田舎に泊まって里山体験 桜の植樹と散策路整備
日 時 11月25日(土)9:00 ~ 26日(日)12:00
場 所 秦野市菩提 不動の滝周辺
参加者 125人
地元53人(菩提滝の沢保存会、菩提生産森林組合、食生活改善推進委員会、菩提財産区)
市民ボランティア56人(宿泊22、養成研修19、他15)
北中学校8人、秦野市長および秦野市ほか8人
不動の滝とその周辺の滝の沢地区は、全国名水100選に選ばれた秦野湧水 の水源である丹沢山麓の景勝地であり、沢登りの名所として、
また信仰の滝として知られています。この一帯を、春には桜に彩られる美しい景観でハイカーや市民に親しまれる里山とし、
その歴史文化とともに継承するため、10月の下刈り作業に続き、桜の植樹を行いました。
また、来春新装オープンする「くずは青少年野外センター」を拠点とした宿泊型の里山保全活動の試行として、上記作業に加え、
地元とボランティアの交流、郷土料理、秦野の里地里山めぐり、木工作などを織り込んだ1泊2日のプログラムを行いました。
内 容
◆◆25日 桜の植樹と散策路整備◆◆
はじめに菩提滝の沢保存会会長と秦野市長より挨拶があり、記念植樹と看板設置を行ないました。
(会長)不動の滝は地域の信仰の中心となってきた場所。「男坂」「女坂」と呼ばれる二つの坂道があるが、「男坂」
は長く通れない状態となっていた。そこを復元しようと、まず下刈り作業を実施し、今回桜を植樹することになった。
吉野のような桜の名所にしたい。
(市長)秦野市では今、里山を蘇らせようと市民一丸になって取り組んでいる。
神奈川県の水源環境保全税の3分の1が秦野に投入されることが約束された。これを活用し、1年40ha、
5年で200haの里山再生を目指す。全体では1150haの里山があるので50年で整備し50年で育てる、
100年の森づくりに取り組みたい。また平成22年には神奈川県で全国植樹祭が行われるが、その開催地をぜひ秦野市に招致し、
山を愛する秦野としてアピールしたい。
続いて作業説明があり、ボランティア2~3人に地元指導者1人の組をつくり、苗木と道具をもって山に登り作業を行いました。山桜50本、
ソメイヨシノ50本、八重桜50本の計150本を植樹しました。
作業は、30cm以上の穴をスコップ・唐鍬で掘って苗木を植え、鹿よけのネットをまき、添え木(竹)を立ててシュロ縄で固定します。
1組が約5本づつ、分散して作業を進めました。10月の作業でおよその植樹箇所の目印はつけていましたが、
みなさん桜の咲く情景を思い浮かべ、見映えのする箇所を相談し、また活着しやすそうな場所を選びながら、慎重に作業を行っていました。
中には急斜面で足場の悪い所もありましたが、地元の方々の指導のもと、無事に作業を行うことができましたた。作業合間の会話を通して、
ボランティアと地区住民との交流も自然と深まったようです。
苗木を背負って上がる 急斜面での植樹作業
地元北中学校からも、校長先生と生徒7人が参加しました。生徒たちは鍬の使い方などを教わりながら協力して植樹し、
「こんなに苦労して植えたんだから、花が咲くころになったら絶対にまた来よう」などと話し、とても楽しそうでした。
地元に住んでいても来たことがない生徒が殆どで、作業のあと滝の沢保存会の方と一緒に滝を見に行き、不動の滝のいわれなどを教えてもらい、
子どもたちが地元の文化に触れる機会となりました。
植樹作業をする中学生「花が咲く頃、絶対また来よう」
不動の滝を訪れ滝の沢不動尊について話を聞く中学生
植樹作業は順調に進み午前中で終了。
午後は、作業箇所の点検と、散策路入り口周辺の整備作業を行いました。入り口周辺の道沿い斜面は未着手だったため、
道に張り出した木などを間伐し、引き下ろして枝をはらい焼却し、その後、桜を植樹しました。
◆◆25日 交流会(場所:菩提会館)◆◆
交流会では、元北財産区議長で市史編纂委員を務め菩提の郷土史もまとめた三嶽敏雄さんから、昔の里山の暮らしについて伺いました。
「秦野では皆タバコで暮らしを立てており、タバコ栽培に伴って里山が管理されてきた。今、タバコ栽培は行っていないのだから、
里山を守ることは秦野を守ることだ。皆さんの力をかりて秦野の里山をよみがえらせたい」とのお話でした。
食事は、地元菩提の方々がつくった素材をふんだんに使った郷土料理で、杵つき餅、手打ちアシナガキノコそば、猪鍋、
手作りコンニャクなどのご馳走が並びました。食生活改善推進団体の柏木紀子さんから紹介してもらい、味わいながら交流を深めました。
「昔の里山の暮らし」三嶽さん 話を聞く参加者
料理の説明をする柏木さん 地場産素材たっぷりの郷土料理
秦野市長もおいでになりご挨拶いただきました。その後、全員が一言づつ自己紹介と感想を発表しました。参加者からは「今横浜に住んでいるが、
生まれ育った秦野で活動に参加し、貢献したい」「銀行員をしているが秦野で農園をかりて毎週のように自然の中でリフレッシュしている」
「大学で環境関係の活動をしているが、実際に汗を流し、地元の方とも交流できる今回の活動は新鮮」「地元密着型でよい企画だ」
「次世代につなげる活動をするとよい」などの感想が聞かれました。
参加者も全員一言づつ 地元の方が見せて下さったタバコの種 ケシの実より小さい!
最後に、滝の沢保存会古谷会長より「はだの里山保全再生団体等連絡協議会」発足についてお知らせがありました。当協議会は、
市内の活動団体が連携して里地里山の保全再生を推進していくため、平成18年11月18日に正式に発足、
保存会会長でもある古谷角造氏が協議会会長に就任しました。古谷氏からは、「23団体で立ち上げたが、今後会員団体をもっと増やして、
多くの人々の参加により、市内の里山再生をいち早く進めていきたい。毎年活動スケジュールを組んで情報を流すので、
今後もぜひ参加してほしい」との話がありました。
宴たけなわの中で中締めを迎えたが、夜遅くまで語り合う参加者もありました。
◆◆26日 秦野の里地里山めぐり◆◆
26日は、とろろご飯など郷土料理の朝食を頂いたあと、楽しい催しとお土産付きの盛りだくさんの内容で秦野の里地里山を満喫しました。
今回は「くずは青少年野外センター」活用プログラムの試行でもあり、前日の整備作業に加えて、
秦野の良さを参加者に味わってもらうための様々な企画が盛り込まれた。至れり尽くせりの内容で参加者らはたいへん満足していたようです。
声としては、交流会を行った菩提会館でお祭りの写真を見て、地元の祭りとタイアップした活動があってもいい、との感想も聞かれました。
○朝食
とろろごはん、きんぴら、三色なます、豆腐となめこの味噌汁、漬物
○葛葉の泉
秦野の湧水の一つで、菩提地区にある「葛葉の泉」を見学。水をくみやすいように整備されており近隣にも有名で、
着いたときには水をくみに来た人々とタンクの列ができていました。行列の合間に水を飲ませてもらい、
隣の沢の流れと周囲の紅葉を楽しみました。
○くずは青少年野外センター
秦野市営の施設で、青少年の野外活動と里地里山保全活動の拠点として来春オープン予定の施設。改築途中であるが、
ほぼ完成した建物の内部を見学しました。
特徴は、神奈川県産材を利用した木造建築という点で、床・壁・天井・柱と殆ど全て木造で、入るととてもよい木の香りがします。
付近から切り出した秦野産材も多く用いているそうです。床は柔らかい杉材の表面を圧縮加工して補強したり、
柱は板を張り合わせる工法を用いるなど、木材を無駄なく使う工夫がこらしてあります。活動棟には大ホール、調理室、シャワールーム、
浴室などがあり、研修棟の宿泊収容人数は140人。クーラーはなく、山からの自然の涼風を取り入れる構造になっています。
暖房にはチップボイラーを導入し、間伐材などを燃やしてバイオマスエネルギーを活用する。水も山の湧水から引き込んでおり、
周囲の自然環境になじむ設計となっています。キャンプ場には、雨天時も困らぬよう100人が入れる東屋「八角の館」、炊事棟、
上履きで上がるトイレ・シャワー棟などがあります。
○木工作、丸太切り(場所 里山ふれあいセンター)
木工作では各自ティッシュボックスを作成しました。材は切り揃えられており、釘を打って組み立てる作業でしたが、
思いのほか釘が曲がって苦戦する人も。かなづちの二つの面の使い分けを教えてもらい、初めて知った参加者も多かったようです。
丸太切りは男女別で競争し、タイムを計られるので結構本気。男性のトップは8秒と信じられない速さでした。
男女各1位には椎茸の原木がプレゼントされました。
一生懸命ティッシュボックス製作中
丸太切り競争 男性トップは8秒! 女子大生も頑張りました
○サツマイモ堀り
最後に、丹沢の山並みの見える畑でサツマイモ堀りを行いました。芋ほりはなぜか大人になっても楽しいもので、
どの参加者も掘り出す芋の大きさに一喜一憂。掘った芋は持ち帰ることができ、袋にいっぱいの芋を抱えた参加者もありました。
○お土産、鶴巻温泉弘法の里湯
帰りにはたくさんのお土産が配られました。秦野産の、みかん、お茶、竹炭、竹酢液、木の鍋敷き、
各自が掘ったサツマイモと作ったティッシュボックス。さらに鶴巻温泉「弘法の里湯」の入浴券。温泉で汗を流し、さっぱりとして解散しました。
盛りだくさんのお土産
2006年11月30日 [レポート]