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新潟水辺の会 石月 升 【2005/09/03】

●自然再生の思想や知恵

自然再生の根底にある理念は「人間は生態系を構成する哺乳類の一種」であることを再確認することではないか。 ある生態系に存在する全生物の生体量は、その生態系内の植物が生産する有機質量によって定まる。 つまり生態系の許容量を超える開発が行われると、人間は生存し得ないという認識で、失われた自然を取り戻すことだと思う。
われわれは過去、いや現在も、現存する生態系が決して失ってはならない基本的な機能を、無頓着に傷つけたり、無視したり、 乱暴に踏みつけたりしながら、快適さを手に入れようとしてきたし、その事を本気で止めようとはしていない。その半面、 数千年にもわたって野生生物との折り合いを保って続けられた、生産活動という多くの営為を、いとも簡単に投げ捨ててしまった。したがって、 自然を再生する具体手段には「やることを止める」ことと「止めたことをやる」という二つの方法があり、この二つが混同されたり、 一方だけが強調されることで混乱や対立が生じている事例も多い。われわれが関わっている川の場合には、循環機能としては海と川、川と農業用・ 排水路を一体的に捉えることが不可欠であり、流出量の抑制や土砂災害の視点から里山の荒廃や、 棚田の放棄に積極的な働きかけを怠ってはならないと思う。

●技術や手法

「この製品を使えばホタルが飛ぶ」式のいわゆる環境配慮型工事が横行している。
これらの製品や工法を全部否定する気もないが、保全対象とする生き物の生態に関する基礎的な知識を抜きに仕事を進めると、 「やることに意義がある」ということになりかねない。日本各地には「其由って来れる来歴を考究する事なく」(真田秀吉:日本水制工論) 姿を消してしまった、伝統的な河川工法や水防技術、そして治水思想が残されている。
自然再生の技術は先人の知恵の中に隠されているのかも知れない。

 

 

2005年09月07日 | 川の再生