上地区 柳川生き物の里 保全再生事業 報告
日 時 平成17年10月29日(土) 9:00~15:00
場 所 秦野市上地区柳川
参加者 上地区、生き物の里管理運営協議会 17名
ボランティア 38名(市内23名、神奈川県農地課6名、東海大学9名)
秦野市約10名(環境保全課ほか)、環境省2名、里地ネットワーク1名
参加者総計 約70名
趣旨と目的
今年9月2日に専門家(守山弘先生)を招き、生き物の里管理方針の作成を行いました(詳細は9月2,3日の報告を参照)。
この方針にもとづき、①水源の復元、②水路の復元、③水源周辺の竹林の整備、④湧水が直接流れ込む田んぼ温水ため池の復元に取組みます。
今回は、③水源周辺の竹林の整備と、全面的な草刈りを行いました。①②④については、別途作業日を設定します。
内 容
9:00 上公駐車場集合→現地へ移動
9:15 あいさつ(佐野会長)、作業スケジュールの説明、班分けとリーダーの紹介
9:30~ ○草刈班 メンバー:約20名 刈払い機で全面的な草刈り
○竹林班 メンバー:約50名 水源の周囲3箇所、3班に別れ作業
枯れ竹搬出、キザミ、焼却、伐採作業(竹、潅木)
搬出作業、キザミ、枝払い
12:00 昼食(各自持参)、焼き芋、飲物
13:00 午前中の作業の継続
14:30 片付け、挨拶
15:00 解散
■草刈り班
生き物の里管理運営協議会のメンバ ー が中心となり全面的な刈り払いを行いました。
■竹林班
水源の回りを中央/右側/左側の3箇所に分かれ、それぞれ地元リーダーの指導のもと作業を行いました。竹と潅木が過密に生えていたため搬出が容易でなく、青竹、
潅木を伐採し搬出口を開きながら作業を進めた。枯竹は焼却し、使える青竹と生木は別に摘んで枝払いをしました。
地元の方は全体の指揮や伐出作業をリードし、熟練者は斜面での伐採や枝払い、体力の若い参加者は搬出や焼却と、
それぞれの体力にあわせて分業・協力しながら作業を進めました。枯竹は、面積的にはさほどないのですが、
出しても出しても出しても、でてきます。
作業前は、立っている竹と枯れ竹が3次元的に縦横無尽 にあり、真っ暗で踏み入れるのも困難な状況でしたが、 本日の作業で、場所によっては木漏れ日も差す竹林らしい竹 林になりました。ここまでくれば、今後の伐採作業が必要な場合でも、 作業がしやすくなります。
作業前 作業後
水路の掘削と水源の泥堀りは今回は実施できなかったので、別途実施することになりました。
かつては、湧水の溜まりと、洗い場として利用する「溜め 」との2ヵ所があり、 「溜め」は6~9尺も深く掘ってあって下は砂 利だったそうです。この井戸の泥を掘り下げ、復元することが次の目標です。かつてのように地元の子どもたちが、湧水をたたえた井戸の周りに集う日が来るのも間近でしょう)。
作業中には、サワガニが沢山でてきました。また、小さく白く輝くフタスジモンカゲロウを見つけました。いずれも、
河川の上流部に生息する生物です。 シュレーゲルアオガエルもいました。
その下の田んぼにドジョウやタニシ、アブラハヤなどがいたわけですから、柳川生き物の里は、上流~中流が凝縮されたような、
多様な水辺環境をもっていると思います。
■地元の主体性のも と、ボランティアとの協働で実施
上地区では(仮)里地里山保全再生モデル事業運営協議会を組織し3つの部会を設置していますが、今回は、 9月2,3日の管理方針の検討に続き、生き物の里部会(柳川生き物の里管理運営協議会)17名が中心となって実施しました。 ボランティアでは市内から23名、神奈川県職員6名、東海大学の研究室の学生が9名参加。市内ボランティアでは中学生も参加していました。 そのほか事務局を加えて総勢70名となりました。
■柳川で生物調査を実施している東海大学学生の参加
今回参加した東海大の学生は、教養学部人間環境学科自然環境課程 藤吉研究室の学生さんです。同研究室と上地区は協働で生物調査を行っています。
大学側ではその成果を、地元へのデータ公表、発表展示会の実施、掲示板での生物の紹介などの形で還元しています。
その研究室メンバーが今回は保全作業に関わってくれました。学生は「いつもは学ぶ側だったが、
管理する側で作業をすることができ大変よい経験になった」との感想を述べています。生き物の里で学習する立場にある学生たちが、
地元の人たちと協働して保全作業を行ったことは大変有意義です。今後も継続して調査及び保全作業を行ってくれることを期待しています。
よろしくお願いします。
■上地区の目指す地域づくり(上地区まちづくり委員会会長からの話)
上地区は湧水がたくさんあり沢が多い。この場所にも水源があり、かつてはこの約1haの田を潤していた。水源のところには“溜め”
があって野菜の洗い場にするなど生活用水としても使用した。しかし水道が通ってからは使わなくなり、ここの田んぼも作らなくなってしまい、
水源には泥が埋まってしまった。ここをかつてのような、多様な生き物がくらす水辺に戻し、生態系をとり戻したい。水源の復活、水路の復元、
竹林の整備、温水溜池の整備などに取組んでいく。みなさんも、”上地区の人がやることだ”と言わず、
ここも地球の一部なので自分のこととして参加してほしい。そして子どもたちの遊び場や学びの場として活用していけるとよいと思う。
■秦野市から市民へのメッセージ(秦野市環境部長部長挨拶)
写真 部長
上地区の活動は、地元住民が主体となり、そこにボランティアの力を借りて保全活動をしていこうというもの。
地元とボランティアが一緒に保全のために力をあわせるという構図が一番の特徴。このような仕組みを、上地区をモデルに全市に広げていきたい。
■今後は・・
管理方針の①②④にあたる水源・水路と温水溜池の復元にまずとりくむ必要があります。さらに、それらの維持管理、
今回とりくんだ竹林整備を継続するために(継続しないと2,3年でもとに戻ると言われている)、今後もボランティアの参加が必要です。
地元の上地区の側で事業推進の組織化が進んでおり、ボランティア受入にも対応する体制がありますので、
グループで継続的に参加するなど固定したボランティアが来てくれれば最良です。
休憩時間に眺めることのできる景観は気持ちよく、頂いた焼き芋も大変おいしいと誰もが感じたはずです。
東海大の学生は調査研究でここを活用しています。生き物の里からは様々なことを享受できます。そのような人たちが、
地元の方と一緒になってここを保全していく仕組みができたらよいと思います。
2005年11月09日 [レポート]