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(財)イオングループ環境財団の里山保全事業
第6回「里地たんけん学校」
−里山の智恵と技を学ぶ総合的な学習−
山形県最上郡最上町大字満沢
平成12年7月22、23日(土・日)
夏休みの不思議な授業
夏休みに入ったばかりの7月22日(土)〜23日(日)、山形県最上郡最上町中満沢の満沢小学校周辺を舞台に、里地たんけん学校がありました。
今回の活動の主役は子どもたち。子どもたちが地元学を体験しました。
今、学校では、総合的な学習の時間がはじまろうとしていて、国語や算数、理科などの教科にとらわれず、地域や環境などの学習を行うことになっています。
里地たんけん学校は、学校と子どもたち、地域と親や大人たちが、自分たちが住んでいる里地・里山を歩き、触れ、食べ、遊び、語り合いながら、生活文化を学び、伝えていくために行われました。
このプログラムは、そのまま総合的な学習にやくだてることができます。そして、子どもからおとしよりまでみんなが参加して、自分たちの地域にくわしくなることができます。みんながくわしくなりながら、人のつながりができて、いつまでも自然が豊かで、楽しく暮らせる地域づくりができるきっかけになると思います。
ぼくらは里地たんけん隊
里地たんけん学校に参加した子どもたちは15人。満沢小学校の校長先生や教頭先生をはじめ満沢の大人の人や里地ネットワークのスタッフ、取材陣を入れた大人達が50人ほどいます。
子どもたちは、満沢小の「みつざわ」から「み」組、「つ」組、「ざ」組、「わ」組の4つの班に分かれ、そこにそれぞれ2〜3人の大人がくわわりました。
斎藤正校長先生からお話しを聞いたあと、さっそく色鉛筆と地図が各班にわたされます。
「川や水が流れているところを色鉛筆でなぞってください」
「田んぼや畑、自然の森なども色鉛筆でぬっていってください」
と言われて、それぞれの地図が広げられ、みんなが手を伸ばして色をぬりはじめます。
大人が、「ここ川だよね」と言うと、子ども隊員が「ちがうよ、家がここで、学校がこっち。だから、ここは川じゃないよ」と、大人も子どもも自分たちが毎日歩いている場所を思い出しながら、地図に水の流れなどを書いていきます。
地元学で基本になる「水のゆくえ」「水の経路図」をつくるための作業です。
思い出せるところの色分けができたところで、いよいよ外に出発です。
お父さんも昔は子どもだった
最上町の満沢地区は、山あいに田畑が広がる美しい里地です。
あちこちに水が湧き、川に注いでいます。車が通る舗装された道のわきからも水が湧いています。水が湧いているお家では、自分の家で使うだけでなく、道のわきにホースや大きなバケツ、ひしゃくやコップをおいて通りすがりの人が水を飲んだり、ちょっとした洗いものもできるようにしています。
冷たくておいしい水です。
さらに、満沢小がある最上町にはあちこちに温泉が湧いています。
満沢小学校の近くにも温泉が湧いていて、そのお湯をひいている場所は「ゆざ」と呼ばれています。ぬるいお湯ですが、洗濯や大根などの野菜洗いなどに使われています。
さて、外に出た里地たんけん隊は、作ったばかりの地図と資源カード、カメラを持って、道を歩き、田んぼのわき道をどんどん山の方へ上っていきました。
たどりついたのは、満沢にたくさんある水源のひとつです。
ちょろちょろと冷たくてきれいな水が湧いてきて小さな泉になっていました。
泉は透き通っていて、とてもきれいです。
ここで4つの班は地図を取り出し、自分たちの場所を確認してから、班ごとに分かれ、「あるもの探し」をはじめました。
さきほどの「水の経路図」地図と資源カードに、自分たちがみつけたもの、気が付いたこと、教わったこと、びっくりしたこと、知っていること、分からないこと、知らないものを書きとめて、写真をとっていきます。
知っていることは、どんどん書いていきます。知らないことは、あとからいろんな人に聞くことにします。
水が湧いているところには、ワナがしかけてありました。校長先生が足で「あぶないから」とよけようとしたら、ワナがとじて足がはさまれそうになりました。「つかまるところだった」と、校長先生もびっくりしています。
ワラビが生えていたり、お米を作らなくなった減反の田んぼがあって、草ぼうぼうになっていたり、山道にとつぜん子ウサギが姿を見せたので、みんなで追いかけて、素手でつかまえて、やわらかい毛並みをさわったりしました。
校長先生は、いろんな植物の名前を知っていて、とっても苦いヒキオコシという草や、薬になる草などを教えてくれました。教頭先生は、植物図鑑を片手にいろんな植物を見ては、「図鑑の写真と同じ」と喜んでいましたが、ワラビを見つけたら、とたんにワラビ取りに夢中になっていました。
川のたもとでは、ナワシロイチゴが赤い実をつけていて、食べると甘酸っぱくておいしかったです。
たんけん隊についてきていたお父さんは、川にじゃぶじゃぶと入って、魚のつかまえ方や、川のいきもの、遊び方を教えてくれました。
「お父さんが子どものころ、ここで、こうやって遊んだんだ」って、いつものお父さんとちがって、子どものように楽しそうでした。
へとへとになって戻ってきたら、お母さんたちやおばあさんたち、残っていたおじさんたちがたくさんそうめんをゆでて待っていてくれました。
満沢の冷たいわき水で冷やしたそうめんはとってもおいしかったです。
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