「風土という言葉があります。大地の表面と大気の底面の接するところ………そこを風土と名づけよう。…そこに大地だけでもなく、大気だけでもなく、第三の存在が生ずる。生物。人類をも生み出した生命。………それは風土の表現型、さしずめ風土計といってよい。………人も、人の食べものも、ともに風土の産物、身土不二。風土を見つめよ、風土を考えよ、風土を活かせ、風土に生きよ。自然に善悪なし、泣かされているものにこそ、活かすべき何かがあると考えよ。………」
「風土という言葉があります。動くものと動かないもの。風と土。人にも風の性と土の性がある。風は遠くから理想を含んでやってくるもの。土はそこにあって生命を生み出し育むもの。君、風性の人ならば、土を求めて吹く風になれ。君、土性の人ならば風を呼びこむ土になれ。土は風の軽さを嗤い、風は土の重さを蔑む。愚かなことだ。愛し合う男と女のように、風は軽く涼やかに。土は重く暖かく。和して文化を生むものを。魂を耕せばカルチャー、土を耕せばアグリカルチャー。理想を求める風性の人、現実に根をはる土性の人、集まって風土の文化を生もうとする。ここに『風土舎』の創立を宣言する」
1990年3月3日 風土舎宣言の抜粋より
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