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宮城県唐桑 船大工 岩淵棟梁の ろこぎ舟 進水式

4月8日 おっとも丸の進水式が行われました。
昨年9月、神奈川県秦野市でおこなった自然再生のコンセプト合宿が、最初の出会いの場でした。
講師として海と木の話をしていただいた岩淵棟梁に、ろこぎ船の製造を、海の木村さんが依頼。
1口1万円のオーナー募集を行い、1週間で資金を集め、1月に着工。そして、本日と、あっという間の出来事でした。

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ろこぎ舟の 製 造期間は、3ヶ月。この船に、人と木とのつながり、海と森とのつながりを、入念に入魂した棟梁は、細部にいたるまで、 木配りを見せてくれました。

ろこぎ舟の本体は、80年ものの杉、木を選び、目を読んで、厚さ3cmの板を、縦に2枚つないでいます。
「120年の杉では、もろく、50年の杉では若い」。舟の杉は、樹齢80年がいいようです。
通常は、杉の白みと白身を合わせますが、この舟は、赤みと白みを合わせています。
白みは、まだ水分を含み柔らかい部分で、乾燥させ、たたいて、縮めてからつなぎます。
このつなぎが、赤みでは難しいのをあえて、「おっとも丸では勉強のつもりで行った」と。

杉の本体には、柿渋を、外側は3度塗り、内側は2度塗りしています。

杉板のつなぎは、広島県の鍛冶屋さんが打った舟釘を300本。
その舟釘を隠し、水が入らないように、ノミで弓形に彫り込んだ溝と栓があります。
「通常は、ドリルで行う作業を、数倍の時間がかかるが、棟梁は手堀で行った」と息子の岩淵さんは話してくれました。

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舟のフチと横に渡した部分は、樹齢50年のヒノキです。やや白く見える部分です。材の量は、本体の15%。
舟を漕ぐカイは、梓(あずさ)という木です。「樹齢100年で、水を上げなくなり立ち枯れする」。
「この水が上がらなくなった木を、伐りだし、カイにすると、50年持つ」
今回のおっとも丸のカイは、30年ほど使った古いかいを、削り再生したものだそうです。まだまだ現役です。

舟の端には、チョボと呼ばれている、杭がささっています。この杭があると、舟をひもで結ばなくても、輪をかけるだけで、 舟をとめることができます。その止めた状態から、チョボをはずすと、ロープがとれるために、杭を抜いたり刺したり、漁師は、とっさの時や、 漁の最中に、この杭をうまく活用するそうです。ちょぼっと、から、チョボと呼ばれるようになった方言のようです。

舟は、男女に喩えると女性。漁師は男が多いので、ご神体は、夫婦びなをまつるそうです。気持ちをいれて、「舟、一艘一艘に、 魂を入れ込んでいる」そうです。そのご神体が、漁の安全を願い、舟の無事の帰港を、願ってのことです。

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 この舟は、548隻目。「一隻一隻、使う木は違うので、 その木とはじめて出会うその気持ちで、舟を作っています。」棟梁は、木を選ぶところから、初心に返り、半世紀たって、 548隻をつくっていたのでしょう。
おっとも丸は、作り方、入魂の意味、宮城県から横浜にもってきての進水式、さまざまな点で、勉強ですといわれていました。

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「木は、不思議だ。立っているときには、塩にあたると木は枯れるが、切ってからは、真水につかると木は腐る」しかし、 「塩水につけると、舟は腐らない。木は、立木と材では、性格が違う。だから、乾かさないように、常に、塩水をかけてやってください」。
棟梁は、木とのつきあい方を教えてくれた。

宮城県唐桑の浜の数は、18。その浜には、ろこぎ舟が、98隻現役で活躍している。
半世紀前は、ろこぎ舟一隻あれば、8人家族が、鮑や海草をとって生活できていた。

今の暮らしは、船外機をつけて、轟音を立てて走ってゆくが生活ができない。
そんな、半世紀たった今、横浜で、ろこぎ舟を進水するとは思っても見なかった。

この不思議なつながりを、これからも大切にしてゆきたい。
棟梁とその息子である岩淵さんは、笑みを浮かべていた。 (記録:竹田純一)

 

 

2006年04月08日 | 森里川海