日 時 2006年11月5日9:00~15:00
場 所 越前市上黒川町 森永ダム
内 容 池干しによる外来魚駆除活動と試食会
主 催 水辺と生き物を守る農家と市民の会
参加者 白山・坂口地区住民、市民ボランティア、越前市、福井県、
福井県海浜自然センター、研究機関
越前市白山・坂口地区は里地里山の希少野生生物の宝庫で、アベサンショウウオをはじめ県レベルで61種もの絶滅危惧種が生息しています。
特に水辺の生き物が豊かで、メダカ、ゲンゴロウ、ハッチョウトンボなどの、今では希少となってしまった身近な生き物が健在です。しかし近年、
ブラックバスやアメリカザリガニなと外来種の驚異がこの地域にも迫ってきています。そこで、在来生物を含む里地里山の生態系を保全するため、
ブラックバス等外来魚の駆除活動を実施しました。
◆なぜブラックバスを駆除するのか
作業に先立ち、
主催者である水辺と生き物を守る農家と市民の会会長の長谷川先生と白山地区区長会長上野さんより本日の挨拶と本日の主旨説明がありました。
続いて、福井県海浜自然センターの児玉さんから、ブラックバスの性質や駆除しなければならない理由について、
福井県自然保護課松村主任から、外来生物法についての説明があり、今回の駆除作業の必要性や位置づけを確認しました。
○オオクチバスについて(福井県海浜自然センター児玉さん)
・バス駆除は、駆除が目的ではなく在来の生物を守ることが目的。
・ブラックバス(オオクチバス)は口が大きく何でも貪欲に食べてしまう。魚、水生昆虫、小鳥も食べることがある。
・卵をたくさん産んで(約16万個産卵)、しかも卵や稚魚を守る習性があるため、大変繁殖力が強 い。
・生長が早く、1kg大きくなるのに約7kgの餌を摂取する。
・駆除方法としては、池干し、人工産卵トラップ、漁、などがある。県内で池干しで捕獲した例では、
全200kg捕獲のうち二匹だけが成魚で他が全部稚魚だった例がある。溜め池から川をつたっての拡散も危惧されている。人工産卵 トラップは、雄が巣(産卵床)を作り、
そこに雌が産卵する習性を利用して、 人工産卵床を作って沈め、産卵後に卵を駆除する方法で、最近全国各地で実施されている。
○外来生物法について(福井県自然保護課松村さん)
・外来生物による生態系の被害が問題になっている。生態系の被害は目に付きにくく調べないと分からない。
・大きなため池ではブラックバスやブルーギル、小さなため池や水路ではアメリカザリガニが問題になっており、
希少野生生物を守るのに大きな驚異になっている。
・この度外来生物法が制定された。法の3原則は「入れない」「捨てない」「拡げない」。例えば、
ブラックバスを釣って家に持ち帰ったら違法になる。釣った場所に戻すかその場で殺さなければならない。
子どもなどが知らぬ間に違法をしてしまう可能性がある。違法には罰金300万円または懲役3年の刑が科せられる。
・ペットとして飼っていたものが大きくなり、殺すのは可愛そうと捨てる人がいるが、
その一匹を生き延びさせたために在来の多くの生き物の命が犠牲になる。外来生物を飼うときは、飼えなくなったら必ず殺す、
という責任の元で飼わなければならない。
・法の対象となるのは、指定された「特定外来生物」だが、
アメリカザリガニなど指定されてない外来種も生態系に驚異となることには変わりはない。
◆駆除作業の様子
森永ダムは、面積が1ha近くもある、白山・坂口地区では大きな溜め池です。数ヶ月前から地元、県、市などが会議を重ねて方法を吟味し、
計画をたててきました。
水抜きは10月下旬から開始し、排水溝からの流出を防ぐため三重に網を張りました。
当日の朝には、水は残り僅かの状態。ただ、水抜き前は目視でも魚影が確認できましたが、
水を抜いてからサギが舞い降りてブラックバスを捕食してくれたために、ときおり水面に波紋が現れる程度でした。
「大物が十数匹しか残ってないのではないか」との予想のもと、当日の作業を開始しました。
作業は、まずポンプで最後の水抜きをし、胴長部隊がサデ網、タモ網、投網でバスを捕獲。捕まえたものをバケツに入れ、 参加者のバケツリレーにより堤防にあげ、水にくぐして泥を落とし、一匹一匹体長と重量を測定しました。 池干しは二十数年ぶりとのことでしたが、湖底は粘土で締めてあるため深みは少なく、 子どもたちも入って泥んこになりながらタモ網を振り回してくれました。
泥をおとす(左写真奥) 体長・重量を計測(右写真) 生簀で保管(左写真手前)
実際にやってみると予想以上に多くの魚が残っており、次々と大小さまざまのブラックバス、大きなコイとギンブナが捕獲されました。
排水溝に流れ込んだものも回収し、最終的に、捕獲された魚の数は下記のようになりました。
バスは稚魚から成魚までいましたがコイとギンブナは大きなものばかりで、それらの稚魚は全くみられませんでした。尚、
コイは地元の人が放したものですが、ギンブナは釣り客が放流したものと考えられるそうです。
ブラックバス 233匹(最大:体長48cm、重量2.4kg、最小:8cm、4g)
コイ 25匹(およそ体長30cm~55cm)
ギンブナ 29匹(およそ体長25cm~35cm)
ドンコ 3匹
捕獲したブラックバスのうち、大ものは改善センターに運んで調理。別のため池で駆除のために捕 獲したアメリカザリガニとともに、フライとなって参加者の胃の中に収まりました。 バスは淡白な白身魚、アメリカザリガニはエビに劣らぬ香ばしさ。うまい!
オオクチバスのフライ アメリカザリガニのフライ
また、池と周りの植物などを観察する森永ダム一週観察会も行なわれ、堤防には白山地区の在来種として、カワムツ、ウグイ、カマツカ、
ドジョウ、ホトケドジョウ、メダカ、マルタニシ、カワニナ、マシジミ等を展示しました。
今後、この溜め池では、釣り客による再放流を防ぐためにバス釣り禁止看板などを設置し、地元住民による監視などと併せて、
外来種による生態系破壊を防ぐ努力を続けていきます。
尚、主催の「水辺と生き物を守る農家と市民の会」は、白山・坂口地区での里地里山保全活動を、
地元の農家が市民と協力しながら継続的に実施するための推進組織として、2006年8月に正式に設立しました。今年は、
この外来魚駆除活動のほか、坂口地区でのため池・ビオトープ造成に取組んでいます。
