鳥獣・ヤマビル対策としての里山整備(北地区羽根)平成18年9月22日

 

 

日 時:平成18年9月22日(金) 9:00~12:00

参加者:菩提・羽根・戸川三屋生産森林組合、菩提滝の沢保存会、横野造林組合、 秦野森林組合、北地 区農業生産組合、秦野市、その他 19人

場 所:秦野市北地区羽根

内 容

里山整備の阻害要因となっているヤマビルは、落ち葉の下などの湿った環境や20度位の温度を好むた め、(株) 環境文化創造研究所の指導の元に平成17年9月に広葉樹林でヤマビル生息状況を調査した後、12月に下刈り、 平成18年1月に落ち葉かき等の里山整備をし、ヤマビル減少効果の検証を続けてきました。その結果、 平成18年6月の生息数再調査では、明らかな頭数の減少が見られました。

今回は環境整備を行った3つの検証区域の整備1年後の生息数調査を行い、 環境整備によるヤマビル防除効果を検証しました。

 

・検証区域(別図参照)

3.4ヘクタールをA~Dの4つの区画にわけ、それそれ下の①②の検証区域、 比較検証のための③ヤマビル撲滅試験圃場を設ける。

①すべて落ち葉かきを実施し搬出する場所(落ち葉かき区)

②落ち葉かきを実施しない場所(対照区)

③ヤマビル撲滅試験圃場を設ける。(シカ柵区)

ヤマビル対策施行区図

 

調査方法は前回と同じで、 ヤマビルを誘引し捕獲する方法です。ポイントを82箇所設置し、ポイントごとに約3平方メートルの区画内で、 地面に振動をくわえ呼気を吹き、出てくるヤマビルを採取します(一箇所およそ5分間)。

調査調査2

 

出没したヤマビルはピンセットで捕獲してアルコール入り (濃度60%)の試験管の中に直接入れ、試験簡易は地点ポイントを記載して持ち帰ります。持ち帰ったヤマビルは環境文化創造研究所で預かり、 全てのヤマビルの重量測定・DNA分析などを行い、どんな状態のヤマビルがそのポイントにいたのかなどの詳細を調べます。

捕獲分

 

○調査結果

 

17年調査

18年

1回目調査

18年

2回目調査

総出現頭数

697頭

149頭

262頭

ポイント毎

平均出現数

8.5頭

1.81頭

3.19頭

 

前回調査時よりもヤマビル出現頭数が増えてしまっていますが、 捕獲されたヤマビルの殆どがまだ幼齢期(体長0.8ミリ後) であったことから、6・7月ごろに吸血したヤマビルの子どもだという事がわかります。

幼齢期

成齢期のヤマビルの捕獲数が減ったということは、 やはり環境整備のヤマビルへの影響は大きいと考えられます。しかし、環境整備が不十分であったところは成齢期ヤマビルの捕獲もありました。 環境整備の影響は1年経つとその結果が如実に現れてくるので、しっかり整備された箇所とそうでない箇所の差が出てきてしまいます。 今後も調査や整備ボランティアを通して、継続的なしっかりとした環境整備を行っていきたいと思います。

前回の調査で好成績を出したヤマビル撲滅試験圃場では、 残念ながら鹿柵が鹿 (及びハクビシン)に破られてしまっており、鹿柵内に侵入を許してしまっていました。鹿柵内には、動物のぬた場のような箇所ができており、 その付近で多くのヤマビルが捕獲されました。

ぬたば

鹿柵内で捕獲された44匹のヤマビルは他の箇所と違い、ほとんどが成齢期であったことから、(2~3年生)、 外部から新たに持ち込まれたものだと分かります。しかし、逆を返せば幼齢期のヤマビルがほとんど捕獲されていないということは、 鹿柵はヤマビル防除にとても有効だということです。鹿柵を1年壊れずに保つのは非常に大変ですが、 里山整備と併せて継続していきたいと思います。

 

2006年10月04日 [レポート]

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