鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備(落ち葉かき)平成19年1月20日
日 時 平成18年1月20日(土)9:00~13:00 * 午後雨天のため続き作業26日
場 所 神奈川県秦野市北地区羽根 約3.4ha
参加者 166名
北地区まちづくり委員会、羽根・菩提・ 戸川三屋生産森林組合、菩提滝の沢保存会、
横野造林組合、北財産区、森林組合、 農業生産組合、地元森林農家、ボランティア養成研修受講者、ふるさとカレッジ受講者、里山保全ボランティア、 清水久保里山づくりの会、神奈川育林隊、秦野市
今年も、昨年に続き落ち葉かきを実施しました。
秦野の里山はかつてタバコ生産のための苗場や堆肥に使うため、落ち葉かきをしていました。 しかし担い手の高齢化や人手不足のため里山が荒廃化し、多くが暗く湿った里山となり、北、東地区ではヤマビルが大量に発生し、 畑や山の仕事に支障がでておりました。
そこで、平成17年度から試行事業として、 里山ふれあいセンター周辺3.4haの里山で環境的防除の下刈り、枝打ち、間伐、落ち葉かき等の手法で、 里山を昔の美しい里山に蘇らせたところ、ヤマビルの減少に効果があるとの検証結果がでました(詳しくはヤマビル生態調査報告会を参照) 。特に冬の間に、木の葉も落ち葉もない状況で直射日光にさらされる地表は、温度が30℃以上、高いと35度くらいまえ上がり、 ヤマビルの生育に大きな影響があることが分かりました。しかし、 やはり夏にはヤマビルも鹿も活動が活発になり若干増えてしまうこと、人や獣が歩く道沿いで日当たりの悪いところなど、 ヤマビルが集中して生息する箇所があり、そこは減りにくいことなども分かりました。
本年度については、新たに、 熱及び炭による効果の検証を取り入れ、継続してヤマビルが住めない里山にするための試行事業を実施し、 併せて地域戦略に基づき落ち葉による堆肥づくりも実施します。
20日は、久々に冬らしい寒い日で、 朝は少し雪もちらつきました。
集ったのは約170名。地元と市民ボランティアと約半々です。
始めに秦野市と北地区まちづくり委員会和田会長より主旨説明があり、4班に分かれて作業を行いました。
作業手順は次の通り。
①地区内のすべての落ち葉かきを行い搬出
・ 枝や落ち葉以外のものが混じらないよう区分けして袋に詰める。
②地区内のヤマビルが多いと思われるところ3㎡で焚火
・ 熱によるヤマビルに対する影響を見るため周辺の焚き木を集め燃やす。
・火災にならないよう十分注意をし、 消火はスコップで砂をかけ行う。
・3㎡の範囲の四隅に木グイを打ち込む。
③炭の粉を5㎡に散布
・ 炭の粉を地面にまいてヤマビルへの影響を検証区とする。
・5㎡の四隅に木グイを打ち込む。
④腐葉土・ 堆肥づくり
・落ち葉を堆肥置場に集め腐葉土・ 堆肥づくりを行います。
・堆肥の中のヤマビルの発生状況を検証する。
各持ち場につき、早速作業開始。 斜面の上の方から横に並んで掻きながら降り、たまったところで2~3名づつ協力して袋(ネット袋と大容量フレコン) 詰めを行います。少し掻いただけでも山のように落ち葉がたまり、結構快感です。
袋詰めは、手や箕である程度詰めたところで、 1人が上に乗って踏み締め、さらに落ち葉を詰めて満杯にし、転がして道添いに集積します。
地元の人はさすがに慣れています。 袋に入れるとき、手に抱える落ち葉の量がハンパじゃありません。ふわふわと落ち葉詰めなんかしてたら日が暮れます。 がっつり集めてがっつり詰める。それにはコツがあるのです。教えてもらってやってみるけれど、イマイチ。 でも慣れないボランティアの参加者も、実に一生懸命に体を動かしていました。
くずかき前線
作業前↑
作業後↑
昨年、 ヤマビル生態調査の対照区として整備しなかった部分も、今年は12月の草刈り、今回の落ち葉かきと整備を行ないました。
面積が広くなったためか、 予想以上に落ち葉はたくさん集まったようです。
集った落ち葉は軽トラに載せて搬出し、 地元の皆さんが作られた堆肥場に運びました。
また今年の新たなヤマビル対策方法の検証として、上記②③を実施。 ②は林内所々に集積していた枯れ枝で焚き火を行い、消火後に試験区が分かるよう木杭を打ちました。③は粉炭(今回は、 約1300度の高温で炭化したという商品を利用)を5㎡に約20リットル散布し、木杭を打ちたました。
昼には豚汁がふるまわれ、 冷たい小雨の降る中で体を温めました 。午後には雨が振り出してしまったため、残りの搬出作業その他は、 日を改めて26日に地元のみなさんが行ない、ようやく終了しました。
尚、調査・ 指導いただいているヤマビル研究会が、調査データ補填のため温湿計を3箇所に設置しました。
2007年02月02日 [レポート]