くま手づくり教室 報告 

日 時 平成17年10月8日(土)9:00~13:30
場 所 里山ふれあいセンター
講 師 長山金光氏(秦野市上地区柳川)
参加者 一般参加 14名

 

目 的  秦野の竹を使ってくま手をつくり、冬に秦野の里山の落ち葉かき作業で使用し、竹林・雑木林の保全を促進する。 長期的には、くま手づくりを行える人材を増やすことで、竹の利用推進により里山保全を推進することを目指します。

内 容
9:00 「はだのの里地里山」スライド
9:15 日程説明
9:20 作業(曲げの実演・体験、組立て実演・説明、各自組立て)
13:00 作業終了、つくり方の復習
13:30 終了

 ■「はだのの里地里山」スライド(秦野市森林づくり課)
秦野野盆地の特徴と里地里山の現状、保全の必要性について、市役所から紹介しましたDSCN2428。ポイントのみあげますと以下のとおりです。
・秦野の地下水盆・・貯水量芦ノ湖の1.5倍、上水道の7割を地下水で賄う。
・水源となる森林の面積は市全体の53% 5484ha、うち里山1100ha(森林全体の20%)
・秦野の名産品であったたばこ生産終了後、里山は手入れがされなくなり荒廃が進んでいる。
・里山林調査の結果、現状を分類すると、[A]手入 れされている9%、[B]多少手入れされている 35%、 [C]全く手入れされていない41%で、手入れの必要な里山が76%に達し、荒廃した里地里山への対策が急務
・市内の様々な里地里山と秦野の名水の数々を写真で紹介
・本モデル事業を実施する秦野市にとっての目的は、希少動植物の保護、地下水の保全、有機系ごみの資源化、自然災害の未然防止、 荒廃農地の解消、有害鳥獣対策等である。
*写真つきで詳しいものが見たい方は、ボランティア研修にご参加ください


■くま手作りIMG_0068
秦野市上地区柳川の、竹細工職人 長山金光氏の指導を受け、参加者1人1~2本のくま手を組立てました。長山氏は、 普段からくま手の他に箕や籠などの竹細工を作って秦野の直売所「じばさんず」等で販売しています。材料は市内(上地区のご自宅近く) の竹です。

まず、くま手の「手」の曲げの部分を実演してもらいました。 曲げはくま手の最大の特徴ともいえるところですが、 曲げたら一週間固定しておかなければならないため、 この日は実演してもらった上で参加者も体験しました。IMG_0083

 竹を両刃の竹割ナタで割り、順番に並べて番号をふります。 これは組み立てるとき竹がつながっていた通りに並べることで、仕上がりがきれいになるからです。
あぶり具合は"竹の油がでてきて一滴したたり落ちるくら いがよい"そうです。
曲げには専用の道具を使います。参加者も1人1~2回やりましたが、思ったより素直に曲がります。 コツは、全ての曲げがそろうように、 きっちり差し込み素早く曲げること。曲げに使う道具は殆どの方が初めて見るものでした。
作業中、竹の伐りどきについてなど質問も多く、参加者の関心は上々でした。講師曰く「手の部分は孟宗がよい、寒の頃に伐り6月頃までに使用、 胴回り約6寸(約18cm、直径約6cm)のものを使用するとよい」。

  その後、講師の組立て作業をよく見たあと、各自1本を作成しまDSCN2486IMG_0167した(2本作った参加者も)。材料は、 曲げてある手、抑えの竹、軸、針金です。 わからないところは見本をみたり、講師が回って指導してくれました。およそ2時間で、 合計20本 の「秦野産竹製くま手」 が完成しました。最後ホームセンターでは安く手に入りますが、手作りのくま手は、 くま手の機能以上の価値があります。 これは作った人のみが味わえる思いではないでしょうか。
最後の感想で参加者からは、「今回は素材が全てIMG_0289IMG_0295準備さ れていたが、今度はその前の素材づくりのところから実践したい」、さらには「伐採するところからやるとよいのでは」との声も聞かれました。

 


■今後は・・
今回の参加者の感想をもとに、曲げなどの素材の加工の部分をメインに、11月12日(土)、もう一度くま手つくりを開講します。 そして1月28日の落ち葉かきの活動で、これらのくま手を使って落ち葉かきを実施します。参加希望の方は是非ご連絡ください。
*ちなみに会場には、籠や箕など、長山氏作のほかの竹細工製品も参考に並んでいました。竹細工は、いまや伝統工芸として新鮮な感覚でとらえられるものだと思います。 くま手を初めとした竹細工教室を連続で開講したら、参加希望者が多いのではないかと思います。

 モデル事業でのくま手つくりは、秦野の竹林を整備してその竹でくま手をつくり、雑木林の落ち葉かきをする、というように、 資源を循環させながら竹林・里山整備を進めることを目指しています。里山保全と資源循環への入り口は、竹林・雑木林整備、竹細工、 落ち葉堆肥作りなど様々です。入り口が多いことは、多様な人々の参加につながるはずです。今、里山をめぐる状況は、獣害、ヤマビル、 農家の担い手不足、農地や山林の荒廃といった様々な要因が複雑にからみあってしまっています。しかし諦めることなく、 少しづつ参加者を増やし、ほぐすことのできるところからゆっくりほぐし、健全な里地里山にもどしていくことが必要だと思います。 健全な里地里山は、私たちが継続的に頂くことのできる様々な資源と心身を豊かにする生活環境を支えてくれるものだからです。

 

 

2005年11月02日 [レポート]

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