上地区竹林整備活動 報告書

日 時 平成17 年11 月26 日(土) 9:00~15:00
場 所 秦野市上地区三廻部 竹林2,000 ㎡
参加者 上地区竹林部会 約10 名
         ボランティア養成講座21 人、応募者22 人、
         炭焼き研究会6 名、四十八瀬川自然村5 名、
         秦野市、環境省2 名、里地ネットワーク2 名 総計70 名程度

指 導 竹材業 鍛代権之助 氏
     (全日本竹産業連合会員・県竹林協会副会長)

目 的
竹は、かつてはタケノコや資材として利用されてきました。秦野にも集落の近くに
竹林がありますが、最近は利用が減り放置されるところが増えています。放置され
た竹林は過密になり、景観が荒れ、表土を抑える力も衰え、植生は単調化して生物
多様性の低下を招きます。さらに放置すれば周囲に拡大してしまいます。このよう
な竹林をもう一度整備し、人が入れる、タケノコのとれる楽しい身近な竹林として
再生します。

内 容
9:00 現地に集合(案内図のとおり)
9:05 あいさつ・作業日程の説明
9:15 竹林管理の必要性・管理の方法 
       竹材業 鍛代権之助 氏
10:00 実習作業開始
12:00 昼食休憩・交流
13:00 作業再開
14:00 作業終了。片付け
14:15 竹林整備のまとめ 里地ネットワーク
14:35 竹の活用 部会長
15:00 連絡事項・解散


・始めに上地区竹林部会会長の小宮氏と環境省から挨拶があったあと、本日の指
 導者である鍛代氏から、竹林の整備方法について話があった。鍛代氏は、全日
 本竹産業連合会員・ 県竹林協会副会長。平塚の七夕祭りで使用する竹をほぼ
 全て納めている竹産業の専門家です。

・鍛代氏による竹林整備についての説明:
  ・安全の確保 1、竹林内でタバコは吸わない 2、作業はゆっくり
  ・高伐り(地面から30~40 センチ以上の高さで伐ること)をしたままおいて
   おくと、地下水が通りにくく根が弱くなり、細い竹しか出なくなるので、
   地際で切り直すこと。根を張らせるにはに、古い竹は切って青い竹を残す。
  ・伐るのは9月から2月。使う場合は3~4 年ものがよい。竹の年齢の見分け方
   1年:青い 2 年:少し黄ばむ 3 年:朝日の当たる側が黄色くなる
   4年:全体的に青みが薄く黄色い 5 年:葉が枯れ始める
   6 年:葉がなく立枯れる
  ・作業時は、歩く場所1.5~2mくらいを地面まで完全にきれいにする。
  ・根元はハスに切る。切り口が危険でないように3~4回に分けてノコを入れる。
  ・倒す方向は引き出すのと逆の方向(根元から引き出せるように倒す)。
   長いものは玉切りしてから搬出する。枝はおとして纏める。
  ・籠には4 年目のものが最適。1,2,3 年目のものではしいなびる。5 年目の
   ものは、よじったときに節と節の間が折れてしまう。竹垣をつくるときは、
   竹用のニスをぬって、石鹸と米ぬかを混ぜたものを布にふくませて拭くと長も
   ちする。竹垣は、青竹でつくるのであれば地面にさした方が長持ちする。根が
   なくても多少水を吸うため。地面から離したものより1 年くらいもつ。

・作業は、3 班に分かれ、3 箇所に区切って作業を行いました。まず枯れ竹を出す作業。
 竹林は斜面であり搬出場所の道路は上側だったので、受渡しをしながらの
 搬出でした。縄を利用しながらまとめて道路まで運び、そこでさらにトラックに摘
 みこみ(1 班は作業場近くまでトラックを下ろした)、指定の場所に運搬しました。
 古竹などは 後日焼却することになっています。
・枯竹は出しても出しても切りがなく、トラックでのに合わないほど。そのため途中か
 らは、枯れ竹は玉切りして林内にそろえて積んでおくこととしました。枯れ竹整理後
 は込んだところの4,5年以上の竹を中心に伐採しました。枝を払い、使える竹は
 5mに切り揃えて指定場所に運搬し、積んである。これは希望者が持ち帰ってよ
 いことになっています。
・鍛代氏は昼で帰られましたが、昼食の時間に伐採すべき竹に紐で印をつけてい
 かれたました。午後の作業も順調に進み、鍛代氏がマーキングしたものは全て
 伐採し、班によってはそれ以上に伐採を進めることができました。


   作業前      →     作業後

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・2 時過ぎに作業を終え、竹カップ(一部紙コップ)の甘酒をいただきながらまとめを行
 いました。里地ネットワーク竹田からは、鍛代氏の話を復習し一部追加して、具体的
 な竹林整備方法について確認をしました。その後、上地区竹林部会の小宮氏より、
 竹の利用について話がありました。
 「上地区にもかつては竹屋があり、農閑期には農家の仕事として竹細工などをやったが、
 最近は外国産があふれてしなくなった。引き継ぐものもおらず、竹林は放置された
 ままとなっているところが多い。今でも竹細工をしている人が上地区にいるので、
 希望があれば職人に取り次ぐことができるので連絡を。また「炭焼き研究会」で竹炭を
 焼いている。飲み水に一晩いれると美味しい水になるし、ご飯を炊く時や天ぷらに
 使っても良いので、是非利用してほしい。」

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・参加者について、地元竹林部会はボランティアが沢山集まったことに驚いていました。
 参加者の中では、男子高校生2 人が先生と一緒に参加し大変張り切っていたのが印象深
 いです。先生が授業の一環にとりいれたいとのことです。また、東京農業大学(地球環
 境学部森林総合科学科)の女子学生2 名も参加しました。「環境学習・自然体験」とい
 うテーマで自分で活動を探し、参加してレポートを書くという授業とのこと。教育の場
 としても里山保全活動が活用されることを期待したいです。

・作業の終了するころには、林床に光のさす竹林となり、「今日参加した人にカードを渡
 して春にタケノコ掘りにきてもらうといい」という声が聞こえてきました。まだそのよ
 うな計画はたっていませんが、竹林は、せっかく整備しても継続しなけば3 年でもとに
 戻ってしまいます。整備に参加した人たちがタケノコ掘りなどを楽しむ機会をつくり、
 利用しながら管理を継続できるようにする仕組みづくりが必要です。


2005年12月02日 [レポート]

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