里地ネットワークの活動


トキの野生復帰をめざして
共生と循環の地域社会づくりシンポジウムと
環境省のモデル事業


 里地ネットワーク事務局では、設立時より2年半の間、「人と人、人と自然の共生」「循環・共生・参加・国際的取り組み」「環境保全型技術」「森の再生、川の復元、住民自治の仕組み」「ツーリズム、産品開発」「教育と共育の違い」などの個別プロジェクトを通じて、循環型社会の将来像に関する調査研究を行ってきました。

 この背景には、モンスーンアジアの中での水稲稲作文化、日本古来の素晴らしい里の文化、すべてのものを循環させてきた森の文明、四季折々の変化の中で培われてきたさまざまな生活文化や食文化、そして、「もったいない」の文化などがありました。

 しかし、今、かつての日本固有の文化は、コンクリートと鉄、そして石油の消費の上に成り立った文明に変わり、代々伝承してきた日本人の文化が崩壊寸前のように思えます。
 そして同時に野生生物も減少しました。その象徴とも言えるトキは、明治大正時代に全国各地で生存していましたが、昭和初期には佐渡島で100羽前後が確認されるところまで減少し、戦中、戦後の動乱を通じて、35羽程度に激減、その後の保護活動にも関わらず、日本のトキは、“キン”1羽になってしまいました。

 ニッポニア・ニッポン。日本を象徴する名を持つ国際保護鳥のトキ。このトキの野生復帰を通じて、私たちの21世紀の暮らし方をみずから問いかけるプロジェクトがスタートします。環境省が平成12本年度より3カ年をかけてビジョンの策定と地域づくりを行う「共生と循環の地域社会づくりモデル事業(佐渡地域)」です。

 里地ネットワークは、微力ながら、これまでの調査研究や各地での取り組みと会員の皆様とのネットワーク力を活かして、この事業に取り組みたいと考えています。
 事業の概要は下記の通りです。この事業への取り組みの開始は、本年8月下旬、第1回目の佐渡地域への取材から始まり、現在8回の調査と地元学の実践、佐渡の方々とかつてのトキの生息地を訪ねる散策会などを行っています。


2000年11月 トキとともに佐渡(c) 里地ネットワーク