越前市西部地域、白山・坂口地区の二次的自然環境の特徴
越前市西部地域は、標高110~500mの丘陵地帯であり、 谷底低地には水田と集落がある。ヒダ状に入り組んだ谷では、 奥からわく湧水を利用して水田が開かれており、 複雑な地形が土地利用に反映されている。 天王川と吉野瀬川の河川の水源となる湧水が無数に丘陵を刻み小さな谷を形成している。 これらの湧水は、水田を潤しつつ合流し、 さらに低地の水田を潤して川へと注ぐ。越前市西部地域一帯は、 日野川の支流である天王川水系と吉野瀬川水系の水源地帯となっている。
(武生駅から見る白山坂口盆地、山の向こうに盆地がある。 盆地の中にある谷津の景観)
越前市西部地域の土壌は、全般に緻密で粘質が高く、山地では鉄分の多い赤褐色の土壌が多い。 また気象は湿度や降水量などに現れているように日本海型の湿った気候である。そして南条山地・ 丹生山地と武生盆地の間に位置する丘陵地帯である。このような環境条件が、当地の豊かな生態系の要因の一つとなっている。
植生は、谷沿いの斜面や山麓部分はスギ・サワラ等の針葉樹が植林されているが、 それ以外は殆どコナラを中心とした広葉樹林となっている。これには土壌特性も関係しているが、当地は気温が低く樹木の生長が緩慢なため、 林業の視点から見ると生産性は低いがその分丈夫な材となる。そのため当地の人々は従来、 自家用の材とするために集落に近く手入れのしやすい斜面に針葉樹をうえてきた。現在でもこれらの針葉樹林の多くは手入れが行き届いている。 ただし、谷の奥のかつての水田が、針葉樹に変わっているところも多く見受けられる。丘陵上部のコナラを主とした広葉樹林は、 かつては薪炭林として管理されてきた。
丘陵は、谷底との標高差は100~150mと小さいが、 広葉樹の多い植生と緻密な山地土壌の影響で、 小さな谷ごとに少量だが通年安定した水を供給している。 山裾から谷底低地にかけても粘質で緻密な土壌が続いているため、山と水田の間には、 比較的貧栄養な湿地や浅い止水が形成されている。
(里山に湧く清水 飲める水が、湧き出ている。ジュンサイの池、美しい清水を溜める池)
人々は、これらの湧水をそれぞれの谷の水田に利用するとともに、山裾に「まんぷ」と呼ばれる横井戸を掘り、 飲用水としても利用してきた。谷頭には「個人溜め」と呼ばれる多くの小さなため池もつくられている。 これらため池と背後の林の間には木立の中に作られており、殆どが自然護岸である。水路は、土が漏水しにくく崩れにくいことから、 コンクリート水路への改変があまり行われていないことが、この地域の水辺の生態系の豊かさを保つ要因となっている。
(水田の真ん中の溜池 生き物の生息地でもある 田んぼの水路は、メダカの生息地)
湧水―ため池―水田、谷の水田をつなぐ水路の多くは、土水路が残されている。水田も保水性が高く、谷では通年水がある田が多い。 越前市西部地域では、このような気象、植生、土壌、の影響から、特に谷は大変湿潤な環境が保たれている。さらに、湧水、ため池、水田、 水路と連続した水域をつくる谷は、隣接する谷の同様の水域とも連続している。
越前市の里地里山に関しては、越前市の里地里山のホームページもご覧下さい。
越前市西部地域の考え方(準備中)

