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唐桑現地調査(3)

自然再生 ディスカッション 「唐桑・森里川海フォーラム」

日 時 2006年09月14日 8:30~13:30
場 所 唐桑町 民宿はまなす、大原造船所

<ディスカッション要旨>

【4団体連携の趣旨】
森、里、川、海で活動している団体間の交流が少ないので、各エリアにおける自然再生活動の理念とコンセプトを共有する目的で、 平成16年度に「森里川海の自然再生」という本を作った。この執筆にあたり、これまで、各エリアでの活動を構築してきたコアメンバーが、 原稿を起こすのではなく、他部門の若手活動家や研究者が、領域を越えた取材を行い、分野間の交流を促進すると共に、活動テーマを越えて、 自然再生活動をコーディネートできる人材育成をはかるという過程がすばらしかった。この間、3年にわたり、十数回の交流活動を行ってきた。

【今回の調査の目的】
今回の現地調査の目的は、思想や考え方の共有、整理を行うのではなく、具体的な現場で自然再生活動をコーディネートすることにある。 この唐桑現地調査を通じて、具体的な役割分担を設け、スケジューリングを立て、現場の自然再生プログラムを具体的に検討し、 連携した自然再生活動の具体的な手順を構築することにある。
この視点から、各団体が、単独で行える自然再生プログラムと、4団体が連携した場合にできる自然再生プログラムの可能性に関して、 調査の最終日、森里川海連携フォーラムという形で、各団体より発言いただきたい。

ここ鹿折唐桑では、船大工である岩淵さんを通じて、今回の調査に入らせていただいた。言い換えれば、 海の再生を核に、川、里、森の再生がどのように連携可能かを最低限調べるための調査を行った。この点から、 海辺づくり研究会の木村事務局長より、今回の調査の総括と、海を軸とした自然再生の指針に関して、発言いただき、その後に、川、森、里より、 各分野からの再生の視点と、連携した再生のプログラムに関する発言をいただいた。


■海■
1.海が単独で自然再生を行う場合は、気仙沼の各湾ごとの特徴を調査し、その特徴を活かした海辺づくりを行う。特に、唐桑半島では、 漁港毎に、魚の名前がついている。この魚の名の由来や特徴、そして、リアス式の一つ一つの湾の異なる特徴を掘り下げることで、 自然再生の切り口が見えてくると思う。

2.干潟
森里川海の4団体の連携を考えた場合、舞根地区の森と川の関係、そこに住む人々の関係、それらの関係で、成立している「干潟の役割」 に着眼して自然再生を行うことが可能だと思う。干潟の成立の条件、海苔の生息条件、牡蠣の成長の話など、現地調査から、気づき、 単独で行う自然再生とは、ことなる可能性や、興味関心を抱いた。
具体的には、川は2本あったが、調査するとこの2本の川の特徴は、まったく異なっていた。この川の違いや、川の流域にある湿地、水田、 森の管理を行うことで、河口の干潟における、自然再生の取り組みは、非常に分かりやすい、明確な成果が期待できると思う。 このような成果が現れるような活動を、里や森、川と海を組み合わせて実施したい。
この中で、例えば、牡蠣を育てている水田、牡蠣を育てる米が生まれるようなことがあると思う。

3.海から川に目をむける
「ひこばえの森」の湧水口に「この水が海につながっている」という旨の看板があった。河口(海の入り口)にも「○○からこの水が来ている」 というような看板と地図、流域での取り組みを掲示し、普及啓発して見たい。


■川■

1.投網体験で関心を喚起(川の単独活動)
今回は宮城県知事に特別採補の免許を申請して、投網調査を行なった。大川では、資源確保のため投網漁が禁されている。しかし、 投網の文化や食文化は、まだ残っている。今なら間に合うので、子どもたちに投網漁の体験をさせるなどして、地元のこども達に、 川への興味関心をもってもらうことが大切だ。そこから下流の海、上流の山に目を向けてもらうという活動を展開することができる。

2.エコフィッシュ(森、里、川の連携)
青森での活動で「エコフィッシュ」を行なっている。流域の田んぼでとれた稲藁に炭をつめて魚の形にして川に入れ水質を浄化する活動。 唐桑でも、流域の田んぼでできたものを使って、エコフィッシュを作って、川を浄化する活動を、子どもたちにさせても良いのではないか。 そのことでその田んぼの米に付加価値をつけられるのではないか。

3.流域活動の波及
気仙沼湾には流れ込む川がいろいろある。象徴としての大川の役目は、おおよそ果たされていると思うが、これからは、 気仙沼湾に流れ込む他の川のことも視野にいれ、 大川流域での活動や畠山さんらの活動が特別なことではなくたくさんある流域活動の一つとなるようにできないか。気仙沼に流入する川の一つ、 面瀬川では小学校が環境学習をしている。
4.流域の河川清掃活動
流域で清掃活動などを行なう場合は、同じ日に流域の中で、10ポイント程度を定め一斉に清掃活動をしている。活動の後、意見交換の場を設け、 交流と次回の活動の基盤を固めている。このような河川での取り組みを、海の人に参加してもらい連携できると良いと思う。

5.河川清掃活動計画の作成
活動計画の作成には、以下のステップがある。
・個別の地域の人たちとの連携を先につくる。
・川の管理者(自治体)に相談し活動家やキーパーソンを聞き会いに行く。
・清掃活動を呼びかけるには、誰に相談したら良いかを聞き、人の輪を広げる
・キーマンに世話人になってもらい、世話人会で活動日程等の具体的な内容を決める
・世話人会には行政(川の管理者)にも毎回必ず入ってもらう。
・ごみ拾いの場合は、集めたごみの回収は行政にお願いする。
・ごみ拾いがテーマではなくて、流域住民に自分たちの川に関心をもってもらうことが目的。 ゴミ拾いは人に出てきてもらうための道具であってそれが最終目標ではない。
・作業後のディスカッションや交流が重要。
・よその流域を手伝おうかと話が発展することもある。
(東北水環境ネット高橋)

6.川と里、森と連携した活動では、室根山等における川上地域の植林活動を川下の地域に展開したい。 川上の山村をどうするかということを、川下の人にも知ってもらいたい。 川上で行われている伝統的な芸能や文化活動を川下の人々に伝えるために、数年間活動を行ってきた。芸能や文化の普及啓発活動が、 どれだけ自然再生につながるかは、外部の方々に、見てもらうことを通じて、何らかの地域の活性化につながればと願っている。


■森■
1.モノ動きから実体調査
単独、ないしは、森と海の連携としては、畠山実篤さんは、今まで人が見えていないモノに着目し運動を構築してきたと思う。昔は、 見えるモノで行政の枠を超えて住民同士がつながっていたようなので、そのことをまず調査する。例えば、船を上げるときのホロの木材、 海苔養殖用の海苔柴などの調達方法を調べる。モノの動きとして、木材をどう出していたかを調査する。もし川流しだとすると森と川が繋がる。 植樹の場がなくなってきたときに周りに広げるとき、周りの自治体が受け入れることができるかどうかを調査する。

2.聞き書きにより関心の喚起
4団体連携のテーマとしては、聞き書き甲子園のOB、OGのネットワークがある。このネットワークを活かし、 生活文化の聞き書き活動を行なう。源流、森、里、川、海の4つに分かれ、地域のじいちゃんばあちゃんに聞き書きをし、 祭り等もふまえて調査をする。その中で登場する昔の道具を使った作業を再現するなどを行うことで、 森から海までの暮らしに関するイベントを行い、流域の住民等に意識してもらえるようにする。
具体化する場合は、名手名人とのつながりを活かして、関係する人に挨拶に行くことを、きっかけとして、関係する自治体とつつながりをつけ、 連携をはかる。通常、地域との関係性をつくるのは大変だが、高校生が取材者となる聞き書き甲子園では、当初に、国や自治体を通じて、 名手名人との調整をはかるため、その後も、団体として不信感をもたれることはなく短期間での関係性の構築が可能であるい。


■里■
1.地域の合意形成
今回の調査は、外部者を中心に調査活動を行ったが、通常は、地元の方々を中心に据えた調査活動を行っている。3団体より、 さまざまなご提案をいただいたが、里地における自然再生の技術の一つは、今回の調査技法である。つなり、地元、専門家、 外部者を交えた調査活動と合意形成、ビジョン作成という計画策定プロセスである。

2.里海と里の自然再生
海からの提案のあった舞根地区においては、干潟の再生の提案があった。舞根地区の干潟は、里を流れる東舞根川、西舞根川ともに、雑木林、 田んぼの小川のような水路で、その水路が浦根湾に流入した場所である。川は、両河川ともに、数キロの小さな川であり、東の川の流域には、 一戸の農家があるだけで、西の川でも、数十戸の家しかない、小さな集水域と干潟も幅の小さな舞根湾(里海、谷津海)である。 ここでの干潟の再生には、以下の取り組みが可能である。
・河川、水路、耕作放棄水田に隣接する雑木林の陰切りと陰切りによる粗朶で、藻場づくりを行う。
・放棄水田の畦上げを行い、深水管理の通年湛水水田を設けることで、ここ数年使っている除草剤の利用を、今後は中止してもらう
・放棄水田のビオトープ化
・里海に面する水田の干潟化(以前、海だった部分を水田にしているが、再度、塩水の入る干潟にすることで、 生物の生息環境の拡大をはかる
・上記による、干潟の拡大と、水田、水路ビオトープの拡大


3.上記提案を、具体的に進めるためには、地区住民、行政、専門家を交えた地元学を実施することで、各種の連携した自然再生がはかれる。 この成果は、干潟の、海苔やアマモ、牡蠣と、里海の多様な生態系に現れ、また、環境学習面の充実もはかれると考える。

2006年09月17日 | 森里川海