に関しては、大きさは関係がありません。吸血してから約1ヶ月で産卵し、 その後1ヶ月で孵化します。 しかし、吸血をしっかりした(複数回吸血している)ヤマビルは産卵した卵のうは大きく、数が多いのが特徴です。
Q: スギ・ヒノキ林のヤマビル個体数は里山林(落葉広葉樹林)に比べ、多いのですか。
A:圧倒的に数が多いです。特にスギ林(針葉樹林)は落葉してもその葉が分解するのに時間が掛かるため、 落ち葉と表土の間の気温が常に暖かく、そのため、ヤマビルにとっては過ごし易い環境となっています。
総 括1
里山において小枝やツルの伐採などの森林整備と落ち葉かきをすることにより、 冬季から春季の間は落ち葉かき区で85.2%、 シカ柵区で96.5%と著しい減少となり、 ヤマビルの生息数を大幅に減少させることができました。
【理由】
・ 落ち葉かきによるヤマビルの除去
・ 森林整備(落ち葉かき)による冬季のさらなる低温化がヤマビル生存環境を悪化
・ 森林整備・落ち葉かきによって冬季に直接太陽光が地表に達して30℃以上の高温の日数が多くなり、 ヤマビルにダメージを与えた
・ 冬季に35℃の温度差が生じ、 ヤマビルの生存環境が悪化
・ 落ち葉除去による土壌表面の保湿効果の減少
・ 里山が明るく、障害物が少なくなり遠くまで見通せるようになり、シカ等の野生生物に警戒心を起こさせ、里山に出没する機会が減少し、 ヤマビルが持ち込まれることが少なくなった
総 括2
1年後の夏から秋期には、 落ち葉かき区、シカ柵区ともにヤマビルの生息数が増加していました。
【理由:シカ柵区】
・ シカ柵の破損によるシカ等の野生生物の侵入があった
・ 大型のヤマビルが多く見られ、外部から持ち込まれた可能性が高い
・ 葉が茂り、太陽光が地表まで届かなくなり、夏場の更なる高温化が見られなかった
【理由:落ち葉かき区】
・ 葉が茂り遠くが見通せなくなり、野生動物の往来を抑制できなかった。
・ 夏から秋期には、シカの出産期・子育て期で活発な採食活動のあることから、シカの往来が多くなった
・ 葉が茂り、太陽光が地表まで届かなくなり、夏期の高温化が見られなかった
・ 小型のヤマビルが多く見られたことは、野生動物からの持ち込みによってヤマビルの吸血・産卵・ 孵化が活発に行われたことを示している
内 容(2部: お茶づくりとヤマビル対策)
「ヒルよけお茶づくり」を実現する為に、秦野市・茶農家・ヤマビル研究所が連携し、効果的なヤマビル対策を模索する。
① DDVP乳剤、 スミチオン乳剤、ラウンドアップハイロードのヤマビルに対する殺ヒル効果
それぞれの農薬を濃度を変え、それぞれ5匹ずつ殺ヒル効果試験を行いました。
その結果、5匹全てが死亡したのはスミチオン50%×25で60分後、 DDVP75%×1000で5分後、DDVP75%×2000で20分後、DDVP75%×4000で20分後、 ラウンドアップ×5で90時間後、ラウンドアップ×25で一週間後となりました。
(1) スミチオン乳剤は、25倍希釈の高濃度であれば殺ヒル効果は期待できる
(2) DDVPは、4000倍希釈の低濃度でも即効的な殺ヒル効果があるが、 発ガン性が心配される
(3) ラウンドアップは、 規定の使用濃度ではほとんどダメージがないが、高濃度の5倍希釈では1時間で致死率60%と若干効果が見られたが、 除草剤なので散布すると植物が全て枯死してしまう
② 竹酢液・食塩水のヤマビルに対する忌避及び致死試験
濃度10%の食塩水と、 竹酢液(原液)、竹酢液(10倍希釈) を容器に用意し、それぞれに中~大型程度のヤマビルを5頭ずつ漬けた後、 余分な液体を紙で拭き取り、その後60分間様子を観察しました。 触っても動かず、呼気に反応しないものを死亡とみなしました。
|
10% 食塩水 |
竹酢液(原液) |
竹酢液(10倍希釈) |
直後 |
激しくくねらせながら歩行 0/5 |
黄色粘液を出し、体をくねらせる 0/5 |
くねらせながら歩行 0/5 |
5分後 |
1匹呼気に誘引、 他じっとする 0/5 |
5匹とも側面に張り付き歩行 0/5 |
2匹呼気に誘引 0/5 |
15分後 |
小型死亡、他大型歩行 2/5 |
0/5 |
小型1匹瀕死、 他反応あり 0/5 |
30分後 |
大型2匹呼気に誘引 2/5 |
小1匹死亡、 3匹歩行 1/5 |
3匹歩く、 2匹じっとする 0/5 |
60分後 |
2/5 |
1/5 |
5匹歩行 0/5 |
③ 硫安、石灰窒素、硫酸カリ、ヨーリン、油カスのヤマビルに対する殺ヒル効果
それぞれの肥料(粒・粉剤)を水に溶いて用い、5匹ずつ殺ヒル効果試験を行いました。
その結果、5匹全てが死亡したのは硫安で5分後、石灰窒素で60分後、硫酸カリで5分後となりました。
また、硫安を4種類の希釈濃度に分け(10%、20%、30%、40%)、 それぞれの殺ヒル効果を検証しました。
10%: 60分後に80%が死亡
20%: 30分後に100%が死亡
30%: 10分後に100%が死亡
40%: 5分後に100%が死亡
総 括
各薬品自体の効果検証はできましたが、実際の農作業に照らし合わせてみると、使用には現実的でないことが判明しました。 茶農家から年間作業スケジュールを提供してもらい、それを元に現実的なヤマビル対策を計画していかなければならないと考えられます。 (現状は2番茶 (6月下旬から七夕前後まで) と3番茶 (9月下旬から1月1日前後) の前にDDVPを散布している。 )併せて、現状では実施が難しいと思われる手段も、試験環境を作り、テストを行っていきたいと考えています。
ヤマビル被害は茶摘み時と月1回ほど行われる草取り時。 手間や薬品の濃度、撒く回数など硫安は現実的でありません。また、問題点も複数あがりました。
・複数の栄養剤を使用したり薬品の散布回数を増やすことにより、茶の味が変わってしまう事もある
・石灰が効くという話もあるが、70%以上の致死量が見込めるという訳ではなく、 何もしないよりも忌避効果がある、という話だと思われる
・肥料兼ということでなく、単純に殺ヒル剤として硫安などを使用するのはどうか→DDVPを撒くだけで良いので、 現状と変化なし
・硫安を頒布する際に、ヤマビルを誘引してからということだったが、硫安水が土壌に浸透した結果、 土中にいるヤマビルは死ぬのではないか→土中であると、石の下や木の葉の下など逃げ場が多く、 またヤマビルの一部に硫安水がかかってもあまり効果は得られない上、他の場所にも逃げやすいため非効率的になってしまう。
最終的には、「ヒル避けお茶づくり」 のマニュアルが作成できるように、試行錯誤を重ねて行きたいと思います。
2006年12月28日 [レポート]
ヤマビル・獣害対策としての里山整備(下刈り)
日 時 平成18年12月2日 9:00~12:00
場 所 北地区羽根
参加者 約65人
(羽根生産森林組合、横野造林組合、戸川・三屋生産森林組合、菩提生産森林組合・菩提滝の沢保存会、清水久保里山づくりの会、
市民ボランティア、秦野市)
昨年行ったヤマビル・獣害対策としての里山整備を継続して行いました。ヤマビルが落ち葉の下など湿った環境を好み、 藪はシカの隠れ場所となって里に近寄る原因となることから、里山を整備してその害を防ぎ、 親しみやすい里山環境を再生することを目指すものです。昨年、実施前後にヤマビル生息調査を行ったところ効果が高いことがわかり、 その数は3分の1に激減しました。整備の継続として、今回は落ち葉をかきやすくするため下刈り作業を実施しました。
地区グループごとに範囲を分担し整備を行いました。昨年はヤマビルへの影響を調査するため、落ち葉をかく区域/ 落ち葉をかいて残す区域/落ち葉かきをしない(整備しない)区域などに分けたが、効果があることが分かったため今年は残さず整備します。
昨年整備しなかった区域ではススキや笹が高く伸びているところもありましたが、地元住民らが各自草刈機を持参し、全て刈払い、 集積しました。枯れ木はチェーンソーで伐採、落ちている枯れ枝などはボランティアと市職員らが拾い集め、 落ち葉かきのしやすい状態を整えました。
作業面積は地主による自己管理地を含め3.4ha。 周囲にも各活動団体による管理地がありそれぞれ都合のよいときに整備することになっています。 昨年のボランティア養成研修を経て結成された新しい活動団体「清水久保里山づくりの会」は本日の作業に参加しました。
尚、市では昨年の実績をふまえて「ヤマビル対策ガイド」を作り市民らに配布しています。新聞に掲載されたこともあり、
外部からの問合せも相次いでいるとのことです。
2006年12月05日 [レポート]
田舎に泊まって里山体験 桜の植樹と散策路整備
日 時 11月25日(土)9:00 ~ 26日(日)12:00
場 所 秦野市菩提 不動の滝周辺
参加者 125人
地元53人(菩提滝の沢保存会、菩提生産森林組合、食生活改善推進委員会、菩提財産区)
市民ボランティア56人(宿泊22、養成研修19、他15)
北中学校8人、秦野市長および秦野市ほか8人
不動の滝とその周辺の滝の沢地区は、全国名水100選に選ばれた秦野湧水 の水源である丹沢山麓の景勝地であり、沢登りの名所として、
また信仰の滝として知られています。この一帯を、春には桜に彩られる美しい景観でハイカーや市民に親しまれる里山とし、
その歴史文化とともに継承するため、10月の下刈り作業に続き、桜の植樹を行いました。
また、来春新装オープンする「くずは青少年野外センター」を拠点とした宿泊型の里山保全活動の試行として、上記作業に加え、
地元とボランティアの交流、郷土料理、秦野の里地里山めぐり、木工作などを織り込んだ1泊2日のプログラムを行いました。
内 容
◆◆25日 桜の植樹と散策路整備◆◆
はじめに菩提滝の沢保存会会長と秦野市長より挨拶があり、記念植樹と看板設置を行ないました。
(会長)不動の滝は地域の信仰の中心となってきた場所。「男坂」「女坂」と呼ばれる二つの坂道があるが、「男坂」
は長く通れない状態となっていた。そこを復元しようと、まず下刈り作業を実施し、今回桜を植樹することになった。
吉野のような桜の名所にしたい。
(市長)秦野市では今、里山を蘇らせようと市民一丸になって取り組んでいる。
神奈川県の水源環境保全税の3分の1が秦野に投入されることが約束された。これを活用し、1年40ha、
5年で200haの里山再生を目指す。全体では1150haの里山があるので50年で整備し50年で育てる、
100年の森づくりに取り組みたい。また平成22年には神奈川県で全国植樹祭が行われるが、その開催地をぜひ秦野市に招致し、
山を愛する秦野としてアピールしたい。
続いて作業説明があり、ボランティア2~3人に地元指導者1人の組をつくり、苗木と道具をもって山に登り作業を行いました。山桜50本、
ソメイヨシノ50本、八重桜50本の計150本を植樹しました。
作業は、30cm以上の穴をスコップ・唐鍬で掘って苗木を植え、鹿よけのネットをまき、添え木(竹)を立ててシュロ縄で固定します。
1組が約5本づつ、分散して作業を進めました。10月の作業でおよその植樹箇所の目印はつけていましたが、
みなさん桜の咲く情景を思い浮かべ、見映えのする箇所を相談し、また活着しやすそうな場所を選びながら、慎重に作業を行っていました。
中には急斜面で足場の悪い所もありましたが、地元の方々の指導のもと、無事に作業を行うことができましたた。作業合間の会話を通して、
ボランティアと地区住民との交流も自然と深まったようです。
苗木を背負って上がる 急斜面での植樹作業
地元北中学校からも、校長先生と生徒7人が参加しました。生徒たちは鍬の使い方などを教わりながら協力して植樹し、
「こんなに苦労して植えたんだから、花が咲くころになったら絶対にまた来よう」などと話し、とても楽しそうでした。
地元に住んでいても来たことがない生徒が殆どで、作業のあと滝の沢保存会の方と一緒に滝を見に行き、不動の滝のいわれなどを教えてもらい、
子どもたちが地元の文化に触れる機会となりました。
植樹作業をする中学生「花が咲く頃、絶対また来よう」
不動の滝を訪れ滝の沢不動尊について話を聞く中学生
植樹作業は順調に進み午前中で終了。
午後は、作業箇所の点検と、散策路入り口周辺の整備作業を行いました。入り口周辺の道沿い斜面は未着手だったため、
道に張り出した木などを間伐し、引き下ろして枝をはらい焼却し、その後、桜を植樹しました。
◆◆25日 交流会(場所:菩提会館)◆◆
交流会では、元北財産区議長で市史編纂委員を務め菩提の郷土史もまとめた三嶽敏雄さんから、昔の里山の暮らしについて伺いました。
「秦野では皆タバコで暮らしを立てており、タバコ栽培に伴って里山が管理されてきた。今、タバコ栽培は行っていないのだから、
里山を守ることは秦野を守ることだ。皆さんの力をかりて秦野の里山をよみがえらせたい」とのお話でした。
食事は、地元菩提の方々がつくった素材をふんだんに使った郷土料理で、杵つき餅、手打ちアシナガキノコそば、猪鍋、
手作りコンニャクなどのご馳走が並びました。食生活改善推進団体の柏木紀子さんから紹介してもらい、味わいながら交流を深めました。
「昔の里山の暮らし」三嶽さん 話を聞く参加者
料理の説明をする柏木さん 地場産素材たっぷりの郷土料理
秦野市長もおいでになりご挨拶いただきました。その後、全員が一言づつ自己紹介と感想を発表しました。参加者からは「今横浜に住んでいるが、
生まれ育った秦野で活動に参加し、貢献したい」「銀行員をしているが秦野で農園をかりて毎週のように自然の中でリフレッシュしている」
「大学で環境関係の活動をしているが、実際に汗を流し、地元の方とも交流できる今回の活動は新鮮」「地元密着型でよい企画だ」
「次世代につなげる活動をするとよい」などの感想が聞かれました。
参加者も全員一言づつ 地元の方が見せて下さったタバコの種 ケシの実より小さい!
最後に、滝の沢保存会古谷会長より「はだの里山保全再生団体等連絡協議会」発足についてお知らせがありました。当協議会は、
市内の活動団体が連携して里地里山の保全再生を推進していくため、平成18年11月18日に正式に発足、
保存会会長でもある古谷角造氏が協議会会長に就任しました。古谷氏からは、「23団体で立ち上げたが、今後会員団体をもっと増やして、
多くの人々の参加により、市内の里山再生をいち早く進めていきたい。毎年活動スケジュールを組んで情報を流すので、
今後もぜひ参加してほしい」との話がありました。
宴たけなわの中で中締めを迎えたが、夜遅くまで語り合う参加者もありました。
◆◆26日 秦野の里地里山めぐり◆◆
26日は、とろろご飯など郷土料理の朝食を頂いたあと、楽しい催しとお土産付きの盛りだくさんの内容で秦野の里地里山を満喫しました。
今回は「くずは青少年野外センター」活用プログラムの試行でもあり、前日の整備作業に加えて、
秦野の良さを参加者に味わってもらうための様々な企画が盛り込まれた。至れり尽くせりの内容で参加者らはたいへん満足していたようです。
声としては、交流会を行った菩提会館でお祭りの写真を見て、地元の祭りとタイアップした活動があってもいい、との感想も聞かれました。
○朝食
とろろごはん、きんぴら、三色なます、豆腐となめこの味噌汁、漬物
○葛葉の泉
秦野の湧水の一つで、菩提地区にある「葛葉の泉」を見学。水をくみやすいように整備されており近隣にも有名で、
着いたときには水をくみに来た人々とタンクの列ができていました。行列の合間に水を飲ませてもらい、
隣の沢の流れと周囲の紅葉を楽しみました。
○くずは青少年野外センター
秦野市営の施設で、青少年の野外活動と里地里山保全活動の拠点として来春オープン予定の施設。改築途中であるが、
ほぼ完成した建物の内部を見学しました。
特徴は、神奈川県産材を利用した木造建築という点で、床・壁・天井・柱と殆ど全て木造で、入るととてもよい木の香りがします。
付近から切り出した秦野産材も多く用いているそうです。床は柔らかい杉材の表面を圧縮加工して補強したり、
柱は板を張り合わせる工法を用いるなど、木材を無駄なく使う工夫がこらしてあります。活動棟には大ホール、調理室、シャワールーム、
浴室などがあり、研修棟の宿泊収容人数は140人。クーラーはなく、山からの自然の涼風を取り入れる構造になっています。
暖房にはチップボイラーを導入し、間伐材などを燃やしてバイオマスエネルギーを活用する。水も山の湧水から引き込んでおり、
周囲の自然環境になじむ設計となっています。キャンプ場には、雨天時も困らぬよう100人が入れる東屋「八角の館」、炊事棟、
上履きで上がるトイレ・シャワー棟などがあります。
○木工作、丸太切り(場所 里山ふれあいセンター)
木工作では各自ティッシュボックスを作成しました。材は切り揃えられており、釘を打って組み立てる作業でしたが、
思いのほか釘が曲がって苦戦する人も。かなづちの二つの面の使い分けを教えてもらい、初めて知った参加者も多かったようです。
丸太切りは男女別で競争し、タイムを計られるので結構本気。男性のトップは8秒と信じられない速さでした。
男女各1位には椎茸の原木がプレゼントされました。
一生懸命ティッシュボックス製作中
丸太切り競争 男性トップは8秒! 女子大生も頑張りました
○サツマイモ堀り
最後に、丹沢の山並みの見える畑でサツマイモ堀りを行いました。芋ほりはなぜか大人になっても楽しいもので、
どの参加者も掘り出す芋の大きさに一喜一憂。掘った芋は持ち帰ることができ、袋にいっぱいの芋を抱えた参加者もありました。
○お土産、鶴巻温泉弘法の里湯
帰りにはたくさんのお土産が配られました。秦野産の、みかん、お茶、竹炭、竹酢液、木の鍋敷き、
各自が掘ったサツマイモと作ったティッシュボックス。さらに鶴巻温泉「弘法の里湯」の入浴券。温泉で汗を流し、さっぱりとして解散しました。
盛りだくさんのお土産
2006年11月30日 [レポート]
柳川生き物の里 稲刈り
日 時 平成18年10月28日(土) 9:00~11:30
場 所 秦野市上地区柳川
参加者 51名(環境省4、
県4、
東海大学藤吉研究室12、
秦野市環境市民会議4、
ボランティア7、
地元13、
秦野市ほか7)
昨年9月に、生き物の里のより良い保全のため研修を行った柳川では、 昔あった水辺と田んぼの環境を復元しようということが具体的な計画となりました。その後、10月29日に水源周辺の竹林整備、 翌3月18日に水源と水路の復元、6月18日に指定エリアの一部(3a)で田植えを行ない、当初の計画にそって田んぼを復元しました。 今回はその収穫作業として稲刈りを行ないました。
はじめに、上地区まちづくり委員会佐野会長と、地元農家湯山さん、熊沢さんより、これまでの経緯や作業内容を含めてお話がありました。
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佐野会長:
5月始めに播種し、6月18日に田植えをしてから130日たった。
稲をつくることは命を育てること。20年放棄していたとは思えない出来となった。数えると、一つの穂には120粒ついていた。
稲は分けつして1本が約5本になるから、1粒が約600粒にふえたことになる。
6月24日に化成肥料を施したが、農薬は一切使っていない。
田んぼは単発作業では出来ず、日常管理が必要。これまで、地元の柳川生き物の里運営委員会の方々が、水管理、畦畔の草刈り、
田の草取りなどをしてくれた。地元の方の日常的な関わりと、田植え、稲刈りなどで都市のエネルギーとをブレンドすることで、
やってこれたと思う。
11月11日には、収穫祭を行なう予定。この場所で餅つきを行なう。丁度上地区のかかし祭り(11月5日~12日)
も行なうので是非来てほしい。
湯山さん、熊沢さん:
最初の作業は10月29日だった。それから明日で丁度一年がたつ。皆で一丸になって取組んだのが今日に繋がったと思う。
田植えは、株間23cm、畝間30cmで行い、約4400株ある。一株5本植えで、分けつで1本が5~6本になるので現在25~30本/株。
1つの穂には約120~130粒ついている。今年は冷夏で日照時間も少なかったがここは上出来のようだ。
首根イモチとニカメイチュウによる被害(節を食害するので 引っ張ると節から抜ける)が少しあったが、
3aで120キロぐらいの収穫と予想している。
今日は、稲を刈って掛け干しする。立っていた稲を逆さにすることで、栄養を全部穂に集める。
倒れても濡れないように乾いたところに掛け干しする。
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作業は、「刈る」「束ねる(まるく)」「運んで掛ける」の3つの作業を分担し、随時交代しながら行ないました。
また地元の方が中心となって稲をかけるオダ作りを行ないました。
まずベテランから作業説明 オダ作り
慣れない手つきで頑張る学生 子どもたちも挑戦
ここの田んぼは、通称「どぶっ 田」 と 言われるぬかるむ田んぼで、一度入ったら容易に動けず、四苦八苦する人も。
また穂が下につくと泥が籾についてしまうため、なるべく泥につかぬように、脚立を台代わりにしたり、
稲束投げて渡したりして作業を進めました。
束ねる(「まるく」)方法は、地元の人は手元を見なくても、クルクルっと素早くやっていましたが、慣れない市民らは教わったり、
見よう見真似で行い、「これじゃぁすぐ解けるぞ」と言われやり直す場面も。
農家の人が正確に素早く、無駄なく作業する様子は本当に感心します。
刈った稲束を運ぶときは、距離はほんの150mほどでしたが、どっしりとした実りを肩に実感できました。
ようやくコツを覚え、作業に勢いの出てきた頃には終了に。
最後に落ち穂を拾って稲刈りを終了し、オダ一杯の稲の前で集合写真を撮りました。
休憩時間と終了 後に、 地元のお母さん方からふかし芋の差し入れがり、甘いサツマイモを皆で頬張りました。
甘いサツマイモ 芋を頬張る東海大の学生たち-すっかりなじみの顔ぶれ
現場には、東海大藤吉研究室作成の新作看板と、
これまでの作業の経緯等が掲示されていました。
2006年10月30日 [レポート]
東地区(寺山地区)竹林整備活動報告書
日 時:10月21日(土)9:00~15:00
場 所:神奈川県秦野市寺山(東地区) 1,114㎡
参加者:47名(地元生産組合5、地権者2、ボランティア養成研修21、名古木里山を守る会8、
荒廃農地解消市民ボランティアの会3、市民ボランティア3、秦野市ほか5)
30名(東中学校生徒役)
かつて竹林では竹材やタケノコの生産をしていましたが、最近では放置されるところも増えてきました。
一度生えすぎた竹林は人が入れなくなります。竹林をもう一度整備して、人が入れる、
タケノコがとれる楽しい身近な竹林にしていくための整備を行ないました。
東地区では、集落周辺の林や竹林が藪化し、子どもたちが安心して遊ぶ場所も減ってしまったとの声が、昨年の地区別懇談会で上がっていました。
今回、東小学校のかつての水道水源周辺の竹林が荒廃していることから、地域の子ども達も参加して、この竹林の整備作業を行いました。
現地は水田と休耕田が何枚か続いた先に竹林があり、その最奥に水源(横井戸)があります。はじめに水源に行き、
東地区まちづくり委員会会長の挨拶と、地域の歴史に詳しい武氏からこの水源についてお話を伺いました。
<武氏のお話>いまから84年前に東小学校が開校し、その2年後にこの水源の水で水道を敷設した。当時は、
近隣の小泉家が機織のためにこの水を使用していたが、好意で水を分けてもらい小学校に水道を引くことができた。敷設から20年後、
水道管が壊れたため村人の勤労奉仕と村内外からの寄付金によって改修し、秦野市合併(昭和30年)まで使用された。私も小学校時分、
この水源の水を飲んで過ごした。またこの下の水田の水源としても長らく使用されている。水源は横穴式井戸になっており、水神様と、
改修時に建立された記念碑が立てられている。
最初に入ったときの竹林は、密生し古竹・枯竹が縦横無尽に倒れ、暗い竹藪状態でした。最終的に残す竹には事前に目印がつけられており、
それ以外を伐採・搬出する作業を行ないました。地元の方々は草刈り機・チェーンソーで手前から、
市民ボランティアはノコギリを用いて中の方から作業を行ないました。
搬出道は竹林脇の細道のみで大変でしたが、搬出が進むにつれ徐々に作業性もあがり、 人海戦術で着々と林内は片付いていきました。10時頃から東中学校の生徒約30人も参加し、水源で話を聞いたあと、搬出作業を手伝いました。
午後も作業は続き、搬出しきれないものは止むを得ず林内に積みましたが、残す印のあった竹以外はほぼ整理でき、
作業前とは見違えるような、空間の多い木漏れ日の差す竹林となり、竹に埋もれていた水神様と記念碑もよく見えるようになりました。
搬出した竹は、使えるものは枝を払って集積し、その他は焼却処分しました。
お昼には、サトイモやアシナガ茸など秋の味覚の入った豚汁が振舞われました。
2006年10月27日 [レポート]
北地区菩提 不動の滝周辺の散策路整
日 時:10月14日(土)9:00~15:00
場 所:北地区菩提不動の滝周辺
参加者:58名 (菩提滝の沢保存会29、神奈川育林隊15、ボランティア10、秦野市ほか4)
秦野名水100選に選ばれた秦野湧水の水源の一つである丹沢山麓の景勝地、「不動の滝」周辺を、 桜に彩られる美しい景観でハイカーや市民に親しまれる里山にすることを目指し、 今年11月に散策路周辺への桜の植樹を予定しています。今回は、植樹 に備えた下刈りと片付け作業を行ないました。
散策路入り口は、北公民から車で5分ほど林道を入ったところにあり、そこから徒歩で15分ほど散策路を登ると不動の滝に着きます。
朝9時過ぎに参加者が入り口に着いたときには、地元の方々が既に整備を始めており、チェーンソーの音が聞こえていました。
はじめに滝の沢保存会会長と秦野市より作業の主旨と手順について説明があり、その後、下(散策路入り口周辺)、中ほど (散策路途中の沢沿い)、上(沢から上へあがる階段周辺)に分かれて作業を行ないました。
チェーンソーを持っている人が伐採し、手作業で枝をはらい片付けを行ないました。現場は急斜面が多く、 支えがないと滑り落ちそうな足場の悪い中での作業でしたが、事故もなく無事に作業を行なうことができました。ただ、 作業がハードなだけに指示者が不足し、ボランティアは少々右往左往する場面も・・。地元の方と育林隊のみなさんは、 さすが慣れているだけあって手際よく作業を勧めておられました。
作業前の状況では、高木が若 干あったほか、人の背丈を越える高さの潅木が密生し藤がからみついていましたが、 カエデなど見栄えのする樹木を残して整備し、一日で見違える景観となりました。沢周辺も、覆いかぶさる枝や倒木を整理し、 美しい渓流があらわに。桜植樹ポイントの印つけも行ない、翌日に予定していた作業まで終了できました。
昼休みには皆で不動の滝を見学に行きました。木立の中で岩盤を簾状に落ちる高さ15mほどの滝で、水しぶきが上がり、 荘厳で冷涼な場所です。滝の傍らには、岩を掘り込んだ祠にお不動様が祀られており、隣に観音様と「村内講」 と彫られた小さな石の祠があります。年に一度、地区の方々が集ってお祭りをするそうです。不動の滝の水は、菩提地区を流れる新田川に注ぎ、 葛葉川、さらに金目川に合流します。
2006年10月17日 [レポート]
鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備(北地区羽根)平成18年9月22日
日 時:平成18年9月22日(金) 9:00~12:00
参加者:菩提・羽根・戸川三屋生産森林組合、菩提滝の沢保存会、横野造林組合、 秦野森林組合、北地 区農業生産組合、秦野市、その他 19人
場 所:秦野市北地区羽根
内 容
里山整備の阻害要因となっているヤマビルは、落ち葉の下などの湿った環境や20度位の温度を好むた め、(株) 環境文化創造研究所の指導の元に平成17年9月に広葉樹林でヤマビル生息状況を調査した後、12月に下刈り、 平成18年1月に落ち葉かき等の里山整備をし、ヤマビル減少効果の検証を続けてきました。その結果、 平成18年6月の生息数再調査では、明らかな頭数の減少が見られました。
今回は環境整備を行った3つの検証区域の整備1年後の生息数調査を行い、 環境整備によるヤマビル防除効果を検証しました。
・検証区域(別図参照)
約3.4ヘクタールをA~Dの4つの区画にわけ、それそれ下の①②の検証区域、 比較検証のための③ヤマビル撲滅試験圃場を設ける。
②落ち葉かきを実施しない場所(対照区)
③ヤマビル撲滅試験圃場を設ける。(シカ柵区)
調査方法は前回と同じで、 ヤマビルを誘引し捕獲する方法です。ポイントを82箇所設置し、ポイントごとに約3平方メートルの区画内で、 地面に振動をくわえ呼気を吹き、出てくるヤマビルを採取します(一箇所およそ5分間)。
出没したヤマビルはピンセットで捕獲してアルコール入り (濃度60%)の試験管の中に直接入れ、試験簡易は地点ポイントを記載して持ち帰ります。持ち帰ったヤマビルは環境文化創造研究所で預かり、 全てのヤマビルの重量測定・DNA分析などを行い、どんな状態のヤマビルがそのポイントにいたのかなどの詳細を調べます。
○調査結果
|
17年調査 |
18年 1回目調査 |
18年 2回目調査 |
総出現頭数 |
697頭 |
149頭 |
262頭 |
ポイント毎 平均出現数 |
8.5頭 |
1.81頭 |
3.19頭 |
前回調査時よりもヤマビル出現頭数が増えてしまっていますが、 捕獲されたヤマビルの殆どがまだ幼齢期(体長0.8ミリ前後) であったことから、6・7月ごろに吸血したヤマビルの子どもだという事がわかります。
成齢期のヤマビルの捕獲数が減ったということは、 やはり環境整備のヤマビルへの影響は大きいと考えられます。しかし、環境整備が不十分であったところは成齢期ヤマビルの捕獲もありました。 環境整備の影響は1年経つとその結果が如実に現れてくるので、しっかり整備された箇所とそうでない箇所の差が出てきてしまいます。 今後も調査や整備ボランティアを通して、継続的なしっかりとした環境整備を行っていきたいと思います。
前回の調査で好成績を出したヤマビル撲滅試験圃場では、 残念ながら鹿柵が鹿 (及びハクビシン)に破られてしまっており、鹿柵内に侵入を許してしまっていました。鹿柵内には、動物のぬた場のような箇所ができており、 その付近で多くのヤマビルが捕獲されました。
鹿柵内で捕獲された44匹のヤマビルは他の箇所と違い、ほとんどが成齢期であったことから、(2~3年生)、 外部から新たに持ち込まれたものだと分かります。しかし、逆を返せば幼齢期のヤマビルがほとんど捕獲されていないということは、 鹿柵はヤマビル防除にとても有効だということです。鹿柵を1年壊れずに保つのは非常に大変ですが、 里山整備と併せて継続していきたいと思います。
2006年10月04日 [レポート]
ボランティア養成研修(1回目) 報告書
里地里山の保全整備を実際に進め里地里山の保全・ 活用を社会に定着させるためには、地元農林家だけでなく大勢の市民の参加が必要です。都市部(秦野でも中心の町場) で生まれ育った人々は、里地里山に関心があっても活動に参加するきっかけをつかめない場合や、 整備作業をすることに不安を覚えることも少なくありません。また、土地をもっている農林家も、人手があれば整備したいと思いながらも、 基礎的な知識や経験がない人を自分の土地に入れるのをためらうものです。そのため、 ボランティア養成研修を通して山や里に入るルールや、 管理を行うための基本的な考え方や道具の使い方などを座学と実践を通して学びます。
研修は、次の5回シリーズで実施します。
1回目 2006年9月16日(土) 森林インストラクターによる講義・ 実技
2回目 2006年10月21日(土) 竹林の整備(東地区・寺山)
3回目 2006年11月25日(土) 桜の植樹と散策路整備(北地区・菩提)
4回目 2007年1月20日(土) 落ち葉かきとたい肥づくり(北地区・ 羽根)
5回目 2007年2月24日(土) 雑木林伐採としいたけのホダ木づくり (北地区・羽根)
1回目 森林インストラクターによる講義・ 実技
日 時 2006年9月16日(土) 9:00~15: 00
場 所 秦野市渋沢 千村長坂里山林
参加者 市民18名 秦野市3名 ほか1名
内 容
9: 00 渋沢公民館会議室にてボランティア講座
11:30 昼食
12:30 実技研修(道具取り扱い、除伐、枝打、間伐)
14:45 本日のまとめ
15:00 解散
里地里山保全活動ボランティア募集と市の広報で参加者を募り、 21名の応募がありました。(当日欠席3名)
今回は、第一回目の「森林インストラクターによる講義・実技」研修です。
午前中は渋沢公民館に集合し、森林インストラクターの椎野恭治氏 (まほろば里山林を育む会会長)を講師とした講義が行われました。人はなぜボランティアをするのか、ボランティアの二次効果、 ボランティア活動中の補償など多岐に渡って講義が行われました。
講師の森林インストラクター・ 椎野恭治氏 講義を受ける研修生のみなさん
屋内での講義が終了し、 本日の実技研修の場であるまほろば里山林を育む会活動林・千村長坂里山林に移動して午後の実技研修に備えます。
実技研修では、林内のスギを間伐し、枝打ちを体験しました。 里山の景観を保
全し、また健全な材を育てるた めには間伐や枝打ちという作業が必要で、 間伐は生育が十分でない細い木や曲がってしまった木などを主に対象として行うといった説明を、研修生はみな真剣に聞いていました。
また、台風や自然災害の影響を受けそうな樹木も、間伐の対象です。今回は、 放って置くと畑に倒れそうなイヌシデの木も間伐しました。椎野氏の指導のもとチェーンソーで立木を倒すと、ナタやノコギリを駆使し、 倒された樹木の枝打ちを行っていきます。切り落とされた枝は、葉の部分を下に、その上に枝を乗せていくことで、早く土へ還ることができます。
伐採前のイヌシデ 伐採後
千村長 坂里山林で一番大きなスギの枝打ちをしながら、 これで猛禽が来るようになると言われていたのが印象的です。(枝が茂りすぎると、オオタカなどの翼が大きい鳥類は枝にぶつかってしまうため、 休めない)
枝打ちの様子を見学中
研修生の皆さんは初めてのことも多く、慣れないこともあったと思いますが、 この研修で学んだ事を、色々なボランティア活動に活かしていただければと思います。
2006年09月26日 [レポート]
渋沢丘陵散策路整備(3回目) 報告書
秦野盆地を一望できる渋沢丘陵は、かつては地域住民の生活に深く関わる里山として、人の手によって整備されてきました。しかし近年、
里山の経済的役割の縮小とともに整備が行われない場所が広がってきています。
長年放置され、通行できない状況であった散策路を整備することにより、渋沢丘陵の魅力を高め、
自然にふれあう機会を充実させることができると期待されます。
日 時 平成18年7月29日(日) 9:00~14:00
場 所 秦野市渋沢地内 全長約400m(下図) 整備予定延長100m
参加者 渋沢丘陵里地里山を楽しむ会 6人
まほろば里山林を育む会 2人
ボランティア養成講座 4人
ボランティア応募者 6人
秦野市ほか 4人 総計21名
内 容
・ はじめに石井昇氏(渋沢丘陵の里地里山を楽しむ会会長)から作業の手順が告げられました。 今回は前回の天候不順で整備しきれなかった部分の階段設置と、設置済みの階段整備作業を行いま した。
・ 作業は、階段の設置班と整備班に分け行われました。設置班は整備予定延長100メートルのうち、 残り40メートル部分の階段設置を行いました。
整備班はすでに設置された階段の整備です。横の水路が秋になると落ち葉で埋まってしまい、水があふれてしまうため、 階段の木の部分より土の部分が上にくるように土を盛り、笄版(こうがいばん)でならす作業を行いました。
【整備前】 【整備後】
・ 階段を設置した100メートル以降300メートルの散策路については、渋沢丘陵里地里山を楽しむ会の皆さんの手により、 重機を用いてならし、整備を行っていただきました。
・ ボランティアが昼食会場となる須賀神社内の草刈も行いました。1時間ほどで草刈が終了し、階段づくり班に合流します。
【整備中にクワガタ取れちゃいました】 豊かな里山ならではですね。
・ 整備予定延長100メートルの内、残り約40メートル・19段の階段整備が完了しました。
【整備前】 【きれいに階段ができました!】
・ 整備作業後は参加者でバーベキューを行い、楽しみながら親睦を深めました。
2006年08月17日 [レポート]
渋沢丘陵散策路整備(2回目) 報告書
秦野盆地を一望できる渋沢丘陵は、かつては地域住民の生活に深く関わる里山として、人の手によって整備されてきました。しかし近年、
里山の経済的役割の縮小とともに整備が行われない場所が広がってきています。
長年放置され、通行できない状況であった散策路を整備することにより、渋沢丘陵の魅力を高め、
自然にふれあう機会を充実させることができると期待されます。
日 時 平成18年6月18日(日) 9:00~15:00
場 所 秦野市渋沢地内 全長約400m(下図) 整備予定延長100m
参加者 渋沢丘陵里地里山を楽しむ会 6人
まほろば里山林を育む会 2人
ボランティア養成講座 4人
ボランティア応募者 3人
秦野市 4人 総計19名
内 容
・ はじめに椎野恭治氏(まほろば里山林を育む会会長)から作業の手順・注意事項(雨天で足元が滑りやすくなっている)が告げられました。
今回は、伐採班が2名いるので効率よく杭・渡し木が供給できると思います。
・ 作業は、ボランティアが草刈り、渋沢丘陵里地里山を楽しむ会が階段づくり、まほろば里山林を育む会が木の伐採と手分けして行いました。
・ 1時間ほどでボランティアによる草刈りが終了し、階段づくりに合流しました。
・ 前回の経験から、作業用の道具に鍬・つるはし等を準備したため作業がはかどりました。
・ 整備予定延長100mの内、約60m程度まで43段(今回は27段)の階段整備が完了しました。
・ 残念ながら作業日が2回とも雨にたたられてしまいました。
・ 残りは比較的勾配の緩やかなところであるので、次回半日程度作業を実施することとします。(7月下旬~8月上旬)
【杭・渡し木を作るための伐採】 【杭として使うため先端をナタで加工】
2006年07月05日 [レポート]
上地区竹林整備活動 報告書
日 時 平成18年6月17日(土) 9:00~13:00
場 所 秦野市上地区三廻部 竹林1,600平方メートル
参加者 上地区竹林部会、竹林保全ボランティア、四十八瀬川自然村、炭焼き研究会、秦野市、
市外ボランティア 総計20名程度
【目 的】
・ 竹は、かつてはタケノコや資材として利用されてきました。秦野にも集落の近くに竹林がありますが、
最近は利用が減り放置されるところが増えています。放置された竹林は過密になり、景観が荒れ、表土を抑える力も衰え、
植生は単調化して生物多様性の低下を招きます。さらに放置すれば周囲にまで拡大してしまいます。このような竹林をもう一度整備し、
人が入れる、タケノコのとれる楽しい身近な竹林として再生します。
・ スギ植林地への竹侵入により、健全なスギ育成が阻まれている現状を改善するため、林内整備を行います。
【作業内容】
・ 平成17年11月26日に行われた竹林整備地域内の古竹搬出、
および今回の整備地である隣接するスギ植林地1,600平方メートルに侵入した竹の伐採と搬出をします。
別班として作業地および周辺竹林で収穫したたけのこを使い、たけのこごはん、焼きたけのこ、たけのこの味噌汁作りを行ないました。
・ スギ植林地1,600平方メートルの整備地内で青竹を切り、搬出します。竹林整備を行いつつ、
林内に芽生えているたけのこを当日のお土産と焼きたけのこ用に取ります。本日の昼食用食器にするために、竹皿用、竹お箸用、
味噌汁用の竹カップに青竹の一部をそれぞれ加工を施しました。今回の整備地での整備は以上で、
前回整備地に残されている竹の搬出メインに行いました。
・ 継続整備地からの搬出は、林内に置かれた古竹の位置から参加者がトラックまで並 び、バケツリレー式で搬出されました。
搬出された竹はトラックに載せられ、近隣の河原に運び焼却です。ここしばらくの悪天候が影響し竹に水分がかなり含まれてしまい、
作業後も焼却にかかりきるなど、燃やすのに時間がかかってしまいました。
・ 当日中に焼却処分できるだけの竹を搬出しても、林内にはまだ積まれた竹山が残っており、
すべてを林外に出すにはまだまだ作業が必要です。
・ 作業で汗を流した後は、地場産たけのこを使ったできたての昼食を皆でいただきました。 暑いほどの日差しの中で談笑しながらの昼食です。
たけのこごはん、たけのこのお味噌汁、焼きたけのこ。
前回参加者への郵便と泰野市内のセブンイレブンおよびイトーヨーカ堂に貼られたボランティア募集の用紙のみで参加者を募った結果、
10名前後のボランティアが集まってくれました。整備すべき竹林は他にもあり、ボランティアのリピーター率を上げ、
正常な竹林状態を取り戻し、今後の里地里山保全活動に活かすためには継続的な作業が必要です。
2006年07月04日 [レポート]
鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備(北地区羽根)平成18年6月6~7日、6月26日
【主旨】
秦野市では環境省の里地里山保全再生モデル事業として、平成17年9月から北地区羽根で鳥獣・ヤマビル対策の鹿柵設置、下刈り、落ち葉かき、
枝打ち実施等の環境整備作業を行ってきました。
環境整備作業が有効な防除手段であるかどうか、整備実施から9ヵ月後のヤマビル生息数調査と、くずは青少年野外センター周辺地域の鳥獣・
ヤマビル調査を実施しました。また、ヤマビルの生態を理解し、里地里山で活動するときの予防やヤマビルの活動を低下させる方法等について、
専門家である環境文化創造研究所ヤマビル研究会の谷重和氏を招いてのヤマビル対策講演会が開催されました。
【内容】
・平成19年のくずは青少年野外センターリニューアルオープンに際し、周辺の鳥獣・ヤマビルの現状調査を行い、
夏季に野外センターを来訪した人々が安心して里山に入れる方法を検討する。
・泰野市内の里山に生息するヤマビルの生態を理解し、里地里山で活動するときの予防やヤマビルの活動を低下させる方法等について、
専門家((株) 環境文化創造研究所)の講演会を実施する。
・ヤマビル対策効果検証のため、専門家((株) 環境文化創造研究所)の指導により、検証区域内のヤマビル生息数調査を行う。
経過および予定
○6月6日 くずは青少年野外センター周辺の現状調査、ヤマビル対策講演会
○6月7日 整備地のヤマビル生息調査
○6月26日 ヤマビル調査 中間報告会
○12月2日 里山整備(下草刈り)
○平成19年1月20日 里山整備(落ち葉かき)
○6月6日(火)
くずは青少年野外センター周辺現状調査 10名参加
環境文化創造研究所の指導により、菩提滝の沢保存会、菩提生産森林組合のほか、
秦野市の職員やボランティアが参加して現状調査を実施しました。
まずはくずは青少年野外センターからすぐのウォーキングコースの周辺をポイントとして、現場調査を行いまし た。
周囲の環境はスギ植林地および竹林で、落ち葉かきや枝打ち・間伐などの環境整備は入っていません。林内は薄暗く、
ヤマビルが活動するにはもってこいの環境のようです。鹿柵も設置されていますが、全体を囲ってはいないため、
結果的にシカの出入りは自由になってしまっています。しばらく雨が降っていないこともあり、
やや湿気がなくヤマビルが出現しやすい環境ではありませんでしたが、約3平方メートル範囲内で1~3匹が確認されました。
[自然体験・森林体験を実施できるようにするには?
]
谷先生から、次のようなアドバイスをいただきました。
○林内がやや暗く、落ち葉も堆積しているので林内の環境整備を行う。
スギの落ち葉は広葉樹の落ち葉に比べ分解しにくく、地中の温度が高くなってしまうので必ず落ち葉かきを行うようにする。
シカが林内に入り込まないためにも間伐や枝打ちを行い、林内を明るく見通しを良くし、ヤマビルが生息しにくい環境に変えていく。
○山の際(きわ)の雑草などを除去し、できれば鹿柵を設置してヒルの移動を阻む。
林内にヤマビル(野生動物)が進入しないようにすると効果的。また、梅雨に入った時期くらいに1度だけ薬剤を獣道・
ウォーキングコースのみに使用して生息数を減らすのも効果がある。
○環境整備などの整地を終えた上で山の管理人を置き、広く告知・案内する。
雨が降った後など、必ず山の中を見回り、発生したヒルを殺すだけで生息数平均が1以下になる。
山の管理人が見回って防除していること、山には様々な生態系があり、
その一部としてヤマビルも存在していることをパンフレットや看板などで広く告知・案内する。ヤマビルだけを前面に出すのではなく、
「生態系の一部として野生動物の血を吸う動物もいて、人間の血も吸うので気をつける」といった内容にする。
○6月6日(火)
ヤマビル対策講演会 約110名参加
環境文化創造研究所の医学博士、谷 重和氏をお招きし、
ヤマビル対策講演会を開催することにより泰野市内の里山に生息するヤマビルの生態を理解して、
里地里山で活動する時の予防やヤマビルの活動を低下させる方法について学びました。
○講演要旨
[生態]
体に2つの吸盤
(前吸盤、後吸盤)を持ち、シャクトリムシのようにして進みます。雌雄同体で、一匹でも吸血をすると卵を産みます。寿命は3~4年で、
落ち葉や石の下など湿ったところを好みます。全国に分布し、吸血被害地域は25県1府45市町村にものぼります。(北海道・四国をのぞく)
ヤマビルの前吸盤の中には様々なセンサーがあり、呼気・振動・炭酸ガス・体温・体臭などを感知して、吸血動物を探し出します。
前吸盤の中にある三唇状の歯で皮膚を切り裂きながら、血を吸いますが、その際にモルヒネ様物質を分泌しているのであまり痛みは感じません。
また、ヒルジンという抗血液凝固剤も一緒に分泌しているため、流れ出た血液はなかなか止まらず、
ズボンやくつしたが血だらけになってしまいます。
[防除方法]
衣類・靴への付着防止のための忌避剤として塩水20%に漬けて乾かした衣類や皮膚塗布用防虫スプレー(ヒルガード・ヤマビルファイター)
などの忌避剤が効果的です。
取除には塩や消石灰、木酸液を直接ヤマビルにかけたり、タバコ(火)を押し付けたり、殺ビル剤(ヤマビルジェット・ヤマビルキラー)
を使用します。
また、下草刈り、落ち葉かきなどの環境整備や野生動物の生息数管理、里山や奥山の保全・再生管理をすることで、
効果的な環境的防除になります。
「ヤマビルは怖いし、よく分からないから気持ち悪い」といった意識を変えるために、ヤマビルのことを含めた環境教育研修を開催したり、
分かりやすいパンフレットを配布したり、山の入り口やヤマビルの多い所に吸血注意の看板を立てることも重要です。
[吸血された場合の処置]
・
吸血しているヒルをすぐに除去します(口下片が残るマダニとは異なり、無理に除去しても問題はありません)
・除去したヒルは必ずその場で死亡させます
・傷口から血を押し出すようにしてヒルジンなどの体液成分を搾り出しておけば治癒が早くなります
・傷口を流水で洗うか、アルコールなどで消毒します(レスタミンコーワ軟膏などの抗ヒスタミン剤を塗布し、
カットバンで傷口をふさいでおきます)
[質疑応答]
Q:人間が通る道が一番ヤマビルが多いとの話ですが、獣道はどうですか?
A:人の道よりも、獣道の方がヤマビルは多いです。
Q:よく登山者からヤマビルが木の上から落ちてくるという話を聞きますが、木の上にいるのでしょうか?
A:ネパールやタイのヒルは上からぶら下がるタイプで落ちてきますが、日本のヒルはほとんどそういうタイプはいないとされています。
Q:環境的防除は時間がかかるので、科学的防除ですぐに、効果的に防除する方法はありますか?
A:薬剤は一番手っ取り早い手段ですが、山の中に有機リン系の殺虫剤を撒くというのはあまり良くないことであり、
また神奈川県はなるべく薬剤を使用しない方針です。
もし自分の畑などに撒く場合には環境に安全な薬剤を選択したいところですが、いかんせん値段が高くついてしまいます。ですが、
一度生息数を劇的に減らすのには効果的なので、年に1度梅雨時あたりに散布すると良いです。
Q:1匹のヤマビルに噛まれたら、大体そこには何匹くらい居るという想定でいればいいですか?。
A:およそ3~5倍のヒルが生息しているのではないかと思われます。
○6月7日(水)
羽根の整備事業地内の調査 22名参加
環境文化創造研究所の指導により、森林組合、横野造林組合、北地区まちづくり委員会、菩提滝の沢保存会、菩提・戸川三屋生産森林組合、
北地区まちづくり委員会、地元森林農家、秦野市およびボランティアが参加して調査を実施しました。
今回は平成17年9月~18年1月に環境整備を行った4つの検証区域を再度生息数調査し、環境整備によるヤマビル防除効果を検証します。
・検証区域(別図参照)
約3.4ヘクタールをA~Dの4つの区画に分け、それぞれ下の(1)(2)(3)の検証区域、比較検証のための(4) ヤマビル撲滅試験圃場を設ける。
(1)すべて落ち葉かきを実施し搬出する場所
(2)落ち葉かきを実施し搬出しない場所
(3)落ち葉かきを実施しない場所
(4)ヤマビル撲滅試験圃場を設ける。
調査方法は前回と同じく、ヤマビルを誘引し捕獲する方法です。調査ポイントを設置し、ポイントごとに約3平方メートルの区画内で、
地面に振動を加え呼気を吹き、一箇所およそ5分間、出てくるヤマビルを採取します。
計82ポイントを調査し、総出現頭数は17年調査時が655頭、18年が147頭、平均出現数にすると17年調査時は7.9頭、
18年は1.79頭まで下がりました。
各エリア毎で見ても平均出現数は軒並み下がっており、環境整備の有効性が発揮された、嬉しい結果となりました。
特に鹿柵設置地域は17年の45頭から、今回はなんと2頭まで減っていて、素晴らしい効果が発揮されました。
前回調査から1年経っていませんが、中間成績としては上々の滑り出しです!
○6月26日(月)
ヤマビル調査 中間報告会
平成17年9月6日~8日に行われたヤマビル生息調査と、
9カ月後の平成18年6月7日に行われたヤマビル生息調査の中間結果報告会が行われました。
日 時 平成18年6月26日(月) 10:00~13:00
場 所 秦野市・羽根地区 里山ふれあいセンター
参加者 上地区竹林部会、竹林保全ボランティア、四十八瀬川自然村、炭焼き研究会、秦野市、ボランティア 総計20名程度
講 師 環境文化創造研究所 ヤマビル研究会 医学博士 谷 重和氏
[目的]
平成17年9月6日~8日に行われた整備前の羽根地区ヤマビル生息調査から、ヤマビル撲滅試験圃場の設置、12月3日に行われた下草刈り、
平成18年1月28日の落ち葉かき等の環境整備作業を経て、
9カ月後の平成18年6月7日に再度ヤマビル生息調査を行った結果の中間報告が行われました。
[内容]
3.4ヘクタールの土地を試験区として3つに分け、それぞれを落ち葉かき 区・対象区(落ち葉かきを実施しない区)・シカ侵入防止柵設置区
(ヤマビル撲滅試験圃場)とし、調査区の杭を全82箇所設置しその周囲3平方メートルのヤマビル生息調査を行いました。
整備前の調査ポイントではヤマビル平均誘引数が19.8を示す場所があるなど、どのポイントも非常に高い誘引数でした。
この誘引数を1.0に近づけることが目標でしたが、落ち葉かき等の環境整備を終え9カ月後のヤマビル生息調査を行った結果、
全体の平均誘引数は7.9から1.7に減少、平均誘引捕獲数では対象区で10.0から4.9(減少率51.0%)、
落ち葉かき区で4.9から0.9(同81.7%)、シカ柵設置区で2.9から0.1(同99.7%)と、 丸1年経っていないとは言え、
良い結果を出すことができました。
捕獲したヤマビルの重量を分類比較すると、昨年9月の捕獲個体では30ミリグラム以下の個体が多かったのに比べ、
今年6月の捕獲個体では30ミリグラム以下の個体は少なく、全ての調査ポイントで同様の傾向が見られました。
(アルコール漬けにした状態で5ミリ程度の小さい固体は生まれたてのヒルで、3~4回吸血すると2~3センチほどの太いヒルに成長する。)
小さな個体が6・7・8月の3カ月で吸血の機会を得、脱皮を繰り返し成虫となり、9月にはまた子供が生まれていることが考えられ、
9月には今より若干頭数が増えるかもしれません。
大きいヒルは歩道部分に多く見られ、これは子ビルが吸血を行い育ったのではなく、野生動物に付いて持ち込まれてきた可能性が考えられます。
環境整備を行うことにより野生動物が近づきにくい環境になれば、歩道部分のヒルも大きいものは少なくなっていくのではないかと考えられます。
[質問]
Q:ヤマビル防除には里山の落ち葉かきが有効なのが分かりました。茶畑では根を守るためにワラを敷いていますが、
そのせいでヤマビルが増えているとしたらそれも止めた方がいいのでしょうか
A:茶畑を守る(お茶の品質を守る)ためにも、ワラを退かせることは出来ないと思います。ある程度、
有機リン系以外の薬品を使うのがいいと思います。薬剤と平行して、茶畑に野生動物が侵入してこない仕組み作りと、
残っているヤマビルをまめに始末をしていくことが一番いい方法だと思います。
Q:ヤマビルが良く出没する所に土をかぶせた所、ヤマビルは全く出てこなくなりましたが、ヤマビルは土に潜ると聞きました。
いつか出てきてしまうのでしょうか。
A:乾燥に弱いため、よほどの時は土に潜りますが、ヒルの体の構造から言うとそれほど深くは潜れません。
深く埋めてしまえば出てくるのは無理だと思われます。
2006年06月30日 [レポート]
渋沢丘陵散策路整備(1回目)
渋沢丘陵散策路整備(1回目)
秦野市街を一望できる渋沢丘陵は、花や緑を楽しむハイキングコースとして市内外から多くの人が訪れます。渋沢丘陵には、
整備が必要な里山林や散策路がまだまだあります。そこで渋沢丘陵の魅力を高め、自然とふれあう機会を充実させるため、
散策路の整備を行います。
日 時 平成18年5月28日(日) 9:00~14:15
場 所 秦野市渋沢地内 全長約400m 整備延長約100m
参加者
渋沢丘陵里地里山を楽しむ会 5人
まほろば里山林を育む会 2人
ボランティア養成講座 5人
ボランティア応募者 2人
秦野市ほか 4人 計18人
・散策路(階段部)の設計をしていただいた石井昇氏(渋沢丘陵里地里山を楽しむ会会長)から作業の必要性と手順の説明がされた。 石井氏は、本散策路だけではなく周辺の里山整備活動もされている。
・石井氏による散策路整備手法についての説明:
整備区間の落葉除去
周辺にある木を伐採し、階段に使う杭及び渡し木をつくる
清掃整備した道に杭を打つ穴を2箇所掘り、杭(40cm~45cm)を打ち込み、
1.2m~1.5mの木をその間を渡して階段をつくる。
杭の高さは20cm程度、踏み込みは30cm~35cm程度とする。
散策路の傾斜にあわせて階段を作ることにより、土砂の運び出しを少なくする
水を逃がすための水道をつくる。
・作業は渋沢丘陵里地里山を楽しむ会の会員2名が草刈機を使い散策路の利用に支障となる笹や道に張り出している枝を除去した。 同時にその他のボランティア参加者によって散策路に厚く堆積した落ち葉をスコップですくい、それをバケツに入れ、両側の山中に散らした。
・落葉の除去によって、赤土がむき出しになり、傾斜が急なところは散策路がさらに滑りやすくなり、 やはり階段設置が必要であると感じた。
・チェーンソーを使える人が少なく(1名)、杭及び渡し木を作る作業を円滑に進めることができなかったため、 階段整備の作業が滞ってしまった。
・土が硬く、かつ湧水が多いため、杭を打ち込む穴を掘るのに苦労した。
・午前中は階段整備の役割分担が明確でなく、効率よく作業を進めることができなかった。午後から、分担と作業の進め方を見直し、 午前より円滑に作業を進めることができた。
・ 整備予定延長100mの内、約30m程度、16段の階段整備が完了した。
午前中は小雨が降るなかの作業ということもあり、迅速に作業を進めることができなかった。
午後からは天候の回復と作業手順の見直しが行われたこともあり、効率よく作業が行われた。
←左:石井氏から階段作りの説明、右:落ち葉が堆積した散策路
←スコップを使って落ち葉を回収
←階段作り作業
←左:16段の完成、右は雨水などを逃がすための水道
2006年05月30日 [レポート]
里山林整備指針の策定に伴う現地検討会
日 時 2006年4月16日 (日)午前9時~午後3時
場 所 北公民館、現地
内 容 ・講義 市民参加の里山づくりの進め方
・現地検討会
講 師 中川重年氏
(京都学園大学バイオ環境学部 都市自然化デザイン研究室(元神奈川県自然環境保全センター研究員))
参加者 26人 (市内団体・ボランティア養成研修終了生)
秦野市内には整備の必要な里山が約1000haあります (秦野市調査)。その整備を進めるた めに、地主が整備する、市民ボランティアの参加によって実施する、
市が森林組合等に委託する、という方法で進められています。17年度の試行事業を省みると、今後のボランティア団体の増加、
フィールドの増加が期待されます。
生物多様性あふれる里山にするにはいくつかの方法があり、目指す状態によって管理方針も異なります。そのため、目指す里山のデザインを描き、
それに見合った管理を行い、効果的な保全整備を推進するための知識や技能を持つ人材を育成することが必要になります。そのための取組として、
「いくつかの方法」を実際にやってみるモデル林を設け、講師を招いての現地検討会を行いました。
モデル林の整備は、図のような4つのタイプに分けており、 今回伐採等の作業を行う予定でしたが、雨天のため講義と視察、 意見交換のみとなりました。
中川重年先生からは、市民参加の里山整備を進めるにあたって重要なこととして、
・里山の保全にはその場所の土地利用等の歴史をよく認識して管理方針を考える必要があ ること
・活動団体の中・長期ビジョンをたて人材の確保と情報発信を行うことが重要であること
・保全活動ででたゴミを資源化し経済に繋げることが重要
との話がありました。
その後、20年後を見据えて各団体の保全活動を維持するために何が必要か、 と いうことで意見交換を行いました。ここでは、
若手の人材の確保と情報発信、 保全活動で出る材や粗朶の有効利用と経済活動への結びつきについて、特に多くの意見寄せられました。
尚、秦野市では、現在改築中の「くずは青少年野外センター」でチップボイラーを導入することになっており、
保全活動で出たものを持ち込めば引き取ってもらえる仕組みができあがります。まさに全国のモデル的取組みです。
羽根にある秦野の典型的な里山と、本日作業予定していたモデル林の2ヵ所に行きました。
羽根の里山はコナラ・クヌギが主でミズキの混じる林で、手入れされ林 床植物が多様で豊富でした。中川先生からは、
コナラ等の萌芽更新の方法やミズキ林からコナラ・クヌギ林への移行の方法、林床植物の解説等をしていただきました。
次のモデル林は、ミズキが主で、伐採後放置した結果、実生からでも勢いよく育つミズキが優先する林になったことが伺えました。 市内にはこのような状態の林が多いそうです。中・ 低木層や林床植物も先のところより多様性に劣りました(アズマネザサが優勢で刈り払い済み)が、 ミズキとコナラが混じる部分では里山らしい植物もみられました。そこで、 ・ミズキばかりのところは一部皆伐してコナラ等を植樹し育林する、 ・里山の林床植物がみられるところは草刈りの管理を続けるとよい、とのアドバイスを頂きました。この場所は今後、 神奈川育林隊の皆さんが中 心になって、継続的に管理していくことになります。
今回の催しは、地域戦略の中では、里山林整備指針の作成とボランティア研修(ステ ップアップ研修)に位置づけられます。
参加者の中には昨年のボランティア養成研修終了生の姿もありました。
秦野の里地里山保全活動は、少しづつですが着実に、広がりそして深まりつつあります。市によるチップボイラー導入を含め、
継続できる体制づくりも進みつつあり、今後が大いに期待されます。
↓現地で見られた植物(一部)、と・・・・
ヤブレガサ ナツトウダイ
ヒメウズ ヤマ ルリソウ
シュロソウ ヤマビル。早くも元気そうでした・・
2006年04月19日 [レポート]
里山林整備指針の策定に伴う現地検討会(詳細記録)
(4月16日の現地検討会の詳細記録)
■講義 市民参加の里山づくり 中川重年氏
○里山の生物多様性のこと
○郷土の歴史のこと
○仲間の維持発展のこと
○世の中への発信のこと
○自分の価値のこと
○出たゴミの後始末のこと
○里山の生物多様性のこと、郷土の歴史のこと ~過去の土地利用をふまえた保全管理を ~
・保全生態学等では知見が進んでいるが、郷土の歴史をふまえることが重要。秦野の場合は割山という仕組みで管理者が細かく分かれているため、
林の状態はバリエーションがあり多様性に富む。
・[里山/農地]が一つのユニットとなっているのが里地里山の特徴。だが、農地は宅地化したり林に戻ったり、
里山は手入れされなくなる等によってユニットの構成が崩れているところが多い。
・過去の郷土の土地利用をふまえて現状を捉えないと、無駄な作業をしてしまうことがある。例えば、林でも階段状の地形の所は以前の農地。
そこで落ち葉かき等を行っても里山の植物は戻ってこない(農地では除去されてきたため)。里山らしい植生に戻るには80年ほどかかる。
・生物多様性豊かな里山とは、高木、中・低木、下草等がバランスよくあり、動物も生息できるシステムとしての里山。
・過去の土地利用を調べるには市史などを紐解くのも方法の一つ。
○仲間の維持発展のこと、自分の価値のこと、世の中への発信のこと
・20年後の団体のあり方、構成メンバーの世代交代を含め中・長期ビジョンをたてることが重要。
・世の中への発信が、人材確保の点でも自分たちの原点を確認する上でも重要。
・活動団体の情報発信・・市内の団体からの発信を。市内団体の連合として一元化する方法もあり。
○出たゴミのあと始末のこと
・切った枝葉や間伐材などは、林の中に置き放しではきれいにしたことにならない。経済的にあわなくとも搬出が必要。ボランティアの意思、
共同で林内作業車を使うなど工夫して搬出を。
・「ゴミ」は資源化することが重要。19年度完成予定の 秦野くずは青少年野外センターでは、チップボイラーを導入する予定。
ボランティアが作業してでた材を引き取って燃料にする予定でこれは県下で一番の取組である。
■意見交換(口頭・記述)「20年先の団体の活動維持のために必要なこと」
人材、情報発信等
・人材・後継者は10階の連続講座を毎年行って、残った人に継続的に参加してもらう
・大学の教授とネットワークをもち、教授に学生を連れてきてもらう
→学校の場合、使命感を持った統率力のある指導者がいることが重要になる
・楽しみを織り交ぜながらでないと続かない。次世代の人材の引き込みは難しい。
・中高生が里山から離れていくことが問題。自我確立期なので親と離して子ども同士のグループで参加できる体制が必要。
・中高生の課外活動に組み入れ
・団塊の世代の取り込み
・若年層向けの体験コースをつくる
・目標設定の共有化
・分野における専門性の獲得(いつまでも素人では発展しない)
・市民に関心を持ってもらう・地域に広めるための広報(市民共有の財産)・・他グループと連毛いした体験活動の実施
経済活動との結びつき
・経済に繋げる(金にする)ことが重要。
→バイオマス産業、環境教育インストラクター等
・インストラクター:きちんとした見識を持って解説ができる人材が必要(土地の歴史を踏まえ)
・材・生産物の資源化(資源の受け皿、循環の仕組み構築)・・行政・公共機関の役割重要
・バイオマス産業:「里山ビジネス」を。材の搬出先(活用方法)の確保。
秦野市ではボランティアが出した材を買い取ってチップボイラーに。
アサザプロジェクトでは粗朶を霞ヶ浦の沈床にしている(産地認証つき)。
オガ粉の利用、木粉→カイロや猫砂、薪をピザ屋に卸す、炭シーツ、ディスプレイ用の炭等
→これまでの伝統的なバイオマスの利用にこだわらず、今、必要なものに木材が使えないか、と考えるとビジネスチャンスに繋がる。
■現地視察1 秦野の典型的な里山(広葉樹林)
北地区羽根の広葉樹林。コナラ、クヌギ、ミズキなどが主の林で手入れがされており、林床の植物が非常に多様で豊富。
・フラットな面があるのでかつて農地と思われる。もと畑地の面と土手の面では植生が異なる。
・萌芽更新をするには、なるべく下で伐採し、萌芽したものの自根が活着しやすくなる。
・コナラ等の林に戻すには、部分的な海抜後、コナラ等の苗を植え付ける
・光が差し込むとミズキやアカメガシワが実生から生えてきて先に伸びるので、
コナラ等の林にするにひは苗を植えて大きくなるまで世話をする必要あり。
■現地視察2 モデル林
本日の作業をする予定だったモデル林。半分は、ミズキが主の林で、林床はアズマネザサが優勢。
半分は、ミズキとコナラ等が混じる林で、林床には里山らしい(コナラ・クヌギの雑木林に見られる)林床植物がいくらか見られる。
・ミズキばかりになっている部分は、皆伐してコナラ等の苗を植樹する
・林床植物が見られるところは下刈りを続ける
2006年04月19日 [レポート]
はだの 第1回里山の日 里山ふれあいセンター5周年記念事業
日時 平成18年3月26日(日)10:00~15:00
場所 里山ふれあいセンター及び周辺
3月26日、秦野の里山ふれあいセンターで、センター5周年記念を兼ねた「第1回里山の日」の催しが行われました。
里山の日(里地里山の日)は、広く市民を対象に、里地里山に親しみ関心を持ってもらう普及啓発の取組みとして、地域戦略(3月2日採択)
の中にも含まれています。
今回、最初の式典で「里山の日」の制定宣言が採択され、その第1回目を迎えることができました。
これを機に毎年3月の第4日曜日を里山の日と定め、今回の記念事業と同様の事業が展開される予定です。
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里山の日 制定宣言
秦野の里山は、古くからたばこ栽培と密接な関わりがあり、伝統的な農村文化として、人と自然との調和が図られてきました。
秦野の澄んだ空気、豊かな水と緑は、私たちの祖先が里山を守り育てたことによって、
私たちにたゆみない恵みを与えてくれていることを忘れてはなりません。
近年の生活様式や農業技術の変化により、里山は、自然とのふれあいの場として、また、
多様な生き物の宝庫としての保全と利用が求められてきています。
私たちのかけがいのない貴重な財産である里山との新たな関係を構築し、より健全な形で次代に引き継ぐため、
里山の保全ならびに活用の促進を願い、ここに「里山の日」を制定します。
里山の日 毎年3月第4日曜日
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この日の催しの内容は、里山の恵みでおいしく楽しく、盛りだくさん。 体験コーナーや模擬店は保全団体スタッフや市の職員が腕をふるってくれました。野鳥の会による観察会や、 試行事業と市内保全団体の活動紹介もありました。当日の様子を、一部写真でご紹介します。
・アルプホルンの演奏
式典の最初に、丹沢アルプホルンクラブによるホルン演奏がありました。
山の根曲がり材を利用してアルプホルンを作り、演奏するグループです。
・木工教室 親子が丸イスづくりを行いました。
・工芸教室 ・木の名札づくり
・実演コーナー まき割り機、木質ペレットストーブ
・竹炭焼き教室・竹炭の販売、竹細工の販売
・石窯料理(ピザ)教室
生地から参加者がつくりました。薪と石釜であっという間にアツアツに出来上がります。熱すぎてピザを落っことすハプニングも!
・模擬店 ピザ、焼そば、焼き芋、豚汁、焼き椎茸・・
保全団体の皆さんご苦労さまです。団体同士の交流にも良いようです。
・ パネル展示
市内の団体の活動紹介です。環境省モデル事業で行った試行事業の様子も展示しました。
市民のみなさん、今度は一緒に活動しましょう。
2006年03月29日 [レポート]
柳川生き物の里保全再生活動 ~ ついに!水源・水路の復元 ~
日時 平成18年3月18日(土)9:00~12:00
場所 上地区柳川 柳川生き物の里
参加者 約55名
(生き物の里管理運営協議会約10名、ボランティア約20名、東海大学生7名、環境省、県職員、市職員等)
内容 ○湧水地の養生、○水路畦畔作り、○水路へセキショウを定植
昨年9月2,3日に守山先生に指導をしていただき、 地元の方が昔の様子を語り合いながら作った、柳川生き物の里の管理計画。計画の柱は、 田んぼをしていたころの昔ながらの水辺を復元することとなりました。
その管理計画を受け、第1回目の作業を10月29日に実施。
そのときは水源周辺の竹林を整備し、縦横無尽に竹が折り重なり入ることもできなかった竹林が、日の差す明るい竹林によみがえりました。
そして今回いよいよ、水源とそこから二手に分かれて延びる水路を復元する作業を行いました。
*守山先生のご指導のもと、地元の方の記憶や図面をもとに作成した” 柳川生き物の里 保全再生管理計画”。
*この部分の中心の「水源」と、 水源からこの図で上下にのびる水路を今回の作業で復元しました。
◆水源◆
一部什器の使用も必要ということで、地元業者にユンボでの掘削をしてもらいました。前日、前前日と事前の作業をし、 18日に行ったときには、すでに昔あった水溜め用の枡が現れていました。
ここを、3m四方くらいに杭と板を打って養生し、新たな水溜場として直径1mくらいの大きな素甕を設置しました。 染み出す湧水を集めて甕に注ぐための管も設置しました。作業直後なのでまだ濁ってはいるものの、すでにトクトクと水が注いでいます。 思った以上の水量です。
以前は、一帯にじわっと染み出してぬかるみという感じでしたが、
近いうち、素甕に清らかな水が満々とたたえられることと思います。
その光景が待ち遠しい!
◆水路◆
ユンボでざっくりほったところを、セキショウを植え付けながら畦を作りました。
セキショウは、守山先生に9月に教えていただいたのですが、水辺に生え根張りがよく、水田にまではびこらないため、
水路の土手を抑えるために活用されるそうです。ここのセキショウも、先人が水路に植え付けたものの名残であろうとのこと。これを、
群生しているところから事前に掘り起こしておき、株にわけて水路の内側に約1m間隔に植え付けました。
株分けしておいたセキショウ。シートの奥に見えるものは、 全て掘り起こして株分けしたものです。セキショウの根っこは、太くて(直径2センチくらい)多節の赤茶色の根茎と、 無数のヒゲ根からなっていました。丁度花期らしく、オオバコのような柱状の花穂が出ていました。
↑作業前:ユンボでざっくりと掘ってあります。ここに畦畔をつくり水路内側にセキショウを定植します。
↑作業中:まさに田んぼ作業。スコップや鍬で畦をつくりました。ここで生き物調査をしている大学生も7人きてくれました。
↑作業後
この日は50余名が集り、午前中のうちに予定の作業が終了しました。今後は、水源に最も近い、 温水溜め池田んぼを復元することになると思います。生き物も景観も、グンと変わるのではないかと思うと、今後がたいへん楽しみです。
昔は、学校帰りに友達同士で、バケツ一杯のアカガエルがすぐに採れたとか。
上地区の子どもたちが、清水あふれる井戸や小川のまわりに戯れる日が、早く来るとよいなぁと思います。
2006年03月21日 [レポート]
鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備(北地区羽根)平成18年1月28日
日時 平成17年1月28日(土)9:00~15:00
場所 北地区羽根、里山ふれあいセンター
内容
12月3日に草刈をした現場で、本番の落ち葉かきを行いました。
参加者は、地元生産森林組合、町づくり委員会、一般ボランティア、ボランティア研修受講生、市の「環境大学」受講生等、
総勢230人余が集まり、試行事業で最大の人数となりました。中には学校の先生と生徒が一緒に参加しているグループや、
これまで連続で参加している近隣大学の学生の姿も多数みられました。
前回同様、A~Dの4つの班・区画に分かれの作業。絨毯のように敷き詰められた落ち葉を見て、地元の方からは「これはいいクズだ」
との声が聞かれました。
それぞれの現場で地元の方から説明と指導を受け、高いところから落ち葉かきを開始、集めた落ち葉は、1.2m×1mの網袋に詰め込み、
トラックに載せて搬出しました。ポイントは、袋に入れる前に足元で落ち葉のカサを減らしながら詰め固めることで、これを「ちげぇる」
というそうです(「ちぎる」の意?)。
人数がとても多く、また前回の草刈りのおかげで作業はスムーズに進み、網袋の供給が追いつかなくなるほどでしたが、 12時過ぎには大方目処がつきました。お昼 には温かいトン汁が振る舞われ、午後、 地元の生産森林組合員等と一般ボランティアが落ち葉掻きの仕上げと片付けを行い、 ボランティア養成研修受講者は今後の活動について打ち合わせ、環境大学受講生は次のプログラムの実施場所へと向かいました。
集めた落ち葉は、里山ふれあいセンター脇の空き地に集積してあり、農家などが持ち帰ってよいことになっています(落ち葉は無料、
網袋は200円のデポジット制)。資源の利用が里山整備を促進する鍵となるので、大いに利用してほしいものです。
尚、今回、約100本のくま手を使いましたが、10月・11月のくま手つくり教室で参加者らが作ったものも利用しました。中には、 初めての作品だったのか途中で分解したものも見られましたが・・。秦野の竹利用のためにも、丈夫なくま手が市民の手で沢山作られるよう、 こちらの教室も継続していきたいものです。
さて、この落ち葉かきは「鳥獣害・ヤマビル対策としての里山整備」ということで実施しています。実はこの日、
開会式前に鹿が一頭現れてしまったのですが(200人以上の人間を恐れる様子もなく!)、この試行事業の主要な目的は、
藪を払い落ち葉を掻くことが、鹿やヤマビル対策としてどの程度有効かを検証することです。
そのため各区画には、
(1)落ち葉かきをして搬出する区域
(2)落ち葉かきをして集めた落ち葉を残しておく区域
(3)落ち葉かきをしない区域
を設け、その他に一箇所、
(4)ヤマビル撲滅区域
を設けています。
各区域の区別はそれぞれの班長から指示があり、②の区域では、前回(12月3日)刈り草を利用して準備した堆肥場に落ち葉を集積しました。
また④の区域でも落ち葉かきと搬出を行いました。
【残す区域と残さない区域】【掻いて残す区域の堆肥場】
専門的な調査の指導をお願いしているヤマビル研究会の方も参加なさいました。同研究会の谷博士によると、
他の対策事例では薬剤を使用することが殆どで、秦野のように環境整備のみで対策を行うのは他には例がないとのこと。そこでこの現場では、
草刈り・落ち葉かきによってヤマビルの生息環境がどのように変化するかを調べるため、
定期的に林床の湿度と温度を計測しているとのことでした。
ヤマビル研究会には、平成17年9月からお世話になっていますが、この作業を経て今年の5月頃に再びヤマビル生息調査を実施し、
効果を検証する予定となっています。
2006年01月30日 [レポート]
鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備(北地区羽根) 平成17年8月27日、9月6~8日、9月20~29日、12月3日
鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備(北地区羽根)
平成17年8月27日、9月6~8日、9月20~29日、12月3日
主 旨
秦野の里山はかつてタバコ生産のために落ち葉かきをしていました。人が歩ける明るい里山でした。今、
秦野の里山の多くが暗く湿った森になっています。もう一度、人と自然が共存できる里山に戻すため、
落ち葉かきができる明るい里山づくりのための作業をします。また、秦野の丹沢山系側の里山ではシカやイノシシがヤマビルを持ち込み、
広がっています。山を明るくすることで、ヤマビルが住めない里山にするための試行事業を実施するものです。
北地区において、里山に関する地元の最大の問題意識はヤマビル・鳥獣被害にありました。丹沢の麓にあたる北地区は、
山をおりてきた鹿による食害とともに、鹿について分布を広げているヤマビルが非常に多く、夏場は山にはいれば知らぬ間に血だらけになるほど。
庭や家の中にまで入ってくることもあります。
地区別意見交換会や懇談会でも、里山保全の提案に対し、「地元の者でさえヤマビルが多すぎて山に入れる状況ではない。
まずヤマビル対策とヤマビル拡散の要因であるシカ対策が先だ」との意見が多くだされました。
ヤマビルの防除方法としては薬剤散布がありますが、秦野市では飲用水の約7割を地下水から得ているため薬剤散布はできません。一方で、
ヤマビルが潜む落ち葉をかくことによって数が減ることが知られていました。地区別意見交換会では地元の農家の方から
「落ち葉かきをしている山は、確かにヤマビルは出ない」との発言もありました。そこで、
落ち葉かきなどの里山整備が本当にヤマビル対策として有効なのか、実際に検証みようということになりました。
平成18年から平成19年にかけ、広葉樹林の草刈・落ち葉かきなどを実施してヒルが生息しにくい環境にし、
整備の前後でヒルの生息調査を行い、検証します。ヤマビルについては、
専門家である環境文化創造研究所ヤマビル研究会の谷重和氏に指導していただいています。
内 容
・里山整備の阻害要因となっているヤマビルは、落ち葉の下などの湿った環境を好むため、
広葉樹林で試行的に落ち葉かき等の里山整備をし、ヤマビル減少の効果を検証する。
効果が確認できれば徐々に周囲への整備範囲を拡大しボランティア活動・研修や体験の場として生かしながら継続することを検討する。
・ヤマビル対策効果検証のため、専門家((株) 環境文化創造研究所ヤマビル研究会)の指導による調査を実施し、
検証区域の設け方や落ち葉の処理方法等を検討する。
・検証区域(別図参照)
約3.4haをA~Dの4つの区画にわけ、それそれ下の①②③の検証区 域、比較検証のための④ヤマビル撲滅試験圃場を設ける。
①すべて落ち葉かきを実施し搬出する場所
②落ち葉かきを実施し搬出しない場所
③落ち葉かきを実施しない場所
④ヤマビル撲滅試験圃場を設ける。
経過及び予定
○8月27日 地元生産森林組合員と現地下見・打合せ
○9月6~8日 整備前のヤマビル生息調査
○9月20~29日 ヤマビル撲滅試験圃場(試行区画図④)の設置
○12月3日 下草刈り・間伐
○1月28日 落ちかき
○平成18年初夏 整備後のヤマビル生息調査
○8月 27日(土) 事業地の下見・打合せ 15名参加
○9月 5~8日(火)整備前のヤマビル生息調査 18名参加
環境文化創造研究所の指導により、
地元生産森林組合員、秦野市役所職員で実施しました。調査方法は、ヤマビルを誘引し捕獲する方法。
調査区ごとに杭をうって調査ポイントを設置し、ポイントごとに約3㎡の円内で、地面に振動をくわえ呼気を吹き、
出てくるヤマビルを採取します。一箇所およそ5分間。動物や人が通る道沿いに特に多くみられ、多いところでは30頭以上が採取されました。
また小さいヒルが多く、今年産卵・孵化したものが多いようでした。5月ころから動き出し吸血すると2ヶ月で卵を産むそうです。
6日の調査のあとには環境文化創造研究所ヤマビル研究会より講義があり、ヤマビルの生態、防除方法、咬まれたときの対処方法、
他地区の事例等についてスライドを用いての説明がありました。
*詳細のヤマビル生息数調査の報告は、検証後の報告とあわせておこないます。
○9月20(火)~29日(木)
ヤマビル撲滅試験圃場の設置 16名参加
草刈・落ち葉かきしたのち、全面からヤマビルを捕獲・頭数調査し、ヤマビルを持ち込む鹿が一切入らないように柵を設置しました。
面積は約600㎡。
○12月3日(土)下草刈り・間伐
日 時 平成17年12月3日(土)9:00~15:00
場 所 北地区羽根 約3.4ha
参加者 約160名
(菩提生産森林組合・菩提滝の沢保存会31名、横野造林組合16名、羽根生産森林組合11名・戸川三屋生産森林組合生産森林組合13名、
北財産区、北地区まちづくり委員会4名、農業生産組合1名、森林組合2名、荒廃農地解消ボランティアの会6名、寺山農楽塾6名、
まほろば里山林を育む会4名、ボランティア養成研修21名、里山整備ボランティア27名、秦野市、環境省、里地ネットワーク)
指 導 地元林業関係者、(株)環境文化創造研究所ヤマビル研究会 谷重和氏
内 容
A~Dの区画ごとに班を編成し実施しました。地元生産森林組合員の方が刈払い機で草刈りし、他の参加者は刈り草を集めたり、ナタ・
カマで刈り払いを行いました。チェーンソーで潅木、枯れ木、倒木も整備し、萌芽更新で株立ちしたものは間引きしました。ササが多いところ、
斜度がきついところなど様々でしたが、それぞれ地元生産組合員等の指導のもとに作業を進めました。仕上げには、
1月に実施予定の落ち葉かきで熊手が引っかからないように、地面に這うツル植物を刈りはらう作業を行いました。
また②の検証区内には伐採した草木で堆肥置き場を作りました。
最後に環境創造文化研究所の谷氏よりヤマビルについて説明がありました。
[生態]
・ヤマビルは日本には一種類で秋田が北限、北海道と四国にはいない。
・シカなど野生動物の血を好む。ヒルが吸った血を調べると、秋田では6割 がカモシカ、兵庫では5割がニホンジカ、2割がイノシシ。
野生生物とともに生息域を広げる。
・吸盤にセンサーがついており、二酸化炭素、温度、その他呼気に含まれる物質を感知する。感知すると1m/分の速さで近づき、
一回2cc位吸血する。マウス等小動物は3匹位に吸血されると血液が減りショック死することがあるが、人間はそのようなことはない。
・吸血すると1ヶ月で産卵し、その後1ヶ月で孵化する。9月にここで行った調査では子ビルが多かったので今年、産卵・
孵化したものと思われる。冬は地面に潜って越冬するか、寒さに耐えられず死ぬ。
・3つのあごがあり、一つに約70の小さな歯がついている。吸血する際、ヒルジ ンを分泌する。ヒルジンには抗血液凝固物質、
血管を広げる物質、痛みを感じさせないモルヒネのような物質等が含まれているため、気づかぬうちにかまれ血がとまらなくなる。
[症状と対策]
・症状は、血がでてなかなかとまらない、かゆみ、腫れなど。
・吸血されたら、すぐに取って確実に殺す。手でとる、タバコの火を近づける、水をかけるなどしてとる。ヒルジンを絞りだし、
カットバンを張っておく。
・吸血により死ぬことは殆どないがヒルを媒介に動物由来感染症になる可能性がある。
[防除方法]
①薬剤散布
②環境 乾燥した環境にする(草刈り・落ち葉かき等の整備をする)
野生動物対策(整備して見通しよくすればシカも出てきにくいのではないか)
[質疑]
Q:今日の活動で卵などが体についていることはないか?
A:冬は冬眠で土にもぐっているのでそのようなことはない。
Q:ヒルの餌は血のみ?天敵は?
A血のみと言われている。土壌有機物等を食べるかは調 査中。自然界に天敵はない。
Q:川のヒルとは違うのか
A:川には日本では30種くらいのヒルがいる。ヤマビルは1種。水田にいて血を吸うのはチスイビル。瀉血療法に使われる。
2005年12月08日 [レポート]
上地区竹林整備活動 報告書
日 時 平成17 年11 月26 日(土) 9:00~15:00
場 所 秦野市上地区三廻部 竹林2,000 ㎡
参加者 上地区竹林部会 約10 名
ボランティア養成講座21 人、応募者22 人、
炭焼き研究会6 名、四十八瀬川自然村5 名、
秦野市、環境省2 名、里地ネットワーク2 名 総計70
名程度
指 導 竹材業 鍛代権之助 氏
(全日本竹産業連合会員・県竹林協会副会長)
目 的
竹は、かつてはタケノコや資材として利用されてきました。秦野にも集落の近くに
竹林がありますが、最近は利用が減り放置されるところが増えています。放置され
た竹林は過密になり、景観が荒れ、表土を抑える力も衰え、植生は単調化して生物
多様性の低下を招きます。さらに放置すれば周囲に拡大してしまいます。このよう
な竹林をもう一度整備し、人が入れる、タケノコのとれる楽しい身近な竹林として
再生します。
内 容
9:00 現地に集合(案内図のとおり)
9:05 あいさつ・作業日程の説明
9:15 竹林管理の必要性・管理の方法
竹材業 鍛代権之助 氏
10:00 実習作業開始
12:00 昼食休憩・交流
13:00 作業再開
14:00 作業終了。片付け
14:15 竹林整備のまとめ 里地ネットワーク
14:35 竹の活用 部会長
15:00 連絡事項・解散
・始めに上地区竹林部会会長の小宮氏と環境省から挨拶があったあと、本日の指
導者である鍛代氏から、竹林の整備方法について話があった。鍛代氏は、全日
本竹産業連合会員・ 県竹林協会副会長。平塚の七夕祭りで使用する竹をほぼ
全て納めている竹産業の専門家です。
・鍛代氏による竹林整備についての説明:
・安全の確保 1、竹林内でタバコは吸わない 2、作業はゆっくり
・高伐り(地面から30~40 センチ以上の高さで伐ること)をしたままおいて
おくと、地下水が通りにくく根が弱くなり、細い竹しか出なくなるので、
地際で切り直すこと。根を張らせるにはに、古い竹は切って青い竹を残す。
・伐るのは9月から2月。使う場合は3~4 年ものがよい。竹の年齢の見分け方
1年:青い 2 年:少し黄ばむ 3 年:朝日の当たる側が黄色くなる
4年:全体的に青みが薄く黄色い 5 年:葉が枯れ始める
6 年:葉がなく立枯れる
・作業時は、歩く場所1.5~2mくらいを地面まで完全にきれいにする。
・根元はハスに切る。切り口が危険でないように3~4回に分けてノコを入れる。
・倒す方向は引き出すのと逆の方向(根元から引き出せるように倒す)。
長いものは玉切りしてから搬出する。枝はおとして纏める。
・籠には4 年目のものが最適。1,2,3 年目のものではしいなびる。5 年目の
ものは、よじったときに節と節の間が折れてしまう。竹垣をつくるときは、
竹用のニスをぬって、石鹸と米ぬかを混ぜたものを布にふくませて拭くと長も
ちする。竹垣は、青竹でつくるのであれば地面にさした方が長持ちする。根が
なくても多少水を吸うため。地面から離したものより1 年くらいもつ。
・作業は、3 班に分かれ、3 箇所に区切って作業を行いました。まず枯れ竹を出す作業。
竹林は斜面であり搬出場所の道路は上側だったので、受渡しをしながらの
搬出でした。縄を利用しながらまとめて道路まで運び、そこでさらにトラックに摘
みこみ(1 班は作業場近くまでトラックを下ろした)、指定の場所に運搬しました。
古竹などは 後日焼却することになっています。
・枯竹は出しても出しても切りがなく、トラックでのに合わないほど。そのため途中か
らは、枯れ竹は玉切りして林内にそろえて積んでおくこととしました。枯れ竹整理後
は込んだところの4,5年以上の竹を中心に伐採しました。枝を払い、使える竹は
5mに切り揃えて指定場所に運搬し、積んである。これは希望者が持ち帰ってよ
いことになっています。
・鍛代氏は昼で帰られましたが、昼食の時間に伐採すべき竹に紐で印をつけてい
かれたました。午後の作業も順調に進み、鍛代氏がマーキングしたものは全て
伐採し、班によってはそれ以上に伐採を進めることができました。
作業前 → 作業後
・2 時過ぎに作業を終え、竹カップ(一部紙コップ)の甘酒をいただきながらまとめを行
いました。里地ネットワーク竹田からは、鍛代氏の話を復習し一部追加して、具体的
な竹林整備方法について確認をしました。その後、上地区竹林部会の小宮氏より、
竹の利用について話がありました。
「上地区にもかつては竹屋があり、農閑期には農家の仕事として竹細工などをやったが、
最近は外国産があふれてしなくなった。引き継ぐものもおらず、竹林は放置された
ままとなっているところが多い。今でも竹細工をしている人が上地区にいるので、
希望があれば職人に取り次ぐことができるので連絡を。また「炭焼き研究会」で竹炭を
焼いている。飲み水に一晩いれると美味しい水になるし、ご飯を炊く時や天ぷらに
使っても良いので、是非利用してほしい。」
・参加者について、地元竹林部会はボランティアが沢山集まったことに驚いていました。
参加者の中では、男子高校生2 人が先生と一緒に参加し大変張り切っていたのが印象深
いです。先生が授業の一環にとりいれたいとのことです。また、東京農業大学(地球環
境学部森林総合科学科)の女子学生2 名も参加しました。「環境学習・自然体験」とい
うテーマで自分で活動を探し、参加してレポートを書くという授業とのこと。教育の場
としても里山保全活動が活用されることを期待したいです。
・作業の終了するころには、林床に光のさす竹林となり、「今日参加した人にカードを渡
して春にタケノコ掘りにきてもらうといい」という声が聞こえてきました。まだそのよ
うな計画はたっていませんが、竹林は、せっかく整備しても継続しなけば3 年でもとに
戻ってしまいます。整備に参加した人たちがタケノコ掘りなどを楽しむ機会をつくり、
利用しながら管理を継続できるようにする仕組みづくりが必要です。
2005年12月02日 [レポート]
上地区 柳川生き物の里 保全再生事業 報告
日 時 平成17年10月29日(土) 9:00~15:00
場 所 秦野市上地区柳川
参加者 上地区、生き物の里管理運営協議会 17名
ボランティア 38名(市内23名、神奈川県農地課6名、東海大学9名)
秦野市約10名(環境保全課ほか)、環境省2名、里地ネットワーク1名
参加者総計 約70名
趣旨と目的
今年9月2日に専門家(守山弘先生)を招き、生き物の里管理方針の作成を行いました(詳細は9月2,3日の報告を参照)。
この方針にもとづき、①水源の復元、②水路の復元、③水源周辺の竹林の整備、④湧水が直接流れ込む田んぼ温水ため池の復元に取組みます。
今回は、③水源周辺の竹林の整備と、全面的な草刈りを行いました。①②④については、別途作業日を設定します。
内 容
9:00 上公駐車場集合→現地へ移動
9:15 あいさつ(佐野会長)、作業スケジュールの説明、班分けとリーダーの紹介
9:30~ ○草刈班 メンバー:約20名 刈払い機で全面的な草刈り
○竹林班 メンバー:約50名 水源の周囲3箇所、3班に別れ作業
枯れ竹搬出、キザミ、焼却、伐採作業(竹、潅木)
搬出作業、キザミ、枝払い
12:00 昼食(各自持参)、焼き芋、飲物
13:00 午前中の作業の継続
14:30 片付け、挨拶
15:00 解散
■草刈り班
生き物の里管理運営協議会のメンバ ー が中心となり全面的な刈り払いを行いました。
■竹林班
水源の回りを中央/右側/左側の3箇所に分かれ、それぞれ地元リーダーの指導のもと作業を行いました。竹と潅木が過密に生えていたため搬出が容易でなく、青竹、
潅木を伐採し搬出口を開きながら作業を進めた。枯竹は焼却し、使える青竹と生木は別に摘んで枝払いをしました。
地元の方は全体の指揮や伐出作業をリードし、熟練者は斜面での伐採や枝払い、体力の若い参加者は搬出や焼却と、
それぞれの体力にあわせて分業・協力しながら作業を進めました。枯竹は、面積的にはさほどないのですが、
出しても出しても出しても、でてきます。
作業前は、立っている竹と枯れ竹が3次元的に縦横無尽 にあり、真っ暗で踏み入れるのも困難な状況でしたが、 本日の作業で、場所によっては木漏れ日も差す竹林らしい竹 林になりました。ここまでくれば、今後の伐採作業が必要な場合でも、 作業がしやすくなります。
作業前 作業後
水路の掘削と水源の泥堀りは今回は実施できなかったので、別途実施することになりました。
かつては、湧水の溜まりと、洗い場として利用する「溜め 」との2ヵ所があり、 「溜め」は6~9尺も深く掘ってあって下は砂 利だったそうです。この井戸の泥を掘り下げ、復元することが次の目標です。かつてのように地元の子どもたちが、湧水をたたえた井戸の周りに集う日が来るのも間近でしょう)。
作業中には、サワガニが沢山でてきました。また、小さく白く輝くフタスジモンカゲロウを見つけました。いずれも、
河川の上流部に生息する生物です。 シュレーゲルアオガエルもいました。
その下の田んぼにドジョウやタニシ、アブラハヤなどがいたわけですから、柳川生き物の里は、上流~中流が凝縮されたような、
多様な水辺環境をもっていると思います。
■地元の主体性のも と、ボランティアとの協働で実施
上地区では(仮)里地里山保全再生モデル事業運営協議会を組織し3つの部会を設置していますが、今回は、 9月2,3日の管理方針の検討に続き、生き物の里部会(柳川生き物の里管理運営協議会)17名が中心となって実施しました。 ボランティアでは市内から23名、神奈川県職員6名、東海大学の研究室の学生が9名参加。市内ボランティアでは中学生も参加していました。 そのほか事務局を加えて総勢70名となりました。
■柳川で生物調査を実施している東海大学学生の参加
今回参加した東海大の学生は、教養学部人間環境学科自然環境課程 藤吉研究室の学生さんです。同研究室と上地区は協働で生物調査を行っています。
大学側ではその成果を、地元へのデータ公表、発表展示会の実施、掲示板での生物の紹介などの形で還元しています。
その研究室メンバーが今回は保全作業に関わってくれました。学生は「いつもは学ぶ側だったが、
管理する側で作業をすることができ大変よい経験になった」との感想を述べています。生き物の里で学習する立場にある学生たちが、
地元の人たちと協働して保全作業を行ったことは大変有意義です。今後も継続して調査及び保全作業を行ってくれることを期待しています。
よろしくお願いします。
■上地区の目指す地域づくり(上地区まちづくり委員会会長からの話)
上地区は湧水がたくさんあり沢が多い。この場所にも水源があり、かつてはこの約1haの田を潤していた。水源のところには“溜め”
があって野菜の洗い場にするなど生活用水としても使用した。しかし水道が通ってからは使わなくなり、ここの田んぼも作らなくなってしまい、
水源には泥が埋まってしまった。ここをかつてのような、多様な生き物がくらす水辺に戻し、生態系をとり戻したい。水源の復活、水路の復元、
竹林の整備、温水溜池の整備などに取組んでいく。みなさんも、”上地区の人がやることだ”と言わず、
ここも地球の一部なので自分のこととして参加してほしい。そして子どもたちの遊び場や学びの場として活用していけるとよいと思う。
■秦野市から市民へのメッセージ(秦野市環境部長部長挨拶)
写真 部長
上地区の活動は、地元住民が主体となり、そこにボランティアの力を借りて保全活動をしていこうというもの。
地元とボランティアが一緒に保全のために力をあわせるという構図が一番の特徴。このような仕組みを、上地区をモデルに全市に広げていきたい。
■今後は・・
管理方針の①②④にあたる水源・水路と温水溜池の復元にまずとりくむ必要があります。さらに、それらの維持管理、
今回とりくんだ竹林整備を継続するために(継続しないと2,3年でもとに戻ると言われている)、今後もボランティアの参加が必要です。
地元の上地区の側で事業推進の組織化が進んでおり、ボランティア受入にも対応する体制がありますので、
グループで継続的に参加するなど固定したボランティアが来てくれれば最良です。
休憩時間に眺めることのできる景観は気持ちよく、頂いた焼き芋も大変おいしいと誰もが感じたはずです。
東海大の学生は調査研究でここを活用しています。生き物の里からは様々なことを享受できます。そのような人たちが、
地元の方と一緒になってここを保全していく仕組みができたらよいと思います。
2005年11月09日 [レポート]
上地区農作物被害防除対策に関わる鳥獣対策(シカ対策整備作業)報告
日 時 平成17年10月15日(土) 8:30~15:00
場 所 秦野市上地区ハ沢
参加者 地元生産組合 約25名(柳川、菖蒲、八沢、三廻部)
ボランティア 16名(神奈川育林会14名、市内活動団体より1名 個人1名)
神奈川県森林組合連合会(柵設置指導)、
秦野市(農産課、森林づくり課ほか)、里地ネットワーク
参加者総計60名程度
趣旨と目的
丹沢山麓での獣害は近年、秦野の周辺市町村でも問題となっています。秦野には獣害防除柵がすでに広域に設置してありますが、
周辺の整備がされておらずヤブになっているためシカが近づきやすく、ヤブのために捕獲がしにくい状況です。また、
道路や河川の開放部から入り込むなどして農地の鳥獣被害が続いており、農地の耕作放棄につながっています。そのため、
柵周辺を整備して見通しをよくし、補強・補完することにより、鳥獣被害を防ぎ、農地の耕作放棄等を防止することにより、里地里山の保全・
活用につなげます。
内 容 8:30 JA上支所前集合・作業説明
8:45 作業開始 (1班:ハ沢第1地区、2班:ハ沢第2地区)
12:00 昼食休憩・交流(現地)
13:00 作業再開
14:00 作業終了 片付けなど
14:30 上公民館で最後のまとめ
15:00 解散
今回、地元からは4つの生産組合から約25名の参加がありました。これは、今回の柵設置をはじめとした鳥獣害対策としての里山整備が、 地元の強い要請(危機感)から計画されたためです。各地区で里地里山保全をどのようにしていったらよいかという意見交換会で、地元の方々は、 里地の保全(農地の耕作維持)のためには鳥獣害対策が必要かつ優先事項であり、柵が充分に機能するために、補強・ 補完と周辺の山林整備が急務であることを話されました。柵の設置は獣害の対象療法といわれるかもしれませんが、どこかで獣害と耕作放棄・ 山林荒廃の悪循環をとめなければ、「里地里山の保全」どころではありません。それが地元の実情です。
当日は二班に分かれて下記の作業を行いました。
○1班 ハ沢第1地区:位置図に示したの広域獣害防止柵の秦野市側幅6m×300m、松田町側約50cmの整備(刈り払い、伐採い、枝打ち、
倒木処理)、柵の補強作業
作業前の様子
作業前は、写真のようなヤブでした。木は、広葉樹と植林された杉が混じっており、その大木の間を常緑の潅木(かんぼく)やツル、
ササ類などが生い茂ってとても中に入れる状態ではありません。ここを、刈払い機を持った、熟練した地元の方とボランティアの方が刈り進め、
機械をもっていない人が脇に片付けていくという作業を行いました。途中、直径10センチ程度の樹木は間伐しました。
始めるとみるみるうちに作業が進み、片付ける人手が足りないほどでした。11時半頃には、草刈り作業はほぼ終了しました。
柵は尾根沿いにあり、到達目標地点はこの丘陵の最頂部にあたるところです。その付近には、 大径木の倒木や枯木、 大きな杉の枯枝がたくさん転がっており、その上をツル植物や草が覆っているという状況でした。 手前から少しづつそれらをよけ、 倒木はチェーンソーで玉切りし、転がしながら脇によけていきます。大木を転がすのはとても危険で、 声をかけあいながら行いました。
作業後(倒木処理完了) 作業後 (幅6m×300mの整備完了)
お昼をはさみ作業を続け、ようやく片付きました。作業前とは全く様相が異なります。 これくらいに管理していれば、 鹿は柵を越えてまで里に入ってくることはないでしょう。6m×300mを刈ったところは、 散策路になるほどきれいになりました。 あらためて見直してみると、大木となったクヌギの木が多く、イヌシデ、 ミズキなどが混じっています。
作業の途中、この開けた空間を、美しいアサギマダラが優雅に舞いました。ほんの少しの空間ですが、鹿柵の機能充実だけでなく、
かつての秦野の里山らしい空間が開けたのではないかと思います。途中小雨が降りましたが、作業には殆ど支障なく、
予定通り終えることができました。
終了後、公民館にもどり、秦野市職員が準備してくれた豚汁をいただき、互いの労をねぎらいました。
○2班 ハ沢第2地区:約175mの柵の設置、設置範囲の刈払いと枝打ち
こちらは、広域獣害防止策の延長設置の作業です。まず設置区の刈払いをしました。下草だけでなく、 ここでは境界線上に植えてある杉が大きくなり、その下枝に藤ツルがからみついて大変なことになっています・・。 まずこれらを落とし、柵を設置できる空間をつくりました。
森林組合連合会の指導のもと、柵をはります。柱をたて、 上下2枚の柵をはって間を占めてつなぎ合わせます。途中に農地もありました。 ネットで獣害防止をしているようでした。
最後に柵周辺の藪やツルを除去して終了。ご苦労さまでした。
■ボランティアとの協働
地元の方は、活動を進めるにはボランティアの力が必要ではあるが、あくまで自分たちが主体的にやらねばならない、とのことで、
この対策は切実で真剣なものです。このように主 体的に動き出した地元の方々に、協 力な助っ人がボランティアとして駆けつけてくれました。
市内の保全団体から1名、個人参加1名と、「神奈川育林隊」から14名です。神奈川育林隊は森林組合に指導をうけた人で構成されており、
県内の固定フィールドで活動しているグループで、現在3グループ(各20人程度)があるそうです。今回、
ボランティアの力はとても大きなものでした。
このような主体的に動く地元住民と、信頼できる活動をしてくれるボランティア。今後保 全整備を 進める上で、
このような協働が必要不可欠になってくると思います。
■今後は・・
今回目標とした個所の周辺整備と柵補完・補強は、おおむね完了しました。
しかし実際に耕作放棄の防止や農地の保全活用、それによる里地里山の保全につなげるには、整備を継続して検証しなければなりません。
一度整備すれば、翌年からの整備は比較的軽減しますが、それでも継続が必要でありそのためには人手と経費が必要となります。
今回のような協働体制の仕組みの確立ととそれによる整備の継続が、今後の課題です。
■里地里山保全推進のため 、上地区独自の体制づくり
上地区では、里地里山保全を進めるために、新たな組織「 (仮)里地里山保全再生モデル事業運営協議会」を設立しました。これは3つの部会
(里 山・竹林部会、生き物の里部会、鳥獣対策部会)から構成しています。上地区では9月初に組織の立上げ総会を行い、
今後の取り組みについて全地区住民への周知をはかることにより、一部の有志にとどまらず地区一丸となって取組む体制づくりを行っています。
このような体制づくりによって、活動に参加・協力する住民も増え、役割分担ができ、継続しやすくなります。今回の八沢の作業は、
鳥獣対策部会が主となって行いました。柳川での活動は生き物の里部会、11月26日の竹林整備は里山・竹林部会が中心です。
市民のみなさんもふるってご参加ください。上地区にきたことがない方は是非おいでください。秦野のあらたな魅力に気づくはずです。
2005年11月02日 [レポート]
くま手づくり教室 報告
日 時 平成17年10月8日(土)9:00~13:30
場 所 里山ふれあいセンター
講 師 長山金光氏(秦野市上地区柳川)
参加者 一般参加 14名
目 的 秦野の竹を使ってくま手をつくり、冬に秦野の里山の落ち葉かき作業で使用し、竹林・雑木林の保全を促進する。 長期的には、くま手づくりを行える人材を増やすことで、竹の利用推進により里山保全を推進することを目指します。
内 容
9:00 「はだのの里地里山」スライド
9:15 日程説明
9:20 作業(曲げの実演・体験、組立て実演・説明、各自組立て)
13:00 作業終了、つくり方の復習
13:30 終了
■「はだのの里地里山」スライド(秦野市森林づくり課)
秦野野盆地の特徴と里地里山の現状、保全の必要性について、市役所から紹介しました。ポイントのみあげますと以下のとおりです。
・秦野の地下水盆・・貯水量芦ノ湖の1.5倍、上水道の7割を地下水で賄う。
・水源となる森林の面積は市全体の53% 5484ha、うち里山1100ha(森林全体の20%)
・秦野の名産品であったたばこ生産終了後、里山は手入れがされなくなり荒廃が進んでいる。
・里山林調査の結果、現状を分類すると、[A]手入 れされている9%、[B]多少手入れされている 35%、
[C]全く手入れされていない41%で、手入れの必要な里山が76%に達し、荒廃した里地里山への対策が急務
・市内の様々な里地里山と秦野の名水の数々を写真で紹介
・本モデル事業を実施する秦野市にとっての目的は、希少動植物の保護、地下水の保全、有機系ごみの資源化、自然災害の未然防止、
荒廃農地の解消、有害鳥獣対策等である。
*写真つきで詳しいものが見たい方は、ボランティア研修にご参加ください
■くま手作り
秦野市上地区柳川の、竹細工職人 長山金光氏の指導を受け、参加者1人1~2本のくま手を組立てました。長山氏は、
普段からくま手の他に箕や籠などの竹細工を作って秦野の直売所「じばさんず」等で販売しています。材料は市内(上地区のご自宅近く)
の竹です。
まず、くま手の「手」の曲げの部分を実演してもらいました。 曲げはくま手の最大の特徴ともいえるところですが、 曲げたら一週間固定しておかなければならないため、 この日は実演してもらった上で参加者も体験しました。
竹を両刃の竹割ナタで割り、順番に並べて番号をふります。
これは組み立てるとき竹がつながっていた通りに並べることで、仕上がりがきれいになるからです。
あぶり具合は"竹の油がでてきて一滴したたり落ちるくら いがよい"そうです。
曲げには専用の道具を使います。参加者も1人1~2回やりましたが、思ったより素直に曲がります。 コツは、全ての曲げがそろうように、
きっちり差し込み素早く曲げること。曲げに使う道具は殆どの方が初めて見るものでした。
作業中、竹の伐りどきについてなど質問も多く、参加者の関心は上々でした。講師曰く「手の部分は孟宗がよい、寒の頃に伐り6月頃までに使用、
胴回り約6寸(約18cm、直径約6cm)のものを使用するとよい」。
その後、講師の組立て作業をよく見たあと、各自1本を作成しました(2本作った参加者も)。材料は、 曲げてある手、抑えの竹、軸、針金です。
わからないところは見本をみたり、講師が回って指導してくれました。およそ2時間で、 合計20本 の「秦野産竹製くま手」
が完成しました。最後ホームセンターでは安く手に入りますが、手作りのくま手は、 くま手の機能以上の価値があります。
これは作った人のみが味わえる思いではないでしょうか。
最後の感想で参加者からは、「今回は素材が全て準備さ れていたが、今度はその前の素材づくりのところから実践したい」、さらには「伐採するところからやるとよいのでは」との声も聞かれました。
■今後は・・
今回の参加者の感想をもとに、曲げなどの素材の加工の部分をメインに、11月12日(土)、もう一度くま手つくりを開講します。
そして1月28日の落ち葉かきの活動で、これらのくま手を使って落ち葉かきを実施します。参加希望の方は是非ご連絡ください。
*ちなみに会場には、籠や箕など、長山氏作のほかの竹細工製品も参考に並んでいました。竹細工は、いまや伝統工芸として新鮮な感覚でとらえられるものだと思います。
くま手を初めとした竹細工教室を連続で開講したら、参加希望者が多いのではないかと思います。
モデル事業でのくま手つくりは、秦野の竹林を整備してその竹でくま手をつくり、雑木林の落ち葉かきをする、というように、 資源を循環させながら竹林・里山整備を進めることを目指しています。里山保全と資源循環への入り口は、竹林・雑木林整備、竹細工、 落ち葉堆肥作りなど様々です。入り口が多いことは、多様な人々の参加につながるはずです。今、里山をめぐる状況は、獣害、ヤマビル、 農家の担い手不足、農地や山林の荒廃といった様々な要因が複雑にからみあってしまっています。しかし諦めることなく、 少しづつ参加者を増やし、ほぐすことのできるところからゆっくりほぐし、健全な里地里山にもどしていくことが必要だと思います。 健全な里地里山は、私たちが継続的に頂くことのできる様々な資源と心身を豊かにする生活環境を支えてくれるものだからです。
2005年11月02日 [レポート]
生き物の里の保全指針づくり(上地区柳川)
フイールドリーダー研修
柳川生き物の里 保全再生活動 管理方針の検討
日 時 :平成17年9月2日(金)13:00~16:30、
3日(土)8:30~11:30
場 所 :上地区 柳川生き物の里
講 師 :守山弘先生(農業工学研究所 研究員)
参加者 :2日 約25名、 3日約40名
柳川生き物の里管理運営協議会(地権者、上小学校、東海大学)、
まちづくり委員会、渋沢小学校、神奈川県農地課職員、
秦野市環境保全課、森林づくり課、事務局
内 容: 9/2 13:00 集合 上地区の概要、柳川生き物の里の概要説明
15:00 現地調査(湧水を基点として生き物の里及び周辺の踏査)
守山先生より指導
9/3 8:00 現地踏査、守山先生より指導、
管理方針の下書き
10:00 上公民館にて管理方針、今後の管理作業等について検討
11:30 解散
○上地区柳川 生き物の里
秦野市上地区は、丹沢の裾野にある湧水に恵まれた小盆地です。市の南半分を占める秦野盆地とは水系を異にしており、標高230m~500m
(秦野盆地は低地部標高約100m)に位置する独立した盆地で、丹沢の伏流水があちらこちらから湧水しています。
すり鉢状の地形のほぼ中央に湿地・水田があり、その周囲に畑と里山、集落があるという、とても美しい田園風景をもっています。柳川
「生き物の里」は、中央部の湿地・水田地帯のうち約1haを、市が条例により水辺の生物の生息地として指定した保護区です。地権者、学識者、
小学校、自治会員で構成された管理運営協議会が管理を行っています。現在、年に2回の草刈りを行っていますが、
よりよい保全指針を得たいとの地元からの声もあり、今回、フィールドリーダー研修という形で、モデル事業懇談会の委員でもある守山弘先生に、
現場で指導をしていただくことになりました。
研修では、まず公民館で上地区の概要と生き物の里の概要の説明を受けた後、現地を踏査し、翌日、
管理方針についての意見交換と検討を行いました。
ここはかつては田んぼでしたが、大分ヨシが繁茂しているようです。このあとは、 うっすらとかつて畦畔であったであろうとことを選びながら奥まで歩いていきました。
指定区域に隣接した休耕田です。柳川は湧水が多いだけでなく地下水位も高く、田んぼでも自噴しているところが多いそうです。 この田んぼは、耕作していた当時は腰までもぐるほどだったとか。休耕している現在でも、夏でも冬でも、年中このように水が溜まっています。 もちろん、長靴でなければ開水面に近づけません。
○現地踏査
現地にて、地権者を含む地元の農家の方が昔の様子を説明し、守山先生から様々な指摘とアドバイスを頂きました。
この時間は大変有意義でした。何より、地権者の方々、地元農家の方々が10名ほど集まられ、
かつて今よりももっと豊かに水が湧いていた様子や、水田耕作に伴う水の経路、温水用などの水田の管理方法を話してくださいました。
そして守山先生は、現在もある様々な植物やその場の様子をもとに、
水田であったころの水辺の再生が里地里山らしい生物の生息環境をとりもどすことを具体的に指摘・アドバイスしてくださいました。
○地元から
一番奥の水源は、しみ出すように水が湧き流れ、周りには観察用に丸太が並べられています。今でも水が湧いていますが、地権者の方々によると、
かつてはとは大分様相が異なることが分かりました。昔(数十年前)は、大人の身長ほど(6~9尺)も下に掘り下げられたマスに水があふれ、
地元の人々の水飲み場、野菜の洗い場等として利用され、小学校の子供たちも水汲みに来ていたそうです。そこから左右に巾2尺の水路がのび、
ホトケドジョウ、サワガニ、アカガエルなどが現在よりもたくさんいたとのことでした。アカガエルは学校帰りにバケツ一杯集め、
皮をむいて食べたものだ、などの思い出話も。台風で斜面が崩れた際に、土砂が入ってしまい今のような状況になったとのことでした。
また水源から水が直接入る田んぼは、水温が低いため稲をつくらず、水をため温めるだけにしており、
そこにはドジョウやタニシが沢山いたそうです。水源を囲む斜面の林は、現在はマダケや潅木が繁茂して人は通れない状況ですが、
かつてはこの中に通り道があったのことであったとのことでした。
この後の検討会の席では、水田の構図を地権者の方がお持ちになり、
かつての畦畔や水路も明らかになり集まった人々が共有することができました。
○守山先生から
具体的な指摘を踏まえて様々なアドバイスを下さいました。
セキショウという植物が残っているのは、この植物が寝針がよく土手を抑えるのに有効なため、水路や畦畔に使われた名残だということ、
モクレイシやネズミモチといった海岸性の植物と山岳性の植物が混在しており、
プレート衝突による褶曲という太古の丹沢のなりたちに由来していること、コクサギはカラスアゲハの食草で葉の絞汁が虱取りになる、
アオキの葉は味噌仕込みのカビ予防として使われてきた・・・など、
里山の知恵=自然資源を利用する知恵や自然環境の特徴についてのお話は大変興味深いものでした。そしてここの保全方法として、
まず湧水の泥をほって水量を確保し、水田だったころの水路や畦畔、温水溜め池を復元することで、
里地の水辺の生き物も増えるであろうとのことでした。そしてその具体的な手法や技術、復元後のイメージなどは、
地域の農家の方々に聞くのがもっともよく、そのことが地元の人々のモチベーションをも引き出すことを示唆してくださいました。
○管理方針の検討
その後公民館にもどり、現場での話をもとに再度検討を行い、下記を主な方針として今後進めていくことが確認されました。
・かつての景観の復元し、それによってかつての自然環境と生物相の復元を目指す。
・水源を基点としてかつての水系(水源、水路、温水溜め池、田んぼ)を復元する。周囲の林の整備を行う。
・外部からもボランティアを入れ、継続できるよう、目に見える成果が得られる形で進めていく。
・水辺の再生保全によって田んぼ・湿地の生態系の基盤を整えことをめざし、整備後、東海大と協力し生物調査を行う。
これを実行に移すための第一回作業日も、10月29日(日)と決定しました。
-----以下は研修の結果のまとめ-------------------------------------------------------------------------------
柳川生き物の里 保全再生計画(案)
■基本方針■
かつての景観の復元をめざすことで自然の復元し、またそれを通じて文化の復元と伝承を図る。
1.湧水水源を基点にかつての水の経路を復元する。
2.復元順位は、湧水地、水路、温水溜め池、水田の順に進める。
3.水辺の整備と併行し、湧水地を基点に周辺の竹林・林の整備を行う。
4.復元作業により生態系の基盤を整える(整備後も生物調査を実施)。
5.外部のボランティアも入れ、継続できる方法で進める。
6.復元およびその後の維持管理作業を通じて、子どもたちに地域の自然と文化を伝承する。
■作業予定■
<第1回作業日程>
日 時 10月29日(土)雨天翌日 9:00~15:00
募 集 30人
集 合 9時上公民館前(自家用車orバス8:15渋沢駅発みくるべ行約7分)
持ち物 長靴、軍手、スコップ、弁当、水筒
内 容
(1)草刈り
(2)水路づくり
①バックホーでセキショウを株ごととる。スコップでとる場合は研いでおく。
②バックホーで水路を掘る。水源脇の二本は巾2尺。
③セキショウを植え付ける・・・人数必要
(3)水源の復元
①バックホーで泥あげ、搬出(地権者の畑へ、または水路の補強)
(4)温水溜め池づくり
①耕運機で耕起
②畦畔塗り
(5)竹林整備
①枯竹の搬出
②古竹の伐採、搬出
③焼却
2005年09月15日 [レポート]
はだのの里地里山(自然塾丹沢ドン会からのメッセージ)
はだのの里地里山 文:NPO法人自然塾丹沢ドン会
秦野盆地は丹沢のエクボ
空から見ると秦野盆地は丹沢山地のエクボのようです。北側に高い山々が迫っていますが、南側は相模灘に続く丘陵で、明るく温かなエクボです。
都心から鉄道でも車でもおよそ1時間。首都圏最後の緑の砦とされ、今では山や川に向かう観光客は引きも切りませんが、
高度経済成長期に首都圏が拡がりを見せるまでは、丹沢山麓の風と光そして大地が山麓特有の風土を築き上げていました。
春の菜の花、秋は蕎麦の花
山麓のどこからも美しい富士を仰ぎ見る事が出来ます。でも、ひとたび富士が怒ればその影響も当然のように受けなければなりません。昔、
火山である富士の爆発がこの地を火山灰で覆い尽くした事があります。絶望の大地に煙草が育ち、そして、
先人の知恵と努力で葉タバコの銘葉として世に知られるようになります。盆地は葉煙草一大生産地として、また春は煙草の前作の菜の花、
秋は後作の秋蕎麦が盆地を黄色く白く美しく彩りました。
葉煙草の栽培に欠く事ができなかったのが堆肥です。農家は、山の落ち葉を集めて発酵させて堆肥にしました。大切な農家の冬仕事です。
この農家の営みが美しい里山を作りました。コナラやクヌギは燃料として伐りだされ、常に再生が図られていましたので、
秦野の里山は何時も活力に満ち、林床の折々の草花は訪れる人の目を楽しませました。
美というより詩趣
里山は、普段は遠くの風のささやきが聞こえるような静かな林です。雲がほころんで、梢の間から薄い日の光が差し込んで、草の上をはねたり、
木の葉が風に誘われてひらひら舞い下りたりする光景が訪れる人を詩人にします。国木田独歩風にいえば、それは美というより寧ろ詩趣です。
コナラやクヌギですから黄葉します。黄葉するから落葉します。時雨がささやき、木枯らしが叫びます。木の葉を落とし尽くせば、
里山は一時裸になって、空は青く高く、空気が冴え渡ります。
農家の営みの変化
こんな美しかった里山が農家の営みの変化で変わり始めました。高度経済成長期、工場が多くの労働者を求めるようになり、農家の子はもちろんの事、
それまで農業を専業にしていた人たちをも受け入れたのです。
丁度同じ頃、台所の燃料が石油に変わり、薪や炭はいらなくなりました。原料の里山の木々が不用になったのです。石油から化学肥料が生産され、
堆肥の原料になった落ち葉もいらなくなってしまいました。こうなると山に入る人もいなくなります。
伐って再生を図ってきたが
人が入らなくなった里山のクヌギやコナラは大木になり、歳をとりました。以前でしたら15年もしくは20年周期で木を伐る事で、
萌芽更新による再生が計られました。太く歳をとった木々の再生は困難です。林床はアズマネザサに覆われて、暗く人の入ることを拒むようです。
かつて林床で花をつけたエビネやリンドウ、スミレなど種を落とす場所さえありません。樹液を出さなくなった老木には昆虫も集まりません。
生態系が変わろうとしています。クヌギやコナラの後継は林の中には見当たらず、今、
里山は落葉樹とカシやシイ等の照葉樹がせめぎあう遷移の只中にあるといえます。
環境省「里地里山の調査分析についての中間報告」によれば、「コナラ林は、本州東部を中心に中国地方日本海側に分布し、
薪炭林として活用されてきた。管理せず放置すると常緑広葉樹林に移行して林床に見られるカタクリ、スミレなどの植物は消失する事もある。また、
竹類、ネザサ類の進入、繁茂によって更新や移行が阻害され森林構造の単純化を招く」とあります。
人手により維持されてきた里山林は放置すれば里山林でなくなり四季折々の美しさをかもし出す落葉広葉樹林は消え、
笹薮か竹林あるいは照葉樹林に変わっていく、丹沢山麓は暖温帯に位置しており、放置することで最終的には常緑広葉樹林になるという報告です。
田畑の耕作放棄
山麓では丹沢の、多くの山が作りだす水を利用して稲作が営々と続けられてきました。山間ではそれが棚田となって、農村風景の美しさの中心、
また生物の多様性を生み出していました。農業が輝いていた時代には山も田畑も見事なほどに人の手が行き届いていたものです。ところが、
高度経済成長の原動力である工業化と都市化は農業を魅力のない仕事にしてしまったようです。ゴルフ場が出来、団地建設が進みました。
得るものがあれば、失うものがあるものです。工業化、都市化の結果として田畑が開発され、残された田畑も放置されるようになります。
里山は地権者の重荷とさえなり始め、美しさの中心だった棚田にはいつしか潅木が生え、棚田の面影さえありません。
いま、農作業を支えてきた昭和一桁世代は70歳を越え、農業を続けたくとも体が思うに任せなくなりました。
かくして耕作放棄地は広がり続けています。
貴重な普通な生物たち
山麓の名古木の生物調査を自然塾丹沢ドン会とともに始めた東海大学の北野 忠さんは 「名古木では里山の普通の生物が今なお普通に生きている」と言います。「普通」が強調されるのは、他が変わって普通ではなくなっているからです。 放置すればこの普通の生物もいずれ希少に変わってしまいます。この調査でドジョウの仲間が2種確認されました。 その一つのホトケドジョウは絶滅危惧種に指定されています。ここでは、昔と変わらず、田んぼの水路に普通にいますが、 他では希少になってしまいました。「ホトケドジョウがいなくたって、何が困る」と言う人たちがいます。彼らは、 今まで地球上に人間と一緒に生きてきた生物の仲間が消えても、人間生活に何も、関係しないと簡単に片付けてしまいます。確かに、 ドジョウがいなくなっても、それがどう自分に跳ね返ってくるのか良く分かりません。しかし、 自然はたくさんの構成要素が複雑に作用しあった巨大なシステムです。システムを構成する何かが欠けたとき、どんな影響が、 いつ現れるのか予測がつきません。少し前までなら時計の歯車で説明できたものです。どんなに小さな部品でも、なくなると動かなくなるか、 狂いが生じます。人間の体も巨大で緻密なシステムです。それぞれの部署が機能してはじめて健康を保っています。ですから、ドジョウもメダカも、 そしてミジンコだって自然のシステムを維持するために何らかの役割を果たしているに違いないのです。東海大学の北野さんたちの調査では、 この地域ではホトケドジョウも他の生物もまだ普通に生息しているとのことです。この「普通」は守らなければなりません。
山や田畑はあなたの出番を待っている
山や田畑は人手の入ることを待っています。更新を考えれば里山はもう待ったなしです。田畑もこのままを放置すれば美しい日本の原風景、 田園風景が消えてしまいます。ところが農業をする人も林業に携わる人も少なくなりました。山や田畑はあなたの出番を待っています。
山ろくの里地里山は、あなたの「ダッシュ村」になる
アイドルグループが山作業をし、荒れた田畑を耕し、村づくりを進めるテレビの人気番組があります。村の名は「ダッシュ村」。
ほのぼのとして、懐かしく見る人の共感を呼びます。番組の内容と同じような事が山麓の名古木で行われています。違いは、
名古木のほうは誰でも自由に参加できる事です。身体を動かす事は楽しいものです。仕事や学校で体験できなかったことが経験できますし、
ルールさえ守れば、仕事や勉強のように、義務も押し付けもなく自由です。ルールは簡単、
環境や他人に迷惑をかけないという当たり前の社会の規律だけです。技能が求められるときは仲間と助けあえばすむことですし、
基本的には自分のペースでできます。自然の中での共同業は人間関係を育みます。達成感はサラリーマンでは味わえなかったものです。主催者は、
活動の結果より、参加者の体験を尊重します。潜在的な能力に目覚める人もいますし、今までにない自分を発見する人もいます。きっと、あなたの
「ダッシュ村」に自分の居場所を見出す事が出来るでしょう。
2005年09月10日 [レポート]
秦野の地場産品でつくる食事4
2005年9月に秦野市にて行われた「森里川海フォーラム」では、主催者の要請で、 秦野の地場産品を中心にした料理を地元の方々が提供しました。
料理を担当した方による料理メモと料理写真がありますので、秦野の地場産品と料理の記録としてレポートします。
2005年9月4日 朝食
白米
油揚げコロッケ
ハスの梅肉合え
ハス、梅干し
ハスは茹でて薄切りにし、梅肉と合える。
トウガンのみそ汁
ナシ、スイカ
2005年09月08日 [レポート]
秦野の地場産品でつくる食事3
2005年9月に秦野市にて行われた「森里川海フォーラム」では、主催者の要請で、 秦野の地場産品を中心にした料理を地元の方々が提供しました。
料理を担当した方による料理メモと料理写真がありますので、秦野の地場産品と料理の記録としてレポートします。
2005年9月3日 夕食
猪鍋
猪肉、大根、ごぼう、こんにゃく、みそ
猪肉はアク取りの為、茹でこぼして使用。みそ味でコトコト弱火で煮た。
巻き寿司(卵巻・細巻)
稲寿司
アユの甘露煮
アユ
アユを素焼きにして湯通しする。
酒、しょう油、砂糖、みりんでコトコト煮る。
野菜のかき揚げ
玉ネギ、人参、サツマイモ、ネギ、ごぼう
煮物
さといも、椎たけ、竹のこ、カボチャ、こんにゃく、さつま揚
イモガラの煮物
イモガラ
イモガラはうす皮をむいて3cm位のザク切にして水にさらす。
水切りして油いためをしてだし汁、しょう油、砂糖、酒で煮る。
サラダ
キューリ、トマト、コーン、干ぶどう、マヨネーズ
キューリ、トマトさいの目切り
ピザ
強力粉、天然酵母、ケチャップ、トマト、チーズ
ピザ皮は天然酵母と強力粉でねって作っています。
まんじゅう(さつまいもあん)
むしパンミックス、さつまいも、砂糖、バター、牛乳
うでピー
きゅうりの浅漬け
2005年09月08日 [レポート]
秦野の地場産品でつくる食事2
2005年9月に秦野市にて行われた「森里川海フォーラム」では、主催者の要請で、 秦野の地場産品を中心にした料理を地元の方々が提供しました。
料理を担当した方による料理メモと料理写真がありますので、秦野の地場産品と料理の記録としてレポートします。
2005年9月3日 朝食
白 米ごはん
花オクラの酢の物
花オクラ、オクラ、酢、砂糖、しょう油
さっとゆでて酢の物にした。
モロヘイヤの卵焼
モロヘイヤ、卵
モロヘイヤは茹でて、ザルに取り水分を切る。小さくきざんでおく。
卵にだし汁、砂糖、しょう油少々を入れて良くまぜモロヘイヤを入れて焼く。
サラダ
レタス、キューリ、トマト
キューリの浅漬け
キューリ、塩
2005年09月08日 [レポート]
秦野の地場産品でつくる食事1
2005年9月に秦野市にて行われた「森里川海フォーラム」では、主催者の要請で、 秦野の地場産品を中心にした料理を地元の方々が提供しました。
料理を担当した方による料理メモと料理写真がありますので、秦野の地場産品と料理の記録としてレポートします。
2005年9月2日 夕食
巻き寿司(玉子巻き)
卵、キューリ、のり
キューリの細巻き寿司を作り、卵焼きで外巻きをして太巻きにする。
けんちん汁
ゴボウ、大根、里いも、豆腐、
さつま揚
かるくいためてコトコト煮込む。しょう油と塩少々で味付 け。
油揚げコロッケ
油揚げ、じゃがいも、玉ネギ
じゃがいもは蒸して皮をむきつぶしておく。
玉ネギはみじん切りにして塩コショウで味付けしてよくいためておく。
じゃがいもと玉ネギを混ぜ合わせ、半分に切って裏返しにした油揚げにつめる。
口は楊子で止めて油で揚げる。
野菜の天ぷら
カボチャ、さつまいも
かき揚げ(玉ネギ 人参 ピーマン サクラエビ)
野菜の生春巻
生春巻の皮、キューリ、トマト、春雨、アボガド、玉ネギ
アボガドと玉ネギのきじん切りをマヨネーズ、塩、コ ショウで合えておく。
生春巻の皮を湯につけてもどし、野菜と、ゆでた春雨、マヨネーズで和えたアボガドを色どり良く入れ包む。
煮物
里イモ、カボチャ、椎たけ、こんにゃく
しょう油、砂糖、酒、みりんで煮る。
そば(そばつゆ)
ナス、シメジ
こまかく切って、さっと油いためしてダ汁、しょう油、酒、みりん少々で味付け。
2005年09月08日 [レポート]
記事のサンプル
ここには、イベントの報告や秦野の自然などのエッセイ、記事を掲載します。
写真は秦野市水道局が行っている水田涵養実施地の風景です。
いつも水が流れていて美しいビオトープになっていました。
2005年04月01日 [レポート]