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里地事務局長 竹田純一執筆原稿: 継承されてきたモノやコトのエッセイ(3)
暮らしを伝える道具たち
「はさがけ」

NEWS森づくりフォーラム 2002/9/15 巻頭エッセイ
暮らしを伝える道具たち「はさがけ」稲架掛
縦軸と横軸、地域で異なる素材と構造
里地ネットワーク事務局長 竹田純一

 
       
1段、2段…9段目まであがると青い海が見える。子どもたちの大切な遊び場だ。一度登るとなかなか降りてこない。途中まで降りて、また、登ってゆく。どうやら、じゃんけんで陣地取りの遊びをやっているようだ。このジャングルジムは、もちろん、稲をかける道具だ。しかし、ちょっとやそっとのことでは壊れそうにない。一度設けると10年はゆうに解体も補修もせずに使いそうな雰囲気だ。縦軸には、地面と接しても腐りにくく粘りがある栗の木。横軸は、まっすぐで細長い杉の木が使われている。この稲架(はさ)の柱は、隣の巨木にがっちり固定されているから、子どもたちが遊んでもへいちゃらだ。同じ地区の集落の中では、興味深い杉の木が並んで立っていた。海に近いから防風林や砂防林だろうと思って、集落のおじいさんに聞いてみると、干しものをするために、一間半おきに先代が植えた杉だという。直径が十数センチの時には、真竹を横軸に渡し、二十センチを超えてからは、十センチ程の杉を横軸に渡せば、維持管理が楽だからといっていた。なるほど、集落の中は干す場所も、稲架を立てる場所も限られているから、屋敷林のように植えたとは、なかなかの智恵者だったようだ。 事務局長竹田純一のプロフィールは、こちらへ
       
この稲架、本当に稲を掛けるためのものなのだろうか。1年を通じて眺めていると、大豆、大根、柿、海草…、と一年中何やら干してある。ここは、どうやら干す文化がとても健在なようだ。梅を乾す、トビ魚を開いて乾す、エゴ(海草)を乾す、イカを干す。ところが佐渡ではアジだけは干さない。干してもアジは長期に保存できないからか、それともアジの開きよりも美味しいものがありすぎて干さないのか、この点は良くわからない。佐渡の人に聞いてもアジの開きはたべんちゃ。で終わってしまう。  
       
各地の稲架掛を見ると、東北地方に多いのが棒掛(ぼうがけ)。多いといっても、風が強く雨量が少ない地域でないと、一本の棒を田んぼに立てて、下のほうから順番に円状に重ねてゆく掛け方のために重なりが多く穂は乾いてくれない。この棒は、風に耐えて数百の稲を干すわけだから粘りが強い材でなければ耐えられない。逆に風が弱い地域では、ごく一般的な稲架掛が用いられている。地方によっては、牛といったり馬といったりする言い方もあるようだが、両側が3本の杭、半ばは2本の杭に真竹を渡すのが一般的だろうか。  
       
この稲架掛、刈り取った稲に含まれている余分な水分を天日に干して乾燥させる作業だが、コンバインや乾燥機が普及したことでめっきり減りつつある。でも、おいしくて、味覚が落ちず長持ちする米は、やっぱり、はさがけ米だろう。高くても、棚田米やはさがけ米、みんなで育てて食べてほしい。佐渡の棚田の秘蔵の米や乾しシイタケ、希望者はご連絡をお待ちしています。  
       
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