上地区農作物被害防除対策に関わる鳥獣対策(シカ対策整備作業)報告

日 時 平成17年10月15日(土) 8:30~15:00
場 所 秦野市上地区ハ沢
参加者 地元生産組合 約25名(柳川、菖蒲、八沢、三廻部)
     ボランティア 16名(神奈川育林会14名、市内活動団体より1名 個人1名)
      神奈川県森林組合連合会(柵設置指導)、
      秦野市(農産課、森林づくり課ほか)、里地ネットワーク
     参加者総計60名程度
趣旨と目的 
丹沢山麓での獣害は近年、秦野の周辺市町村でも問題となっています。秦野には獣害防除柵がすでに広域に設置してありますが、 周辺の整備がされておらずヤブになっているためシカが近づきやすく、ヤブのために捕獲がしにくい状況です。また、 道路や河川の開放部から入り込むなどして農地の鳥獣被害が続いており、農地の耕作放棄につながっています。そのため、 柵周辺を整備して見通しをよくし、補強・補完することにより、鳥獣被害を防ぎ、農地の耕作放棄等を防止することにより、里地里山の保全・ 活用につなげます。

内 容 8:30 JA上支所前集合・作業説明
  8:45 作業開始 (1班:ハ沢第1地区、2班:ハ沢第2地区)
 12:00 昼食休憩・交流(現地)
 13:00 作業再開
 14:00 作業終了 片付けなど
 14:30 上公民館で最後のまとめ
 15:00 解散

今回、地元からは4つの生産組合から約25名の参加がありました。これは、今回の柵設置をはじめとした鳥獣害対策としての里山整備が、 地元の強い要請(危機感)から計画されたためです。各地区で里地里山保全をどのようにしていったらよいかという意見交換会で、地元の方々は、 里地の保全(農地の耕作維持)のためには鳥獣害対策が必要かつ優先事項であり、柵が充分に機能するために、補強・ 補完と周辺の山林整備が急務であることを話されました。柵の設置は獣害の対象療法といわれるかもしれませんが、どこかで獣害と耕作放棄・ 山林荒廃の悪循環をとめなければ、「里地里山の保全」どころではありません。それが地元の実情です。

当日は二班に分かれて下記の作業を行いました。
○1班 ハ沢第1地区:位置図に示したの広域獣害防止柵の秦野市側幅6m×300m、松田町側約50cmの整備(刈り払い、伐採い、枝打ち、 倒木処理)、柵の補強作業

作業前の様子  DSCN2630
作業前は、写真のようなヤブでした。木は、広葉樹と植林された杉が混じっており、その大木の間を常緑の潅木(かんぼく)やツル、 ササ類などが生い茂ってとても中に入れる状態ではありません。ここを、刈払い機を持った、熟練した地元の方とボランティアの方が刈り進め、 機械をもっていない人が脇に片付けていくという作業を行いました。途中、直径10センチ程度の樹木は間伐しました。 始めるとみるみるうちに作業が進み、片付ける人手が足りないほどでした。11時半頃には、草刈り作業はほぼ終了しました。

刈り払い、伐採、倒木処理をこなすDSCN2680
DSCN2667

 

 

 

柵は尾根沿いにあり、到達目標地点はこの丘陵の最頂部にあたるところです。その付近には、 大径木の倒木や枯木、 大きな杉の枯枝がたくさん転がっており、その上をツル植物や草が覆っているという状況でした。 手前から少しづつそれらをよけ、 倒木はチェーンソーで玉切りし、転がしながら脇によけていきます。大木を転がすのはとても危険で、 声をかけあいながら行いました。

作業後(倒木処理完了)   作業後 (幅6m×300mの整備完了)DSCN2684
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お昼をはさみ作業を続け、ようやく片付きました。作業前とは全く様相が異なります。 これくらいに管理していれば、 鹿は柵を越えてまで里に入ってくることはないでしょう。6m×300mを刈ったところは、 散策路になるほどきれいになりました。 あらためて見直してみると、大木となったクヌギの木が多く、イヌシデ、 ミズキなどが混じっています。

作業の途中、この開けた空間を、美しいアサギマダラが優雅に舞いました。ほんの少しの空間ですが、鹿柵の機能充実だけでなく、 かつての秦野の里山らしい空間が開けたのではないかと思います。途中小雨が降りましたが、作業には殆ど支障なく、 予定通り終えることができました。
終了後、公民館にもどり、秦野市職員が準備してくれた豚汁をいただき、互いの労をねぎらいました。

 

○2班 ハ沢第2地区:約175mの柵の設置、設置範囲の刈払いと枝打ち

こちらは、広域獣害防止策の延長設置の作業です。まず設置区の刈払いをしました。下草だけでなく、 ここでは境界線上に植えてある杉が大きくなり、その下枝に藤ツルがからみついて大変なことになっています・・。 まずこれらを落とし、柵を設置できる空間をつくりました。 

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森林組合連合会の指導のもと、柵をはります。柱をたて、 上下2枚の柵をはって間を占めてつなぎ合わせます。途中に農地もありました。 ネットで獣害防止をしているようでした。

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最後に柵周辺の藪やツルを除去して終了。ご苦労さまでした。

 

■ボランティアとの協働 
地元の方は、活動を進めるにはボランティアの力が必要ではあるが、あくまで自分たちが主体的にやらねばならない、とのことで、 この対策は切実で真剣なものです。このように主 体的に動き出した地元の方々に、協 力な助っ人がボランティアとして駆けつけてくれました。 市内の保全団体から1名、個人参加1名と、「神奈川育林隊」から14名です。神奈川育林隊は森林組合に指導をうけた人で構成されており、 県内の固定フィールドで活動しているグループで、現在3グループ(各20人程度)があるそうです。今回、 ボランティアの力はとても大きなものでした。
このような主体的に動く地元住民と、信頼できる活動をしてくれるボランティア。今後保 全整備を 進める上で、 このような協働が必要不可欠になってくると思います。

■今後は・・
今回目標とした個所の周辺整備と柵補完・補強は、おおむね完了しました。
しかし実際に耕作放棄の防止や農地の保全活用、それによる里地里山の保全につなげるには、整備を継続して検証しなければなりません。 一度整備すれば、翌年からの整備は比較的軽減しますが、それでも継続が必要でありそのためには人手と経費が必要となります。 今回のような協働体制の仕組みの確立ととそれによる整備の継続が、今後の課題です。

■里地里山保全推進のため 、上地区独自の体制づくり
上地区では、里地里山保全を進めるために、新たな組織「 (仮)里地里山保全再生モデル事業運営協議会」を設立しました。これは3つの部会 (里 山・竹林部会、生き物の里部会、鳥獣対策部会)から構成しています。上地区では9月初に組織の立上げ総会を行い、 今後の取り組みについて全地区住民への周知をはかることにより、一部の有志にとどまらず地区一丸となって取組む体制づくりを行っています。 このような体制づくりによって、活動に参加・協力する住民も増え、役割分担ができ、継続しやすくなります。今回の八沢の作業は、 鳥獣対策部会が主となって行いました。柳川での活動は生き物の里部会、11月26日の竹林整備は里山・竹林部会が中心です。 市民のみなさんもふるってご参加ください。上地区にきたことがない方は是非おいでください。秦野のあらたな魅力に気づくはずです。

2005年11月02日 [レポート]

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