|
(財)イオングループ環境財団の里山保全事業
第10回「緑の三富再発見!」
埼玉県西部の所沢市、三芳町、川越市、狭山市の雑木林
平成13年2月17日(土)を中心日
首都・東京から30km圏に位置する埼玉県西部の「三富新田」。首都圏に位置する地域で、これほどまでに、色濃く木々の緑が残っているのは、この地以外にありません。
昔は、農村生活や農業に欠かせなかったこの緑が、今や農業だけでなく、首都圏で暮らすすべての人々や動物たちにとっても、欠かすことのできない自然環境になっています。しかし近年、この緑も工場・住宅・廃棄物処理場などにかわったり、ゴミ捨て場の代わりになっていったりして、少なくなっています。
今ある三富の緑を守っていくことが、ここで暮らす動物や、新世紀を担う子どもたちにも必要ではないか、そして、私たちの食と農と環境を守るためにも、不可欠なことなのではないか。そういった強い“思い”を持ち、三富とその周辺で緑の保全を願うすべての人々が一堂に集まることが大切と考えました。
第10回目のイオングループ里山保全活動は、「三富」の保全活動の輪を地域へ広げるために、「緑の三富再発見」実行委員会の設立を呼びかけ、参加いただいた団体が、お互いにそれぞれの活動に参加し、地図づくりワークショップで各団体の情報を共有する取り組みを行いました。今回の保全活動は、「緑の三富再発見!」実行委員会加盟団体の2月の活動の中で、それぞれ取り組みが行われました。今回組織された「緑の三富再発見!」実行委員会は、今後も継続的に、本当の意味での「里地・里山の保全と持続可能な社会とづくり」に向けて、様々な取り組みを検討がされていくことになっています。
|
三富新田とは
埼玉県西部の三芳町・所沢市、川越市、狭山市ににまたがる武蔵野台地上に拡がる地域を、三富新田(上富・中富・下富)地域と呼んでいます。
三富地域は、江戸時代の新田開発期につくられた農村で、その地割は農家・農地・やま(平地林)の3つに区切られ、農家1戸の敷地(約5ha)は短冊状になっています(図)。
現在、一部は関越自動車道によって分断されていますが、短冊状の地割りはいまも見ることができます。
参考文献:犬井正著『人と緑の文化誌』三芳町教育委員会(1993) |
|
緑の三富再発見!
あそぼう・食べよう・守ろう
日時:平成13年2月17日午前
場所:くぬぎ山
内容:「オオタカが棲息するくぬぎ山、雑木林のゴミ拾い、林床整備、雑木林内の自然観察」
ドラム缶窯でピザ、竹の棒でバウムクーヘンに挑戦!地元野菜で美味しい豚汁!
案内:おおたかの森トラスト、獨協大学経済地理学研究室
相続などが生じ農家が手放したヤマは、利用されないで放置され荒れていていたり、ラブホテル、霊園、資材置き場、産業廃棄物処理場などになっていることが多いのです。道路から少し入った所にあり、ヤマで隠されていてあまり目立ちませんが、人通りの少ない荒れたヤマは、防犯・防火上の問題だけでなく、不用の土石類や廃材、粗大ゴミ、危険物等をトラック等で不法に捨てにくる者が増加するなど環境保全上の問題も深刻化しています。
このような状況の中、おおたかの森トラストでは、定期的にゴミ拾いを行っています。定期的に行われているくぬぎ山でのゴミ拾いから見えてくるものを探りました。
集合場所の「くぬぎ山」バス停に集った人約80名。緑の三富再発見実行委員会を組織している団体のメンバーのほか、近隣の市町村から一般の人の参加が得られました。
参加者を10グループほどに分け、用意されたくぬぎ山周辺のルートマップを頼りに、グループ単位でのゴミ拾いの始まりです。
くぬぎ山周辺のヤマは、所沢市、狭山市、川越市、三芳町と4つもの市町が入り組んでいます。それぞれゴミの分別収集の仕方が異なります。今回のゴミ収集は複数の自治体にお願いすることになっているので、どこにでも対応できるように、以下の3つにわけました。
●燃えるゴミ=紙類
●燃やせないゴミ=塩化ビニルが含まれていそうなもの、燃えないもの
●資源ゴミ=缶・ビン類
拾ったゴミが袋いっぱいになると、ゴミ収集車が入れる所まで運びまとめて置き、地図にその場所を記入して行きます。
空き缶・ビンを始め、建設廃材、家電製品、雑誌が大量にやぶかれて捨てられていたり、剪定した大量の枝、趣味や仕事道具の類まで様々なものが不法投棄されています。2時間ほどのゴミ拾いでしたが、用意した数百枚のゴミ袋が、ゴミでいっぱいになっていきました。
おおたかの森トラストの方々の話によると、不法投棄されたゴミを放置したままにしておくと、さらに次から次へとゴミが投棄されていくそうです。イタチゴッコのようなところもありますが、定期的にゴミ拾いをしていくことで、ヤマの所有者の方々から信頼されるようになり、ヤマの保全活動をするための林を貸してもらえるようになりつつあるそうです。ヤマの保全活動を広げていく上で、ヤマのゴミ拾いは重要な活動となっています。
昼食は、おおたかの森トラストの活動拠点で地元農家産のにんじん、里芋などの野菜をたっぷり利用した豚汁。そして獨協大学経済地理学研究室の学生によるドラム缶釜でのピザ焼きと竹を利用したバウムクーヘン作りが行われました。ここで使われる薪や竹は、おおたかの森トラストのヤマの手入れ活動の中で伐られてきたものです。
ピザは、生地の上にピザソースを塗り、ピーマン、たまねぎ、サラミ、チーズを載せ、釜の中へ入れて、待つこと10分ほど。とろっととけたチーズが載った、カリカリ・ピザのできあがりです。
バウムクーヘンは、ホットケーキミックスを牛乳で溶いた生地を3人がかりで焼き上げていきます。2人がそれぞれ竹の両端を持ち、ゆっくりとまわしていきます。残る1人は回っている竹の上に少しずつ生地を垂らしていきます。まわしていくスピード、垂らしていく生地の量、薪の火加減のバランスをとるのが難しい。均等に膨れて行くことはなく、見るからに不恰好です。まわりからは、もっと早くまわせ、いやもっと遅くたらせ、火が弱い、などと茶々が入ります。そんな不恰好なバウムクーヘンを見て「こりゃ、バウム・食えへん、だな」と指導教授からの野次が飛び交うなど、一生懸命焼いている学生は大変でしたが、なごやかな雰囲気の中、森の中での活動を楽しむことができました。
ふだん環境保全活動などに興味を抱いていない人でも、ヤマに集い、あそんで、たべてということを楽しむことから、ヤマの仕組みを学び、そこから興味をもって活動への参加へ導くために、さまざまなアイデアが実践されることが大切であることを学びました。
|
|
|
|