|
■農地と湿地の生物多様性の保全
(宮城県田尻町蕪栗沼)
北上川下流域が氾濫した際の貯水池として機能していた蕪栗沼は、東北地方でも有数のマガンや白鳥の越冬地です。この沼に飛来するマガンを初めとする生物多様性をまるごと保全するために、鳥類の専門家である日本ガンを保護する会の呼びかけにより、沼の干拓計画が中止され、地元農家が理事長を勤めるNPO法人蕪栗ぬまっこくらぶが設立されました。農家と鳥類の専門家、市民が参画した保全活動が積極的に行われています。沼に隣接した農地を、かつての湿地に戻し、周囲の農地では冬に水をはって、マガンや白鳥の餌場をつくる取り組みが、農家によって行われ始めました。このような農業は、手間と時間がかかるため一般的には敬遠されますが、農家自身の生物多様性保全への意識転換と、マガンや白鳥が訪れる田んぼのお米を購入する都市住民の消費行動、そして、農村と都市の新たな交流を通じた新しい新鮮な価値観が生まれ始めています。とはいっても、最初の一歩を歩みだすためには、、大変なエネルギーが必要です。農家の理解、冬に水を張る農業技術、鳥類の専門家と消費者の好買活動など、それぞれの役割が分担できないと活動は始まらないし、また、すぐに終わってしまいます。
|
|
|
|