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里地事務局長 竹田純一執筆原稿: 継承されてきたモノやコトのエッセイ(2)
暮らしを伝える道具たち
「ふいご」

NEWS森づくりフォーラム 2002/8/15 巻頭エッセイ
暮らしを伝える道具たち「ふいご」
里地ネットワーク事務局長 竹田純一

 
       
今年の冬、長野県の森林ボランティアリーダーたちと、四賀村の森と人との関わりを調べる調査を行っなったときの話。木炭や鋸などの道具と密接な関係のある仕事の一つ、鍛冶屋を調べようと言うことになり、先代が鍛冶屋だったという鉄骨屋のご主人が、大切に保管していた道具を見せてもらった。細長い箱で、片側に柄が出ていて、側面の底近くに穴があいている。柄の先の板には、ウサギの皮が貼ってあり、柄を押したり引いたりすると、風があんばい良く均等に側面底部の穴から出てくる。何だこれ? 押しても引いても風が出てくるね! 参加者は、ウサギの皮のパッキンでこんなことができるのかと口をあけて驚いていた。板材は、この村に豊富にある赤松。松茸が有名なこの村には、ウサギと赤松はどこにでもあった。柄は粘りのある栗の木のようだった。この道具のことがえらく気になって、ちょっと道具の歴史を調べてみた。 事務局長竹田純一のプロフィールは、こちらへ
       
ふいご(鞴)とは

鍛冶屋が火を起こすために使う手動送風機のこと。 ふきさしふいご(吹差吹子)、はこふいご(箱吹子)とも呼ぶらしい。鍛冶道具として使われている代表的な送風機と記されている。図のように気密性の高い箱構造で、特に箱底部に特殊な工夫を加えて、風の分配を均等にし、柄を押しても引いても常に風が送り続けられる構造になっている。このふいごは、鎌倉時代にはあったようで、大きなノコがつくられて、平らな板が引けるようになった15世紀以降急速に普及したらしい。
 
       
ふいごの話

鍛冶屋には、ふいごが必ずある。というのも、相当な高温にしないと、鉄を打つことはできないためだ。ふいごの発達は、鍛冶屋だけでなく、たたらの炉が改良されていくことで、金属加工技術が進歩し、この過程で風を装置としてのふいごも発達していったようだ。『もののけ姫』のたたら製鉄所で、女たちが踏んでいた「踏みふいご」も、たたらの重要な送風機だった。初期の鍛冶屋さんは、「ふいご」と炉、ハンマーと火箸があれば開業できた。それほど貴重だったという言い方もある。中世にまでさかのぼれるふいごの歴史、しかし、つい先日、長野県の四賀村で、数十年前まで、親父が使っていたと聞くと、長い時間軸を超えて継承されてきた技術の深みを感じる。
 
       
ふいご祭り(衣川製鎖工業のHPより)
「昔、11月8日の出来事。ある鍛冶屋に客が来たので仕事を終え、酒を飲んでいました。その時、逃亡者らしい者が逃げ込んできて、かくまってほしいと言う。それで吹子の中へかくしその上に神酒、燈明、食べ物、それにしめ縄を張り礼拝しているふりをしました。すると逃亡者を出せ、と追手がやって来ました。家中を探しましたが見つからず、最後に吹子に目をつけ中を見ようとした時、「今日は吹子祭なので明日にしてほしい」と言いってその場を逃れました。そして吹子の中をみると、居るはずの逃亡者がいなくなっていました。その後、その鍛冶屋が繁盛したので、毎年11月8日に吹子の祭りをするようになりました。」
この祭を、ふいご祭り(別名、たたら祭)といい、鍛冶屋が仕事を休み、ふいごを清めて、しめなわを張って、祭壇の新米、新酒、蜜柑、海の幸をお供して(四っ足は不浄とされ嫌)、感謝し繁栄を祈願する祭のようだ。ふいごを使わなくなった現在でも、年に一度の、霜月八日を陰暦の日、又は、新暦の11月8日、12月8日のいずれかに開催されているところがあるという。
あなたの町には、このふいご祭りはありますか? そして、ふいごを現役で使っている鍛冶屋、陳列している鍛冶屋はありませんか? 時代を超えて変わらなかったこの道具をあなたは、どのように活かしますか?
祭りまで、三ヶ月、お時間があったら調べてみてください。
 
       
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