東京都目黒区の宅地の中のヒキガエル
もう、上目黒の私が生まれた家の周りには、一切の自然はない。あるのは、 隣家の植木と我が家に20年前に掘った1畳あまりの小さな池があるだけだ。池の周りは、山河を想い描きやや小高く掘った土を積み、 川を想わせるように、川石を拾ってきて配置した。私がその家を離れてから15年。人に貸していることもあり、余りのぞくわけにはゆかないが、 家の補修で立ち寄った昨日。久しぶりに池に水を入れると、小さな生き物がうごめきはじめた。80匹のカエルに成り立てのヒキガエルだった。 よく見てみると水の中に、ミジンコがたくさんいる。このミジンコを食べてオタマジャクシは育ったのか!
隣家からおやじさんが顔を出す。今年は卵塊をみなかったから、カエルいないでしょ、と。いやいや、たくさんいますよ。 というとうれしそうに、そうか。だいじょぶだったか。隣家の植木の下で冬眠し、我が家の池で孵化するらしい。20年ぶりに見たヒキガエルだ。 まだ、生きこらえてこれたのか。
私の子どもの頃には、我が家には、池が2つあった。池の他に、大きな水槽がいくつもあった。200m程離れた神社では、 湧水がごうごうとわき出していた。そのころは、ヒキガエルもザリガニもクワガタも身近に生息できていた。
しかし、ここ20年。周囲の空き地はコンクリートの駐車場やコンクリートの建物に変わり、 土と水がないと生きられない両生類は生息できないと考えていた。そのカエルに、昨日あえたのは、驚きである。それも、 100近い小さな生き物の群に出会えた。ビオトープとは、この規模でも、小さな生命の循環を支えることができるのかと、大いに驚いた。
水は、雨水、太陽の光、植物、珪藻類、多分、鳥もたまに訪れ、藻の種類が増え、鳥の糞の中に、 ミジンコの卵がどこからか運ばれてきたに違いない。ミジンコ以外にも、見えにくい小さな生き物がたくさん生息しているに違いない。そして、 今、目の前にヒキガエルがいる。この親は、10年近く生きていると思うよ。毎年見るからね。と隣のおじさんの言葉が印象的だった。


