韓国の里地里山を旅する(8) 里地里山日韓比較
2007年6月 韓国の里地里山調査を行いました。
今般の目的は、日本における里地里山の智恵と韓国における智恵の比較です。
この調査を通じて、いくつもの共通点を見いだすことができました。
以下のレポートは、両国の取り組みを比較する上で、わかりやすい事象を写真で解説しました。今後、SATOYAMA
イニシアティブ等が議論される中で参照していただきたい要素です。
◆調査風景
5000分の1の地図 30枚の地図を広げ、調査地点の絞り込みと調査ルートの決定を行う。


水源から水を伝わって下流方向へ、その間の作物、農作業、湿地、水路の生物を調べる。

民家、農家、行政との協働調査
関係する主体へ区長等を通じて訪問し、暮らしや環境、農業の現況を取材する。
◆水の循環 湧水、井戸、水路


(左)集落の飲用水の水源付近。石組みがしてある。
(右)雑木林の下の水源。この水源の上で、墓の造成が行われ、水量の減少が起こっていた。
水源の管理は、農家による簡易なもの。
日本では、枠の設置などを行い、水管理を行うケースが多いが、ここでは特別な管理は行っていない。

(左)管理された井戸。横穴を掘り、その下方に井戸を掘っている。井戸の深さは、数メートルと浅い。


(左)集落を巡る水路。上から下まで、各屋敷の中を通るように水路が掘られている。水路と畑は、自然石を組んだ石積みである。
(右)韓国の農村では、浄化槽が普及していないため、集落を通り過ぎた水は、濁り汚れている。
◆水の循環 湧水、暮らしへの活用 水路と洗い場
か つての洗い場を修繕し、親水場所として作り直した工事。
水車による脱穀
水車小屋は、保全され復元された伝統的な集落に展示されていた。この場所以外では、今回は見あたらなかった。
ポンプアップ
韓国の農地では、最近、ポンプアップによる農地への水の配水が目立つ。
◆水の循環 ダム、水路、河川
農業用堤
農業用水を蓄える堤は、年々大型化している。周囲は、自然護岸で組まれているところが多い。道路と田んぼの間の水路は、
U字溝が一般的である。但し、畦や水路脇には、畦豆がまかれ農地は高度に利用されている。
新しい水路
韓国では、水路の3面貼化が急速に進められている。これらの工事による生物多様性は急速に減少している。
◆森と林 アカマツ、クリ、雑木の活用




山から伐りだし、そのまま農業資材として活用している。どこの集落にも貯木する場所があり、森の材の活用が盛んに行われている。特に、
椎茸栽培は、盛んに行われている。

納屋や家畜小屋は木だけでつくられている。
伝統的家屋の材は、アカマツやクリで、壁は、赤土でうたれ、屋根は、茅と藁で編み込まれている。農具の中心は、
クリやアカマツの木を活用してつくられている。

雑木の燃料としての活用
薪を貯え、カマドで火を炊き、その熱は、家の床下を通り、床下を暖め、カマドと反対側の煙突から排出される(オンドル)。オンドルは、
家の西側配置されている。
カマドには、枝葉や、薪がいつも置かれている。
この伝統的民家は、煙を排出する煙突がある。家の床下を暖めるオンドル方式の暖房のために、屋根は低く抑えられ、居室は、
3畳間程度に狭く仕切られている。
◆土の循環 家畜、使役、肉牛、堆肥、作物の循環、稲藁の保管

バインダーで刈り、乾燥させ保存している稲藁。龍頭邑には、30頭の牛がいるため、稲藁は、ほとんどバインダーで刈り取り、
牛の餌となっている。牛の糞は、堆肥化され、再び、農地にまかれている。
◆里山の変化



枯れ た部分を良く見かける松枯れ。ほんのわずかの場所にある竹林。草原化している里山などが最近の特徴だ。
河畔林
この河川には、河畔林が整備されていた。河畔林の割合に関しては、不詳。
湿地
里山に面した溜め池と湿地。景観としては、めずらしく、このような湿地は、この他は見ていない。
農家、畑、里山
農家と水田、畑、裏山の構成で異なるのは、竹林が少ないこと。
◆伝統的民家集落の保全・復元(伝統集落の民家園)

昔な がらの暮らしをしていた一つの邑をそのまま保全し、建築規制を行い、政府の支援で、
邑の暮らしをそのまま維持保全する民家園がスタートした。
朽ちてゆく建物の建て替えの際は、伝統的な民家として、あえて、伝統民家を再現して、もとの住民がそのまま、民家での暮らしを継承する。

この邑では普通の家
このような民家が、40個ほど、暮らしをそのまま継承している。
◆食材の価格

常備食としてのキムチに欠かせない食材も、マーケットでは、日本の価格と変わらない金額で販売されている。
農家の減少と企業勤務の増加、高所得かが、農村にある農協系のスーパーであるにもかかわらず、農産物価格を、高額にしている。 常用食のトウガラシも、日本の価格と同様だった。その他、豆腐、もやし、野菜類も国際価格となっている。里山のゼンマイやワラビは、 不思議なことに相対的に低価格だった。
◆家畜、動物

調査集落には、30頭いた牛。五世帯、各世帯精勤六頭の牛が、肉牛として飼われていた。1世帯は、
深田の工作用に使役牛として現役で活躍していた。
大きな鹿 角を漢方薬の原材料にする。
鶏は、放し飼いが多く、種類も何種類か混じって飼われている。
◆里山の生業

養蚕とさなぎの精力剤としての販売、体験学習の受け入れを積極的に行っている。
養蜂と蜂蜜、花粉のサプリメント。こちらも体験学習に積極的だ。

タニシの養殖とタニシ料理店の経営。
◆食文化

韓国の食は、キムチ等の数種類の常備菜とご飯、唐辛子入りのスープ等で構成されている。客人をもてなす場合には、常備菜に、一品、
肉や魚などの料理が添えられるが、基本は、コチジャン等の辛子みその漬け物が中心である。
各世帯では、壺で数種類のみそを醸造している。キムチは、地下に埋め涼しい環境を保つが、みそはカビを防ぐために、 どの家も庭に出して太陽に当てている。
2007年11月13日 [レポート]

