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こどもたちの里山づくり
第3回「古田里山楽考」
三重県いなべ市藤原町古田
平成16年10月2日(日)


 古田地区は静かで美しい田園風景の中にあり、集落が一丸となって、村の身近な自然と自分たちの生活を維持し伝えていこうと、里地里山の保全に取り組んでいます。
 昭和30年代以降、それまで農家が自然と調和的に行ってきた農業や里山管理の仕組みが、近代化に伴って崩れ、担い手も減っていきました。このような状況を憂えて、古田では集落営農による村づくりに取り組みはじめ、休耕地の請負耕作と、生産した餅米での和菓子作り・販売を行っています。またかつて炭焼き等に活用した里山の再生や休耕地のビオトープ化に取組み、かつての里地里山の生物たちが帰ってくるような、そして自分たちも元気に暮らしていけるような村づくりに励んでいます。



ビオトープ、休耕田に沢水をいれた
身近な生物たちの生息地です
 近年では、地域の豊かな自然を多くの人に楽しんでもらい精神的なものも含めた農村の価値を伝えようと、一年を通して『古田里山楽考』としてグリーンツーリズムを推進しています。農作業や山の管理、里の料理などを体験してもらうことを通じて、都市住民とも連携した手作りの村づくりに励んでいます。
 これら一連の活動を支えているのが、地元の有志で結成した「ほうすけクラブ」です。今回の活動は、『古田里山楽考』の一環として、ほうすけくらぶの主催活動とタイアップして行いました。『単に楽しいだけではなく、作業の意味を伝えながら子どもたちに体験をさせたい』と、作業の前には説明の時間を設け、子どもたちに分かるようにその意味を伝えながら活動を行いました。

稲刈り、脱穀
 「今は田植えから稲刈りまで機械化され、お米が機械から生産されるような感じです。昔ながらの稲刈り体験を通して、汗の中から生まれ、一粒一粒が百姓の努力からつくり出される、その過程の一部を体験してもらいたいと思います。これからの日本の農業を考える糸口が見つかるといいなと思います(ほうすけクラブ)。」一人一人手刈りと脱穀に挑戦し、楽しみながらも、米をつくることの手間や大変さを、少しではありますが体験できました。
稲は鎌で刈って藁で束ねます
しっかり、でもすぐに外せる結び方

足踏み脱穀機で脱穀
結構力がいります


「木の伐採なんて初めて。」
間引きすると山に光がはいります
「森林づくり三重」の皆さんの協力で
間伐が進みました
間伐体験と里山散策 集落近くの里山は、昔炭焼きなどをするためによく通ったといいます。古田ではその道を「古田遊歩道」として整備し、訪れる人々に開放しています。この道を通って林に入り間伐体験をしました。作業場所は現在、針葉樹が植樹されていますが、手入れが出来ない状態が長年続き、木は細く林の中は暗く林床の草もはえていません。このように暗い林になると、降雨時などに表土が流出し、木も山も弱ってしまいます。林床にも光が差すくらいの間伐や枝打ちが必要です。このことを子どもたちにも伝えたうえで、実際に細い木の伐採体験をしました。ヘルメットをかぶっての作業、緊張気味でしたが、貴重な体験になったと思います。また間伐などの手入れを勧めるには、利用することが大事であることから、ここで間伐した材は、植樹の添え木としました。尚、森林ボランティアに2日間きてもらい、間伐を進めました。 帰り道には、休耕田を昔ながらの生き物たちの生息場所にと水を張っているビオトープに立ち寄って生物観察をしました。『ここ30年ほど前から各種の開発や暮らし方の変化によって、生態系にも変化が見られ、昔古田に棲んでいた昆虫や植物等が見られなくなってしまいました。そこで、農薬も使わない自然の場所をつくって、生態系の復活を目指して、それを観察していく場所をつくりました(ほうすけクラブ)』。ビオトープには、山の沢からの流水がはいっています。ほんの数分歩くだけでも、何種類ものトンボやカエルに会うことができました。

ヤマザクラやクヌギの植樹
 この周辺は数年間休耕地となっていて、古田ではここに山桜やクルミ等の苗木を植樹して里山自然公園を作ることを計画しています。今回はその最初の取組みとなりました。川沿いのサクラは川に葉がおちることでカワニナの餌になるといわれており、ホタルの増加も願っておこないました。添え木には、今回間伐した材を用いました。
クヌギやヤマザクラの植樹をしました
炭窯の見学
 『かつて古田の里山は薪炭林として利用されていましたが、生活燃料もガスや石油に変わって今では炭を焼く人がいません。古田地区では、昔の山仕事を伝承し、生活環境に炭のもつ良いところを見直していこう(ほうすけクラブ)』と、平成12年に炭窯を復元し周辺の山の整備をして炭焼きをしています。この炭窯の見学を行いました。中に入って見せてもらえるほどの大きな窯でした。

かつて重要な生業の一つであった炭焼を伝承するため炭窯を復元し周囲の山林を整備して木炭・竹炭を焼いています
大きさの違う輪切りの木の枝は、
工夫次第で様々なものに変身します

竹炭細工・木工細工
 見学した炭窯で焼いた竹炭と、山の木の枝などを用いて工作をしました。今はプラスチックを使ったものが沢山ありますが、身の周りのもので工作をすれば、二つとないものを作ることができます。見本品を見ながら、皆思い思いの工作を楽しみました。


こどもたちの里山づくり − もくじ

1. 新潟県佐渡市/トキの森を育てよう
2. 北海道当別町/生きものたちの森づくり
3. 三重県いなべ市/古田里山楽考
4. 大阪府河南町/里山まるごと体験
5. 愛知県美浜町/木の実の森づくり
6. 広島県安芸区/森の暮らしの体験学校
7. 熊本県宮原町/里地体験と竹林整備
8. 神奈川県城山町/古道の復元とカマドのお鍋作り

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